本当のラン
―ここまではそれなりに長い道のりだった―
木村は相手を見て賭けを申し込む。そもそもオレとの勝負を避けてきたのは木村の方だった。
一度、賭けで勝負を申し込まれた事もあったがオレはバカバカしくて受けなかった。
そして木村は違う相手と賭けをして大金を得た。
それ以降、大金を元に相手を降ろすか、ぶっ潰すのが木村のやり方になっていた。
たいていの奴を賭け金を聞かせ降ろさせていた。
その噂を聞いて勝負に挑む奴は、チキンランでガードレールに突っ込んで負けていった…。
木村は木村で腕が立つ。中井はバイクの走り屋時代にライバルと目視していた。
横浜での勝負は一回で良い…
それに木村は加藤の異常性と聞いていた様子からあえて相手はしていなかった―
加藤に勝てば木村と賭け無しで駆れるというのが中井に出されていた条件だったのだ。
加藤が木村や中井に勝っていればヘッドナイトの頭に加藤はなっていたらしい。
ヘッドナイトは興行をとりしきるチーム(そんなに悪いチームではない)
加藤に負けて散ったヘッドナイトの駆り屋達は、加藤はどこで顔を捉えても無表情で、目が冷たかったとか、加藤の駆りに自分の心音が上がっていくのを感じたとか話していた。
”そして二人が出揃う”
「よー中井」
と軽い挨拶から入る木村。持っているものは持っている自信からか、いくぶん横柄にも見える。
「加藤には勝った―。約束通り賭けなしで駆ってもらうぞ」
木村は背中を向け
「加藤みたいなツマラナイ奴はどうでも良い。賭けものってこなかったしな」
「それに顔が白いとか表情が冷たいとかもどーでも良かったんだぜ」
…。
「あぁ」
『ケリを着けよう』
二人の周りにはそれぞれの味方がとりまいていた…。




