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【改訂版】Sランクパーティーに捨てられたポーターは実は最強の空間魔法使いだった。~虐げられた世界に復讐して『ざまぁ』するんだぁ!~  作者: ボルトコボルト


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第100話 因縁の決着、あるいは傲慢の末路

 俺は漆黒の魔獣――ブラックドッグのクロドの背に跨がったまま、ゆっくりと崖の下へ向かって降りていった。


 そこには、俺のスキルで封印されてピキリと固まっているミナト。そして、落下してきたミナトとまともに額がぶつかった衝撃で、自慢の黒面が粉々に壊れて素顔をさらしてしまっているサキヨマ。さらには、いまだ黒面を着けたまま、警戒を露わにして槍を構えるリマサノの3人がいた。


「サキヨマさん。そこのミナトを、こっちに渡してもらおうか」

 俺はクロドの上から、冷淡にサキヨマへ語りかけた。

「……っ、ちょっと待ってくれ!」

 サキヨマは俺の尋常ならざる雰囲気に気圧されながらもそう引き止めると、すぐ後ろにいるリマサノに小声で囁いた。


「おい、リマサノ。ミナトとあのユウマって男、昔揉めていたって話だったよな?」


「ええ。確か、以前はミナトのパーティーで雑用のポーターをしていたそうですが……最終的にクビにされて、殺されそうになったとミナトから聞いていましたが……」


「なら、どういうことだ? あいつ、わざわざミナトを助けるつもりで追ってきたのか?」


「分かりませんね。なんだかんだで一緒に活動していた時期もあったわけですし、多少の情でも残っているのかも……」


「よし、一か八か交渉してみるか」


 サキヨマは状況を都合よく解釈し、何やら大きな勘違いをしたまま俺に話しかけるつもりのようだ。だが、俺はすでにミナト、アオイ、ヒマリの3人を確実に封印し、逃走の芽を完全に摘んでいる。精神的には割と余裕があったため、とりあえずサキヨマがどんな見苦しい言い訳をするのか、話くらいは聞いてやろうと思っていた。


 サキヨマは懐から鋭利なナイフを抜き出すと、それを身動きの取れないミナトの首元にピタリと押し当て、俺を鋭く睨みつけてきた。


「ユウマ、お願いがある! 俺たちを見逃してくれるなら、このミナトは大人しくお前に引き渡してやる。だが、もし見逃す気が無いって言うなら……今すぐここでミナトを殺す!」


 ……は? こいつ、一体何をごちゃごちゃと言い出しているんだ。


「勘違いしているみたいだけど、サキヨマさん達を見逃す気なんて最初からないよ。それに、ミナトは――俺がこの手で殺す。それ以外に、君たちの取れる行動なんて残されていないよ」


「ん? どういうことだ……? ふざけるな、ユウマ! お前が一歩でも動けば、本当にこいつの首を掻き切るぞ!」

 あー、だんだん会話をするのすら面倒になってきたな。


 俺は思考を切り替え、サキヨマのナイフを持つ手だけをピンポイントで空間ごと封印した。

「……やってみたらいい」


 俺は無造作に、サキヨマへと距離を詰める。


「近付くなと言っているだろう……っ!? な、なんだこれ、手が、腕がビクとも動かない……!?」


 サキヨマがパニックに陥った瞬間、横にいたリマサノが状況の異常さを察し、ヤケクソ気味に槍をミナトの胸元へと突き刺そうとした。その無駄な抵抗も予測の範疇だ。俺はリマサノの身体も瞬時に封印の術中で縛り上げた。


「ユウマぁ! お前は一体、何者なんだよぉ!? 頼むから助けてくれ! 俺たちはここで捕まれば、間違いなく死刑にされるんだよぉ!」


 完全に逃げ道を失ったサキヨマが、狂ったように悲鳴を上げる。


「自業自得でしょ」

 冷たく吐き捨て、俺はサキヨマの身体も完全に封印して沈黙させた。


   ◇◇


 静まり返った崖の下。俺はクロドから降りると、完全にカチコチに固まったミナトの前に立った。そして、彼の『顔の部位』だけ、喋れるように封印を解除した。


「ミナト。お前らが以前にいた、故郷の村へ行ったよ。……俺の父親を殺したのは、お前だったんだね。最後に何か言い残すことはあるか?」


 俺の言葉を聞いた瞬間、ミナトは面の下で顔を歪め、激情のままに大声を喚き散らした。


「ユウマぁ! きさまぁあああ! ふざけるな、まずこの身体を動かせるようにしろぉ! そもそも、無能だったお前をポーターとして雇ってやったのは誰だと思っているんだ! あの時、俺が拾ってやらなければお前なんか野垂れ死んでただろうが! その恩を仇で返しやがってえええええ!!」


「……それが、お前の最後の言葉なのか? 最後まで自分勝手で、傲慢で、本当にどうしようもない男だな」


 俺は極限まで声を低くし、一切の容赦のない殺気を込めてミナトに言い放った。


 ミナトは今まで、自分の犯してきた罪の重さからも、俺の能力からも、どこか目を背けていたのだろう。「どうせ元仲間の俺を本気で殺せるわけがない」とでも高を括っていたに違いない。


 だが、眼前に立つ俺の瞳に宿る、本物の「殺意」を肌で感じ取った瞬間、ミナトの顔から一気に血の気が引いていき、明確な恐怖に怯え始めた。


「ちょ、ちょっと待て……待ってくれユウマ! 見逃してくれ! 悪かった、謝る、謝るからさぁ! なぁ、頼むよぉ、おい! 助けてくれよぉ、命だけは、命だけは助けてくれぇ……っ!」


「――俺の父親も、お前にそうやって命乞いをしたんじゃないのか?」


「くっ……!」

 ミナトはついに言葉を失い、無言のまま絶望の眼差しで俺を睨みつけた。


 次の瞬間、ミナトの目、鼻、そして口から、堰を切ったようにドッと鮮血が流れ落ちた。


 俺が完全に封印を解除すると、かつて元Sランクとまで謳われたミナトの身体は、中身の糸が切れた人形のように、崩れるようにして地面へと倒れ伏した。


 こうして、長きにわたる因縁の復讐劇は、静寂のなかで幕を閉じたのだった。

最後まで読んでいただきありがとうございました!


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