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【改訂版】Sランクパーティーに捨てられたポーターは実は最強の空間魔法使いだった。~虐げられた世界に復讐して『ざまぁ』するんだぁ!~  作者: ボルトコボルト


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第9話 クロドと一緒にギルドに行った

「――ふぅ、生き残った。な、クロド」


「オンッ!」

俺を乗せたブラックドッグのクロドが、力強く短く吠えた。


禍々しい漆黒の毛並みは、一見すると凶悪な魔獣そのものだが、今の俺にとっては世界で一番頼れる相棒だ。


死線を潜り抜けた今回のダンジョン探索。

命がけだったが、得られた果実は大きすぎた。

頭の中に響いたアナウンスに従ってステータスを開くと、そこには胸が躍るような文字列が並んでいた。


【ステータス】

名前:ユウマ

種族:人族(転生者)

年齢:18歳

レベル:20

固有スキル:空間魔法 Lv5

├ 空間収納(小)

├ 空間把握(中) 【Up!】

├ 封印 【New!】

└ 亜空間作成 【New!】


【空間把握(中)】

現在地と隣接するエリアの空間を完全把握する。ダンジョン内なら、今いる階層に加えて「上下の階層」まで全て視界に収めることが可能。


【封印】

対象を空間ごと封印する。サイズ・対象範囲は『空間収納』に準ずる。


【亜空間作成】

任意の場所に不可視の亜空間を作成する。サイズ・対象範囲は『空間収納』に準ずる。


(……おいおい、これ、完全に化けたんじゃないか?)


レベル20。冒険者ランクで言えば、せいぜいCランク程度だ。


だけど、新しく生えたスキルが完全にバグっている。

『空間把握(中)』のおかげで、もはや不意打ちを受ける可能性はゼロになった。ダンジョンの構造が手に取るようにわかる。


『封印』の使い道はまだ模索中だけど、ヤバいのは『亜空間作成』だ。


これ、使いようによっては完全に無敵チートになれる。


頭の中でいくつかの凶悪なコンボを思いつき、思わず口元がニヤけてしまうのを止められなかった。


詳細な性能テストは後回しだ。まずは、この成果を街に持ち帰るとしよう。


  ◇◇


「ヒッ……!? モ、モンスター……!?」


ダンジョンの地上出口。俺たちの姿を見るなり、門番の男が顔を真っ青にして腰を抜かしかけていた。


無理もない。クロドの威圧感は遠目から見ても完全にボス級だ。


「安心してください、俺の従魔です。ダンジョンで懐いたので、これからギルドに登録しにいくところですよ」


「お、おう、そ、そうきゃ……。気をつけろよ……」

緊張のあまり完全に噛んでいる門番をスルーして、俺はクロドの背に揺られながら中央通りを進む。


街の反応は劇的だった。


すれ違う商人や住民たちが、文字通り「彫像」のように固まり、恐怖と好奇の視線で俺たちを追ってくる。


これまでは『焔の剣』の荷物持ちとして、誰の目にも留まらなかった俺が、今や街中の注目を一身に集めている。


(……悪くない気分だな)


ちょっとした全能感に浸りながら、冒険者ギルドの重い扉を押し開けた。


――静寂。


さっきまで騒がしかった1階の酒場が、一瞬で水を打ったように静まり返った。


荒くれ者の冒険者たちが、クロドの姿を見た瞬間にガタガタと椅子を鳴らして左右に後退る。


モーセの十戒のように綺麗に割れた道の先。俺は、いつも手続きをしてくれる猫獣人の受付嬢、メイさんの前に立った。


「あら、ユウマ。今日は……1人、か……し……ら……?」


引きつった笑顔のまま、メイさんの視線がクロドの巨大な牙で固定される。


完全に声が震えている。早く誤解を解いて、この圧倒的な成果を登録してしまいたかった。


  ◇◇


――同時刻。ダンジョン深層。


「クソがッ! 湧きすぎだろ此処のゾンビはッ!」

「嫌ぁああっ! 臭い、寄らないで! 『ファイアーウォール』!!」


立ち込める死臭と腐肉の焼ける異臭の中、『焔の剣』のメンバーは文字通りの地獄を見ていた。


アオイが放った炎の壁を、ゾンビたちは肉が焦げるのも厭わずに突破してくる。


「ひぃ……、もう魔力が……!」


回復士のユイナは、腰を抜かして涙目でガタガタと震えることしかできない。


「ミナト! 早く私の『聖属性の矢』を出して! 予備が切れたわ!」

弓使いのヒマリが、空になった矢筒を揺らしながら悲鳴を上げる。


「くそっ、わ、分かってる! 待て!」

リーダーのミナトは、迫るゾンビの首を必死に斬り飛ばしながら叫ぶ。


彼が腰に下げているのは、一般的な『アイテムバッグ』だ。戦闘の最中に、意識を集中して中身を探し出す余裕なんてあるはずがなかった。


「おい、まだ出ないの!? 早くしなさいよ!」

「うるさい、戦闘中だぞ! アイテムバッグから物が出せないんだよ!」


普段なら、ユウマが戦闘の合間に完璧なタイミングで、次の武器や矢を先回りして手渡していた。


ミナトは自分でバッグを管理してみて初めて、その異常なまでのありがたみを知る。


「な、なんでユウマをクビにしたのよぉ! 聖水の予備だって、あいつのバッグの中だったじゃない!」

ユイナが泣き叫ぶ。


「黙れ! あんな無能、いなくたって――!」

言いかけながら、ミナトは無限に続くゾンビの群れを見て、絶望に顔を歪めた。


予備の矢も渡せない。回復薬も取り出せない。

ただゾンビを斬り続けるだけの、終わりのない消耗戦。


――かくして、優秀な荷物持ち(ユウマ)を切り捨てた元一流パーティは、朝までゾンビとダンスを踊る羽目になったのでした。


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