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不撓不屈の勇者の従者  作者: くろきしま
第1章 村娘が勇者になったので、従者として一緒に旅に出るようです。
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第19話 主なき武具

「この山を守っていると、時折危険な武具が流れ着く時があっての……」

「守るって何処からだよ」

「お前達の村から見たら『向こう側』じゃな……」

「……帝国領なのです」

「まぁの。ほれ、今開けるがの……小僧、おぬしが目利きしてやるといい」

「俺に武器の良し悪しなんてわかんねえよ」


 俺の返事を無視して、爺さんは扉を開いた。


 今度の部屋はそこまで広くはない。

 石の棚に一つ一つ、剣や槍等が置かれていた。


「……まるで遺体安置所のようだな」


 ステラの声は堅かった。

 となりにいるイースラは若干怯えが入っている。


「なんかやたら寒くない?」

「嬢ちゃんがここを遺体安置所といったのはある意味で正しいのじゃ、ここらの武具は全て主を失っておるが故にのぉ……」

「……イクス?」


 ……どこが遺体安置所だ?

 俺にはもっと禍々しく映った。


 俺を使えと、まだ戦えると、切実に、情熱的に訴えかけてくるようだ。


「……あちぃ」

「熱い? こんなに涼しいのに……」


 どこがだ……こんなにも熱気に溢れかえっているのに。


「やはり、小僧にはここの武具達の意思が伝わるんじゃのぉ」

「やはり? ご老人どういうことだ? イクスの身に何が起こっている?」

「ここにあるのは皆主を失った武具ばかりじゃ、武具の本懐はその使い手よりも先に滅ぶ事にあると云って良い……じゃがここにある武具はどれも完全な状態であるじゃろう……故に、ここには無念が渦巻いておるのじゃ」

「ならボク達が寒さを覚えたのは……」

「怨念にも似た豪執を感じ取ったのじゃろう……じゃが、小僧の場合は違うようじゃ」


 そう言ってイクスを指刺すボルカ爺。


「大半、使い手が武器を選ぶ。じゃが本来は、武具が使い手を選ぶんじゃ……己を使い潰せると、本懐を遂げさせてくれる者を欲しておる……小僧、選んでやってくれんか?」


「とはいってもな……俺にはもうこいつを貰ったし」


 俺の手には一振りの剣が収まっている。

 初代勇者が使っていたという曰く付きの剣だ。


 考えてみたら何で俺がこんなもんを持っているんだ?

 勇者の剣なら勇者が持つべきではなかろうか。


「あら?寒さがやんだわね」

「確かに……」

「大方選んでもらえなかったんで萎えたんじゃろうて。……甲斐性ぐらい持たんと苦労するぞ小僧」

「そんなもんかね」


 甲斐性持っていたとしても発揮する機会は当分なさそうだけどな。


「レイラ嬢ちゃんも何か選んでみたらどうじゃ? 勇者なら一振り持っていないと格好もつかんだろ?」

「私はコレがあるから良いわ」


 ドヤ顔して取り出したのは、昨日レイラにあげたショートダガーだった。


「え、マジ?おまえ盗賊でも兼業するの?」

「〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰!!」


 そう言うと何故かレイラは頬をリスのように膨らまし、ポコポコ殴ってきた。

 …………ちゃんとした武器の繋ぎでって言ったよな?


「あれ? 持っていた聖剣どうした?」

「捨てたわ。あれは聖剣じゃないもの」


 身も蓋もねぇ事言うなよ。


「……レイラの気持ちも分からないでもないが、やはりちゃんとした武器は必要だと私も思う」

「せっかくなのでお兄さんに選んでもらったらどうです?」

「選ぶっていってもなぁ」


 飾ってある武具を見て回る。

 今のレイラの体力では、扱える武器は極端に少ない。


 例えば槍。

 槍にもよるが、扱うには腕力はあまり関係ない。

 全身で扱う武器だからだ。


 懐に入られると脆い面があるものの、レイラでも扱えるんじゃないかと思ってしまう。


 だがレイラが足りていないのは腕力だけじゃない。

 今のレイラが扱えば、必ず体のどこかが壊れる。

 足首、膝、腱、腰、どれかが一度でも壊れたらもう戦士としての命は無い。


 そう考えると、自分が渡したショートダガーはレイラにぴったしの武器だと言える。


「今のレイラに扱えそうな武器なんてなぁ……ん?」


 埃被った武具のなかに、一際異彩を放った剣があった。


 理由は二つ。


 この剣だけ、埃が被っていなかった。

 そして、刃の腹の面が細いのだ。


 手に取ってみるとその軽さに驚いた。

 鞘から抜いてみると、片刃だった。

 細身だった理由はわかったが……何故片刃?


 気になるところはあるものの、真っ直ぐで

 刀身が光の反射で青白くみえる……綺麗だしもうこれで良いか。


「レイラ、これちょっと振ってみてくれ」

「振るって言われても……えいっ……あれ?」


 見事なへっぴり腰を披露してくれたが、本人も気付いたようだ。


「なにこれっ!? すごく軽いんだけど!!」

「なぁ爺さん、これ強度的に問題は無いのか?」

「……問題ないぞ。その剣には軽量化の術式が刻印しておっての。なるほど、レイラ嬢ちゃんにはぴったしの剣と言えるの」


 魔法剣という発想は無かった。

 確かにレイラ自身に足りないところがあるのなら、武器の方で補ってやれば良い。


 なんとも都合の良い武器が手に入ったものだ。


 そこはかとなく、嫌な感じをイクスは感じていた。

16話でのボルカのセリフを修正をしました。

年表作っていたら整合性が取れなかったので。

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