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【改訂版】Sランクパーティーに捨てられたポーターは実は最強の空間魔法使いだった。~虐げられた世界に復讐して『ざまぁ』するんだぁ!~  作者: ボルトコボルト


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第11話 解体所に素材を買取に出した

「ほら、おやっさん。今日の分だよ」


俺は『空間収納』を展開し、ダンジョンで狩り尽くした戦利品を解体所の床にドサドサと吐き出した。


大量の魔石。そして、本来なら持ち帰るだけでも大仕事になるはずの、リビングアーマーの重厚な鎧、盾、大剣の数々。


「おいおいおい! 待て待て、ユウマ! 量が多いのはいつものことだが……リビングアーマーの武具を、これほど無傷で丸ごと持ってくるとは、一体どういう狩り方をしたんだ!?」


元Aランク冒険者のおやっさんが、傷一つない白銀の防具を凝視して目玉をひっくり返している。


『亜空間作成』のコンボでハメ殺したから、文字通り新品同様だ。


「これなら最高値で買い取れるぜ。正確な査定を出すから、明日の昼過ぎにまた来てくれ」


「ありがたい。……あ、おやっさん、もしよければ前金で銀貨20枚ほど融通してもらえないかな?」


「ん? どうした。いつもなら『焔の剣』の取り分と合わせて後日一括だろ?」

俺は小さく肩をすくめ、自嘲気味に笑ってみせた。


「実はさ、ポーターをクビになったんだ。荷物も身ぐるみ全部『焔の剣』に取り上げられちゃってね。今日泊まる宿代も、飯代もありゃしない。今の俺、完全な文無しなんだよ」


「……あァ!?」


おやっさんの顔つきが鋭いものに変わる。彼は何も言わず、懐から銀貨20枚を掴み出すと、俺の手の平に握らせた。


「事情は聞かねえ。だが、お前がどれだけあのパーティに貢献してたかは俺が一番知ってる。持ってけ」


「助かるよ、おやっさん。査定よろしく」

銀貨の重みをポケットに感じながら背を向けようとした、その時だった。


「――ちょっと待ってよ! 今、聞き捨てならないことが聞こえたんだけど!?」

背後から、金切り声が上がった。


案内がてらついてきていた受付嬢のメイさんが、猫耳をピンと逆立てて俺に詰め寄ってくる。


「『焔の剣』は街の英雄、あのSランクパーティよ!? そんな非道なことするわけないじゃない! 嘘をつくのも大概にしなさい!」

信じられない、といった様子で俺を睨みつけるメイさん。


まあ、一般のギルド職員から見れば、輝かしいトップ冒険者がそんな小悪党のような真似をするとは思えないのだろう。


「別に、信じなくてもいいよ」

俺は感情を交えず、淡々と、冷ややかに言い放った。


「どうせ、ただのEランクの雑用と、スター街道を走るSランクパーティだ。例えあっちがどれだけ汚い不正を働いていたとしても、ギルドが守るのはSランクの方だろうからね。組織なんてそんなもんだろ?」


「なっ……!」


クロドを促し、その場を去ろうとする。だが、メイさんは納得がいかないと言わばかりに、俺の腕を強く掴んできた。


「待ちましないってば!」


「離してくれないかな。ダンジョンから出てから、まだ何も食べてなくて腹が減ってるんだ。これから宿も探さなきゃいけない」


「ちゃんと説明しなさい! 喋るまで帰さないわよ! これ以上ギルドを愚弄するなら、冒険者資格を剥奪クビにしたっていいのよ!?」


(……はぁ。どいつもこいつも、他人の都合を無視して上から目線で命令してくるな)


俺は深くため息をつき、掴まれた腕を冷たく振り払った。その瞬間、俺から放たれた静かな威圧感に、メイさんがビクリと身を竦める。


「いいかい、よく聞いてくれ。俺はリーダーのミナトに殴られ、ダンジョン深層に置き去りにされた。偶然クロドに出会えたから生きて帰れたが、普通なら今頃、魔物の餌になって骨も残ってない」


「そ、そんな酷いことをミナトさんが……っ」


「じゃあ、どうして俺『だけ』がここにいる? あと2日もすれば、あいつらがボロボロになって帰ってくるさ。そしてギルドにこう報告するはずだ。『荷物持ちのユウマはダンジョンで不慮の事故で死んだ』ってね。あ、ついでに言うと、受けてるはずのデュラハン討伐の依頼は未達成のままだろうね」


「そんなわけないわ! 今まで、ミナトさんたちの依頼達成率は100%よ!?」

ヒステリックに叫ぶメイさんを、俺は憐れむような目で見つめた。


「クビにした『無能な荷物持ち』がいなくなったんだ。今日を境に、あいつらはBランク以上の依頼すら二度と達成できなくなるさ」


「嘘……嘘よ、嘘よぉっ!」


「本当か嘘かは、あいつらが帰ってきたら分かることだ。じゃあね」

俺とクロドは、今度こそ解体所を後にした。


後に残されたメイさんに、おやっさんが呆れたようにボソリと呟く。

「おい、メイ。俺はユウマの言ってることの方が、案外正しいと思うぜ?」


「うそよぉっ……!」

メイさんは悔しさと混乱に、ポロポロと涙をこぼしながら、俺たちの後ろ姿をいつまでも睨みつけることしかできなかった。


  ◇◇


その頃の『焔の剣』

――同時刻。ダンジョン深層。


「いやぁあああっ! 臭い! 汚い! もう無理ぃいいいっ!!」


弓使いのヒマリが、涙目になりながらゾンビの胸元にナイフを突き立て、ドロドロの腐肉から魔石を穿ち出していた。周囲には、鼻を突く凄まじい死臭が立ち込めている。


「う”ぅ……、オエッ……。臭い、臭すぎるわ……!」

魔法使いのアオイも、高級なローブが汚れるのも構わず、えずきながら魔石を回収している。


「ガタガタぬかすな! 黙って手を動かせ!」

リーダーのミナトが、ムスッとした不機嫌極まりない顔で怒鳴り散らす。


いつもなら、血の一滴すら触れずに完璧に洗浄された魔石だけを受け取っていたのだ。自分たちでやる解体が、これほど精神を削る苦行だとは思いもしなかった。


そんな泥臭い作業をする3人から、1人だけ遥か遠くに離れて、腕を組んで見ているだけの存在がいた。回復士のユイナだ。


「キモいし! 臭いし! 絶対嫌! 私、そんな汚い仕事するくらいなら、今回のお金なんか要らないわ!!」

仲間たちが泥まみれで作業する中、自分だけ安全圏で文句を言うだけのユイナ。


これまでならユウマが宥めていたが、今のパーティにはその緩衝材すらいない。お互いへのイライラが限界まで達した女性陣3人は、ついに、その矛先を「ここにいない少年」へと向けた。


「「「ユウマのクセに……! 生きてたら、絶対許さないんだからぁあああ!!!」」」


自分たちが無能だと切り捨て、ダンジョンに置き去りにして殺しかけたというのに。


不便になった途端、全ての責任を押し付けて逆恨みする、哀れな元一流パーティの面々なのでした。

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