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主犯を捜そう

 峠に戻った私達、バランスのいいご飯を食べながらベノムを待ったの。

 帰って来たベノムの話しでワイトロウ達はこの場所に住むようにって。

 何にもないところだけど大丈夫なの。

 ウィーディアが商売相手として取引してくれるんだって。

 それで住処を作るのを手伝ってこの場所をあとにしたんだ。

 私達は荷車を返しにパサウェイの町のお店に向かったの。

 返して終わりって思っていたんだけど、何か店の人が怪我をしちゃってお金を盗まれたんだって。

 ちょっとトラブルになりそうだったけど、ベノムのお陰で助かったんだよ。

 それで事情を聞かれて先日悪い人に襲われたって伝えたの。

「では、我々は引き続き調査に向かいます、これにて失礼を!」


 と、警官達が去って行ったけど、この荷車を帰さなきゃ。

 私は店の近くにポンと置いたんだよ。


「それじゃあ俺達の用事は済んだな。後はここの奴等に任せて帰るか」


 もうベノムは帰ろうとしているの。

 まだ事件も解決していないのに。

 私は止めようかなって思っていたら、


「隊長殿、その前に一度宿を取りましょう。拙者は普通に休みたいです」


「おい、俺は金を出さねぇぞ」


「大丈夫です、お二人の分も拙者が持たせていただきます! 臨時の収入もありましたから!」


 ブラッククロウがここに泊まりたいんだって。

 自分の胸を叩いているの。


「ほう、太っ腹だな。んじゃ、お言葉に甘えるとするぜ」


「わーい、お部屋で寝れるよー!」


 ゆっくり休めてここに残れるから丁度いいね。


(良かったね。ああでも財宝って偽物が多いんじゃなかったっけ? ブラッククロウ大丈夫かな?)


「知らなーい。けど店のおじさんは可哀想だね。襲われて大丈夫だったのかな?」


(心配なら調べてみればいいんじゃない? 何なら仇を討っちゃうとかさ)


「うん、そうしてみるよー」


 それで今日はこの町に泊まることになったんだよ。

 丸太を組み合わせたようなログハウスなの。

 美味しいお料理を食べてグッスリお休みしたんだ。

 それで次の日、


「うおおおお、偽物ですとおおおお!? そ、そんな……。隊長殿、昨日の宿代をどうにか経費で、経費で落ちませんか!」


「まあこんなこともあるわな、昨日の宿代すんげぇ助かったぜ。ちなみに無理だ」


「うおおおおお!」


 ブラッククロウが財宝を換金しようとして絶望して慰められているの。

 ベノムの方はそこそこ儲かったみたいだよ。

 けど、それはしょうがないよね。


 あっちは放っておいて、私は店のお爺さんに声をかけたてみたの。

 もしかして昨日の犯人の名前を教えてくれるんじゃないかって思って。


「なに、先日集まった者達の名前を聞きたいですと? もちろんいいですとも。ですが今更買い直したいと云われても無理ですからな」


「大丈夫、私あんなの要らないもん。事件のことをね、調べているの!」


「ほう、あの中に町を騒がせた襲撃犯がいたということですかな? ならばご協力いたしましょう」


 それでお爺さんにここに来た十人の名前を教えてもらったの。

 ヴァン・サロース、ユーリ・ドレイク、色々続いてダンディン・サウザー。

 最後のこの人の名前は聞いたことがある。


「御主人、もしかしてダンディン・サウザーって人じゃないかな?」


(うん、確かに聞いたことがあるよ。たぶんこの人だね)


「お爺さん、この人の居る場所を教えてー!」


「そうですな、では地図をお渡しいたします。少々お待ちください」


 と、私は地図を渡されたの。

 見てみるとここからはちょっと遠いみたい。

 でも私なら直ぐに行けるよね。


「ベノム、ブラッククロウ、私ちょっと行ってくるねー!」


 何時も御主人に注意されているからちゃんと声をかけたんだ。


「おい何処に行くんだよ」


「悪い人のところだよー」


「あ、もしかして警官が云っていた強盗犯か? ここの奴等に任せとけばいいんじゃねぇか?」


「ダメだよ、だって私が財宝を持って行かなかったらお店の人は襲われなかったんだよ。私が犯人を捕まえたいの! 御主人、行こう!」


 私は換金所の扉に手をかけた。


「しゃあねぇ、俺も付いて行ってやる。ブラッククロウ……は、使えそうもねぇな。お前はここで待っていろ」


「承知……」


 と、ブラッククロウは床に這いつくばって涙しているよ。

 どうにもできないから放っておくしかないかな?

 それで私達はお店を飛びだしたの。

 地図を見ながらシュババって移動して数分後、私達はその場所に到着したんだよ。

 お爺さんのお店とは違ってちょっと新しい感じ。

 どんな悪そうな人なのかって警戒していたんだけど、


「いらっしゃいませ!」


 って、すっごい笑顔で対応されちゃったの。

 この人がダンディン・サウザー?

 他に人は居ないし、一人でせっせと働いている姿はあんまり悪い人にはみえないな。

 口ヒゲをクルンとさせた人の良いおじさんって感じ。

 普通にお客さんもいるみたいだから戦って解決ってわけにはいかないよねぇ?


「御主人どうしよう?」


(あー、一応話を聞いてみたら?)


「うん、そうしてみるよ」


 私はカウンターに向かって声をかけてみることにしたの。


「おお貴女は、あの時はいい商売をさせていただきました。それで今日はどのようなご用件で?」


 ダンディン・サウザーは私のことを覚えているみたい。


「強盗犯の人だよね?」


 私は率直に聞いてみたよ。


「え、ち、違いますよ。そんな事をするわけがないじゃないですか! 何所でそんな間違ったことを聞いたのですか!?」


「お爺さんの店で聞いたの。ダンディン・サウザーの店はここだって」


「お爺さん? もしかしてそれってダンディン・サウザーさんの店なのでは!?」


「えー、何それー?」


「あー、俺には事情はよく分かんねぇんだが、さっきの店の爺が犯人だったんじゃねぇのか?」


(モモ、僕達騙されていたのかも)


「えー、じゃあ急いで戻らなきゃだね!」


 あそこにはブラッククロウも残しているんだ。

 何かある前に私は急いで店を出ようとしたんだけど、


「待て、そいつはこの男の話しを信用出来たらだろ。まずはこいつがダンディン・サウザーじゃないって証明してもらわねぇとだ」


 ベノムにガシッと止められちゃった。


「証明しろと云われても……ああ、こういうのはどうでしょうか? これでも昔は冒険者でして」


 と、店主が引き出しから取り出したのは冒険者のカードだよ。

 ちょっと古いけど、私が持っているのとも同じなの。

 顔写真のようなものもあるし、名前は……ダンディン・サウザーとは全然違ったよ。


(やっぱり騙されていたんだよ。あのお爺さんが犯人だ!)


「うん、急いで帰ろう!」


「しゃーねぇな!」


 私達は来た道を引き返してダンディン・サウザーの店に向かったんだ。

 数分後に到着したけど、ブラッククロウが倒れているだけなの。


「……どうやら死んじゃいねぇみてぇだぜ。睡眠薬入りの茶でも飲まされたのかもな」


「お爺さんは逃げたのかな?」


 この店に気配を感じないんだ。

 私はお店の扉に手をかけたの。


「大丈夫だとは思うが、ブラッククロウを置いては行けねぇ。俺はここに残らせてもらうぜ。お前なら一人でも大丈夫だろ?」


「うん、行ってくるね!」


(行ってきまーす!)


 私は御主人と店を出たの。

 そんなに時間が経っていないからまだ近くにいるのかも。

 でもどっちに行ったんだろう?


「たぶんあっち!」


(たぶんあっち!)


 私と御主人は別の方向を指さした。

 うーん、どっちにしよう?


「待て待て、行くのはあっちだ」


 と、声をかけたのは店から出て来たベノムだよ。


「地図で遠くに行かされたんだろ。だったらその逆が怪しいぜ。まあそれも確かじゃねぇけど可能性はあるだろ」


「そっか、じゃあ行ってみるよ!」


 私はそっちの方向に走ってみたよ。

 そのままダンディンの気配を探ったの。

 行って帰って十分程度、そのぐらいの距離ならもう追いつくぐらいかなぁ。

 そろそろ……あ、見つけた。


 道を走っている馬車の中から気配を感じるよ!

 町の外に逃げようとしているみたい。

 でもそんなことはさせないんもん!


「御主人、飛び乗るよー!」


(うん!)


 並走してピョンって馬車の屋根に飛び乗ったんだ。

 窓を覗くとやっぱりダンディンが乗っていたよ。

 それとその隣にもう一人、刀のような物を持った片目に傷のあるハウリングウルフが。

 チャキッと親指でつばを鳴らして狭い馬車の中から刃が振りかざされたの。


 覗いていた窓がスッパリ両断されちゃったんだ。

 じゃあ今度は逆からと思ったんだけど、何か屋根がずり落ちて……。


「あれー?」


 ガタンって地面に落ちちゃったよ。

 馬車がまた遠ざかって行くけど、絶対逃がさないから!

家猫のモモ

御主人ごしゅじん(ヒロ)

王子シャーン

王女ルシフェリア

王女イブレーテ(長女)

シャーンのお母さんテルナ

グリフ・リスマイヤー

青鎧のブルース・グライブス

教育係アリア・ファイリーズ

赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)

桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)


ベノム(ブレードバード隊、隊長)


ルーカ(孤児)

プラム・オデッセイ(里帰り中)

ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)


クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)

シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)


剣と魔法の世界 ミドレイス

翼の生えた子供 ウリエリア

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