第3話:密かなパフェ、バレた秘密?
「……よし。誰もついてきてないね?」
軍服を脱ぎ捨て(といってもフードはそのままだが)、リナは街の路地裏で足を止めた。
隣には、不敵に笑うチャラ男のフェリクスと、お菓子を頬張る可愛いニコがいる。
「大丈夫。レオくんたちは、僕が『ルミナスちゃんは秘密の特訓中だよ』って嘘ついといたから」
「さっすがニコちゃん。さあルミナスちゃん、行こうよ。予約限定のタワーパフェ!」
三人は他の将軍たちの目を盗み、こっそりと街のカフェへ忍び込んだ。
リナの膝の上には子猫サイズのフィア、足元には子犬サイズのセレスが控えている。
「……ん。美味しい」
リナはフードを少しだけ持ち上げ、幸せそうにスプーンを動かす。
「でしょー? ここ、女の子に人気なんだよね。あ、ルミナスちゃんも気に入ってくれて良かった」
フェリクスが優しく目を細める。
「……たまには、こういうのもいい。……フェリ、ニコ、誘ってくれてありがとう」
リナが珍しく素直に礼を言うと、二人は顔を見合わせて「……可愛い」と同時に呟いた。
しかし、平和な時間は長くは続かなかった。
「……ほう。特訓と聞いていたが、ここが訓練場か?」
背筋が凍るような冷たい声。
見上げれば、なぜか変装もせず堂々と店に入ってきたゼファーが、リクの隣にどっかと腰を下ろした。
「……ゼフ。どうしてここが」
「お前の匂い(魔力)を辿るなど造作もない。……リナ、じゃなかった、ルミナス。私にもそのイチゴを一口よこせ」
「……嫌。これは私の。……それに、ゼフは本当に暇人ですね」
「バシッ!」と、いつもの平手が炸裂する。
そこへ、店を覗き込んでいたレオナールたちが乱入してきた。
「やはりここにいたかルミナス!女子のようにパフェを食うとは、修行が足りんぞ!」
「……ルミナス殿、魔法の理論について議論を……」
「…………(じーっ)」
「……(ガウ、イチゴ食べる?)」
リナがこっそりガウにイチゴを差し出し、パフェ会は結局、いつもの騒がしい魔王軍幹部会議のようになってしまうのだった。




