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不敵な魔王と、不機嫌な将軍
その日の夜。魔王軍の本殿にて。
戦果報告を終えたリナの肩に、ひょいっと大きな手が置かれた。
「リ、……(リナが睨む)……じゃなくて、ルミナス。元気か? 私がわざわざ様子を見に来てやったぞ」
低く、甘く、響く声。魔王ゼファーだ。
「はいはい、元気ですよ。ゼフは本当に暇なんですね。私は忙しいんですよ」
「……ぜ、ゼフだと!? 貴様、魔王様に向かってなんて口を……!」
物陰でレオナールが泡を吹く。「(……しかも今、リ……って言いかけたよな? ルミナスの男の名前はリチャードか!?)」
「冷たいな。私の愛が足りないのか?」
「……ゼファー様。近いです。どいてください(バシッ!)」
リナの容赦ない平手打ちが、魔王の甲冑を鳴らした。
広間にいた将軍たちが凍りつく中、リナの足元で小さくなったセレスとフィアが「またか」と呆れたようにアクビをした。
(……ゼフ。あなたは私を助けてくれた。でも、私の家族を奪った種族の王。……馴れ難くしないで)
リナの胸の奥にある孤独を、将軍たちはまだ誰も知らない。




