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「ハオ君……これからどうしようか?ハオ君も想造世界の人間だから、霊魂はきっと向こうの世界に属してる。それは僕でも縛れない」
死王がこの世に縛り付けられるのは、この世界で輪廻転生する霊魂のみ。
つまり想造世界の人間の霊魂は除外される。
「ゾンビ作っても…それはハオ君の自我が無い、ただの屍人形。そんなの意味ないし」
ゾンビを作り操れるが、それは死王が操るただの人形。
自我を保つには、その者の霊魂が必要になる。
それにゾンビとは、動こうが喋ろうが、あくまで死体。
長くこの世界に存在することは不可能。
腐る事もあるし、骨だけになる事もある。
それは覇王ではないし、そんなものは死王とて要らない。
うーん、と唸る死王の中では、このまま覇王を土に葬るという考えは無い。
埋葬すれば、覇王はこの世界の一部となる。
覇王が滅ぼしたかった世界であり、死王が嫌う世界となってしまう。
そんなの死王も嫌だし、死んだ覇王とて御免こうむりたいだろう。
全てを焼き尽くしてしまえばどうか?
骨も残さず食べてしまえばどうか?
そうすれば世界の一部とはならないが…覇王が跡形も無くなり、全て消滅するのは嫌だ。
どうすれば覇王を自分の傍に置けるか?
どうすれば自分だけの物に出来るか?
死王はいくつもの考えをめぐらせ…一つの方法を思い出した。
「人間の骨って……確か宝石に出来たよね?それなら……ハオ君の全てを凝縮して……世界に二つと無い宝石を作ろうかな。僕が持ち歩けば世界に吸収されない。いつも一緒にいられる。アハッ!コレっていいかも。そうしよう。決~まり!」
死王は最後にキツく覇王を抱きしめ、頬に口付けると覇王の亡骸を魔力で浮かべる。
そして覇王の亡骸を眺めながら、どのような宝石にするか、頭の中で色々と思い描いた。
「ハオ君は黒目黒髪だったし……黒かな?でも黒だと地味だし………あ、ハオ君は赤い血も綺麗だったね。僕もハオ君の血は好きだし……赤い宝石にしようかな」
両手を広げ覇王の亡骸に魔力をかけると、覇王の亡骸を中心に魔力の波動が赤い竜巻のようにうねり出した。
覇王の亡骸は徐々に肉も骨も解体され、細かい塵と赤い水滴……血のみに変化する。
そして塵と血が合わさり…小さな赤い宝石へと変化した。
宝石が出来上がると、部屋中に渦巻いていた竜巻も治まる。
死王がスッ……と手のひらを前に出すと、宝石はポトッ……とそこ目掛けて落ちた。
「これでよし。フフ……ハオ君……これからもずっと……ずっとずっと……一緒だよ」
死王は赤い宝石に頬擦りすると、それを持って城からも飛び去った。
姫…次代の女王は死王の捜索を続けた。
正確には、彼の所持する…かつて愛した男の亡骸を。
しかしそれを嘲笑うかのように、死王は行方をくらまし、誰にもソレを突き止める事は出来なかった。
死王が再びこの世界に姿を現したのは…竜王族の生き残りが、最強の魔王『竜魔王』として世界に認知された頃となる。




