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【下剋上の結末編】第六段 三悪、その二 ―― 主家乗っ取りの実相

【下剋上の結末編】第六段 三悪、その二 ―― 主家乗っ取りの実相


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久秀のもう一つの悪名、「主家を乗っ取った」という話についても、これまで語られてきた話とは、だいぶ様子が違っていた。

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篁様へ申し上げ候。

此度、下界にて見届け候仔細、左の如くに候。

長慶身罷り候後、三好家の家督、甥の義継これを継ぎ候えども、幼く実権はなお三好三人衆(長逸・宗渭・岩成友通)の手にあり候。久秀、当初はこの三人衆と共に義継を支え候えども、やがて両者の間に不和生じ~~~~~

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現代語訳

篁様、報告します。

今回見たことを書いておきます。

長慶が亡くなった後、三好家の家督は甥の三好義継が継ぎましたが、まだ幼く、実権は依然として三好三人衆(三好長逸・三好宗渭・岩成友通)の手にありました。久秀は当初、この三人衆とともに義継を支える立場にありましたが、やがて両者の間に不和が生じました。

そもそも「久秀が主家を乗っ取った」という悪名は、長慶の跡取りだった義興の死にも絡めて語られることが多いのですが、義興が久秀に毒殺されたという話には、確かな裏付けとなるものがありません。

むしろ、義興の病を案じ、三好家への忠誠を誓う久秀自身の書状が残っているので、これでは「主家乗っ取りの野心を隠していた」という話とは、だいぶ趣が違って見えます。

義継が家督を継いだ後の話も、私が確かめた限りでは、久秀が義継を蹴落として実権を奪ったというより、むしろ話は逆でした。三人衆の方が義継を疎んじて排除しようとし、これに対して久秀が義継を守る側に回ったのです。行き場を失った義継が久秀のもとに逃げ込む形になり、結果として久秀が義継を後見する立場になった、というのが実のところのようです。

つまり、久秀が積極的に主家を乗っ取ったというよりも、三人衆との内輪もめの果てに、なりゆきで主従の位置が入れ替わって見えるようになった、というのが実相に近いと私には思えます。

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これは正直、意外な話だった。「主家を乗っ取った悪臣」という評判から、私はてっきり、久秀が策を弄して義継を追い落としたのだとばかり思っていた。だが実際は、追い落とそうとしたのは三人衆の方で、久秀はむしろ主家の生き残りを守った側だったらしい。とはいえ、守った結果として実権が自分の手に集まってしまうというのも、皮肉といえば皮肉な話だ。悪意があろうとなかろうと、気づけば主家の上に立っている――これもまた、下剋上の一つの形なのかもしれない。


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