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【改訂版】Sランクパーティーに捨てられたポーターは実は最強の空間魔法使いだった。~虐げられた世界に復讐して『ざまぁ』するんだぁ!~  作者: ボルトコボルト


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第14話 生きたまま魔石を奪う空間魔法の極致 ――その頃、元パーティは泥のように眠る

俺はブラックドッグのクロドの背中に揺られながら、『魔獣のいわや』の入り口へとやってきた。


このダンジョンの上層はコボルトなどの弱い魔物が多く、初心者でも自由に立ち入れる場所だ。そのため出入りを管理する見張りの兵士はいるが、基本的に通行のチェックはスルーされる。


兵士たちの本当の任務は、ダンジョンから魔物が溢れ出す災厄――スタンピードの予兆がないか監視することだ。


周囲にいる初心者冒険者や兵士たちは、突如現れたクロドの巨体に一瞬ガタッと身構え、戦闘態勢を取った。だが、その背中に俺が乗っていること、そして首に巻かれたギルド公認の「従魔の証の赤いリボン」に気づくと、一転してホッとしたように胸を撫で下ろす。


「こんにちは! お勤めご苦労様です!」


俺が気楽に手を振って脇を通り抜けようとすると、一人の兵士が感心したように声をかけてきた。

「おいおい、随分とデカくて強そうな従魔を連れてるなぁ!」


「それほどでもないワン」

「――は!? え、喋った……!?」


「儂は普通に話せるワン」

「す、すげぇなぁおい……!」


驚きすぎて目が点になっている兵士を横目に、俺は苦笑いを浮かべてやり過ごす。


そんな少し微笑ましいやり取りをしながら、俺たちは薄暗い岩の洞窟へと足を踏み入れた。


「クロド、このあたりの上層には美味いモンスターはいないから、オークのいる中層まで一気に駆け抜けようか」


「そうだな。儂も早く腹いっぱい肉を食べたいワン!」


俺は新スキル『空間把握(中)』を展開した。ダンジョンの構造が立体的な3Dマップのように頭の中に浮かび上がる。


下へと続く最短ルートの階段を指示しながら、クロドと共に迷いなく進んでいく。


途中で行く手を遮ろうとする魔物たちも、出会う遥か前から位置を完璧に掴んでいるため、奇襲の機会すら与えず一瞬で屠り去っていく。


しかも、戦闘を繰り返すうちに、俺の空間魔法はさらなるバグじみた進化を遂げていた。


『空間把握』の精度が上がり、なんとモンスターの「身体の内部構造」まで透視するように把握できるようになったのだ。


これにより、襲いかかってくる魔物の体内にある魔石だけを、生きたまま直接『亜空間(または空間収納)』へ引き抜くという、凶悪極まりない芸当が可能になった。


(おいおい……一瞬で絶命する上に、血の一滴すら付いてない最上級の綺麗な状態で素材が手に入るじゃないか)


空間魔法、完全に最強すぎる。


傷一つない最高の素材が自動的にストックされ、経験値だけがガリガリと入って俺のレベルがガンガン上がっていく。この無敵感、脳汁が出そうだ。


そんな超効率的なソロ狩りの最中、頭の中のレーダーが「コボルトの群れに囲まれた冒険者たち」を捉えた。


5人パーティのようだが、うち2人が動けないほどの重傷。残る3人が必死に盾となって庇っているが、どう見ても限界を迎えていて絶体絶命だ。


「クロド、あの人たちを助けるよ!」

「了解だワン!」


岩の角を曲がると、一人の冒険者が地面に激しく転び、今まさにコボルトの錆びたナイフが突き立てられようとしていた。


「う、あああああああ――っ!」

ドゴォッ!!!


絶望の悲鳴をかき消すように、頭上からクロドが凄まじい質量で飛び掛かった。


哀れなコボルトは、一瞬で地面ごと踏み潰されて肉片へと変わる。


「こんにちは! 助けが必要かい?」

「え……?」


ぎゅっと目を瞑っていた男が恐る恐る目を開けると、そこには禍々しくも頼もしい漆黒の魔獣と、その背で不敵に笑う俺の姿があった。唖然とする彼らの背後から、仲間の冒険者が泣き叫ぶように声を張り上げる。


「た、助けてくれえええええ!!」


「OK、任せて。――クロド、やっちゃって!」

「了解だワン! ――ゥワオオオオオオオオオン!!!」


洞窟全体を震わせるような、クロドの地鳴りのような遠吠え。


王者の威圧を真っ向から浴びたコボルトたちは、恐怖のあまり完全に身体を硬直させた。


さあ、一方的な俺たちの無双(狩り)の時間だ。


  ◇◇


一方、その頃の冒険者ギルド受付。


お昼を過ぎても、昨日大口を叩いていたはずのユウマが買取代金を取りに来ないことを、メイは妙に気に揉んでいた。


(どうせ文無しで行くあてもなくて、ギルドに泣きついてくるに決まってるわ。その時にたっぷり説教して嘘を認めさせてやるんだから!)


そう思い込んでいたメイは、たまたま別の用事で裏の解体所に足を運んだ。そこで、おやっさんから衝撃の事実を聞かされることになる。


「はあ!? ユウマが、もう買取代金を直接受け取って行った……ですって!?」


「おう。昼前にひょっこり現れてな。完全無傷のリビングアーマーだったから、金貨の袋をドカンと渡してやったぜ」


「な、何よそれ! Eランクのただのポーターのくせに、正規の受付を通さないで代金を裏で受け取るなんて……! ギルドのルールを何だと思ってるのよ! 何様よ、生意気なっ!!」


キーキーと顔を真っ赤にしてプンスカ怒るメイ。

だが、その様子を横目で見ていたおやっさんは、心の中で深くため息を吐いていた。


(やれやれ……。お前がそんな私情塗れのキツい態度で獲物を狙うハイエナみたいになってるから、ユウマに徹底的に避けられてるんだよ。自業自得だってことに早く気づけよなぁ……)


そんなギルド側のゴタゴタなど露知らず。


  ◇◇


王都のエリート(笑)こと『焔の剣』の4人は、暗闇のダンジョンを何度も道に迷いながら、ボロボロになり、命からがら目的の休憩所セーフティエリアへと滑り込んでいた。


結界の魔道具の使い方もろくに分からないまま、ただ疲労の限界を迎えた4人は、泥のように床へ倒れ伏し、生きた心地のしない深い眠りへと落ちていくのだった。

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