移住
私はトレジャーハンターの三人を連れて近くの町に向かったの。
お野菜を売っているお店を見つけたけれど、財宝で交換はしてくれないみたい。
換金所に行って換金して貰ったんだよ。
でもね、殆ど偽物で価値もそんなにないんだって。
三人の持っている物も同じだったんだ。
これじゃあ皆の分を買って行けないってことで、私はポケットに入れていたコインのことを思い出したの。
それがすっごく高い値で売れたんだよ。
お店でお野菜を買って余ったお金は三人にあげちゃった。
それでそのままお別れするんだって。
目的を終えた私は町から帰ろうとしたんだけど、変な人達に囲まれたった。
襲い掛かって来たから返り討ちにしてあげたんだよ。
お野菜を補充して数日後。
ベノムが峠に戻って来たんだよ。
早かったから急いでくれたのかも。
ハァハァ息を切らしているの。
「テルナ様からの言葉を伝えるぜ。この国にモンスターの大軍を入れることはできないってよ……」
その言葉を聞くと皆がザワっとしてしまった。
やっぱり悲しかったのかも。
「……交渉御苦労であった。お前達には随分感謝している。後は我々だけで……」
と、ワイトロウが告げようとしていたんだけどね、
「待った、話しはここからだ。この先に入れることは出来ないが、この場所については我々は関与しないとのことだぜ。それと商売相手としてなら物を売り買いしてもいいってことだ。もちろん食料もな。当面は金じゃなくて見つけた財宝でもいいってよ」
「それはつまり、我々はここに住めと?」
「おうよ、それで不満か?」
ワイトロウはこの場所を見回している。
相変わらずトゲトゲの山脈は草一本なくて動物すらも見当たらないの。
あ、でも河にはお魚がちょっといたかな。
「幸い我々には洞窟を掘るのが得意な種族も多い。数日かければそれなりの住処を作ることも可能だろう。是非それで頼む」
「じゃ、交渉成立ってことで。モモ、ブラッククロウ、お前等も今日一日洞窟掘りを手伝ってやれ」
「はーい!」
「承知!」
私は無数に分岐させたキャットスレイヴをかたそうな壁に突き立てた。
スッパリバッサリ切り裂いて大きな穴を作ったの。
ブラッククロウが邪魔になった岩をどけてくれているよ。
「彼等だけに任せてはおけない。我等も手伝うのだ!」
ワイトロウの掛け声で他の皆も動き出したんだ。
ブラッククロウと一緒に岩を退かしたり、その岩を加工したりしているよ。
私はそれを見届けながらドンドン掘り進めて皆が入れる位の大さにしたんだよ。
「おお、こんなに手早く出来るとは素晴らしい。やはり第三夫人に、いや、第二夫人にならないか?」
ワイトロウが仕事を終えた私の手を握って来たの。
「えー、ごめんなさい。ならないよー」
私はキッパリお断りしたんだ。
「なに、やはり正妻にして欲しいと? 残念ながらそれは難しい。子を成せないのはこの国の王として失格だからな。すまないな、これも国のためなのだ。お前もここで諦めてくれると嬉しい。いや、それは出来ないのは分かっている。酷なことを言って申し訳ない」
(何かまた勘違いしているみたいだね)
「そうだねー」
それでね、それからも私達は石でテーブルを作ったり椅子を作ったりしたんだよ。
皆で頑張って立派な住処が完成したんだ。
これでもう雨にぬれたりもしないの。
全部終わったから私達も出発しないとね。
「三人とも色々世話になった。これからもよろしく頼むぞ」
ワイトロウやモンスター……じゃなくて獣人の皆が見送ってくれているよ。
「うん、また来るね!」
「ま、立派な取引相手だからな。機会があったらまたくるぜ」
「中々大変な旅でしたがそれなりに楽しむことが出来ました。皆様に御武運を」
私達は手を振ってお別れしたんだ。
お城に帰る前に、野菜を乗せてきた荷車を返しにいかなくちゃね。
四人でパサウェイの町に向かったんだよ。
のんびりした風景は相変わらずだけど、前来た時とはちょっと違った感じがしたんだ。
いろんな場所で警官? 憲兵? みたいな人達が動き回っているよ。
何かあったのかな?
「えっとね、あそこの店だよ」
でも今はこの荷車を返しに行かないとだね。
私はお店がある場所を指さしたの。
「そうかよ、早く行って来い。俺等はここで待っているからよ」
「はーい!」
私は御主人を連れて店に行ったんだ。
前みたいに『いらっしゃい』ていう声はかからなかったの。
店の中は警官が何かを調べているみたい。
(もしかして店の人に何かあったのかな?)
「聞いてみるよー」
私は近くに居た怖そうな顔の警官に話しかけたの。
「ねぇねぇ、私ここの人に用事があるんだけれど、今居ないのー?」
「ん、ここの人達の関係者かね。ちょっと話をしていただきたいので署まで付き合ってもらえませんか」
「えー? 私荷車を返しにきただけなんだよー?」
「まあまあ、詳しい話は署でじっくりと」
その人は私の手をグッと掴んで来たんだ。
でもこんな人に付き合いたくはないなぁ。
私は思わずポーンって投げ飛ばしちゃった。
「ふぐあぁ!?」
受け身も取れずにちょっと痛そう。
(あー、やっちゃったよ。モモ、警官を投げたらダメだって)
「えー、そうなんだー?」
近づいて謝ろうとしたんだけれど、
「おのれ、抵抗する気か!?」
この警官は剣を抜いちゃったんだ。
けど、戦うなら負けないんだよ!
私はキャットスレイヴを手に……。
(ダメダメダメダメダメ、戦っちゃダメ!)
「えー、じゃあどうするのー?」
(あそこにいる二人に助けを求めようよ、ベノムも結構偉い人だし!)
「うん、そうしてみるねー」
「ま、待て、逃げる気か!」
と追いかけられちゃうけど、私は捕まったりしないんだ。
サッと移動してベノムとブラッククロウが居る場所に。
「お前なにやってんだ。こんな所で騒ぎを起こすなよ」
「えー、変なことしてないよー。ギュって握られたから投げ飛ばしただけだしー」
「やってんじゃねぇか!」
「モモ殿はトラブルメーカーですな」
(右に同意)
そして話していると数人の警官が私達の前に集まって来たの。
「これ以上抵抗するな、するならば手痛い目に遭わせてやるぞ!」
怖い顔がすごい怖い顔になってるよ。
「待て待て待て待て、ウィーディアで官職についてんなら俺の顔ぐらい知ってんだろ。こいつは俺の部下で悪い奴じゃねぇよ。ちょっとそれを返しにきただけだぜ」
ベノムは後にある荷車を指さしたの。
怒っている警官はその顔をジロジロ見て……。
「もしや、御高名なベノム殿なのでは!?」
皆バッと敬礼なんかしたんだよ。
「おうそうだぜ。今は遠征の帰りなんだがよぉ、ちょっとこの町に立ち寄らせて貰ったって訳だが、良ければ事情を話してもらえねぇか? 信用できねぇってんなら城に問い合わせてもらっても構わねぇぜ」
「いえ、必要ありません。実は私、ベノム卿のファンなのです。その顔も声も存じております。今直ぐご説明いたします!」
と、明らかに私に接する態度とは別の感じになっちゃったの。
ちょっとぷーっとしちゃうなぁ。
「実は二日前にこの店の主人が強盗に襲撃されまして、大量の現金を奪われてしまったそうなのです。その少し前に大量の野菜を買って行った人物がいるそうなのですが……」
「あ、それは私だよー! お野菜を買いに来たのー!」
「ということは犯人ではありえないということですな!?」
怖い顔の警官はベノムに顔を近づけている。
「近い近い! 俺等は違うから他に怪しい奴を捜してくれや!」
「しかしそうなると手掛かりがないのです。何か覚えていることがあるなら教えて下さると助かるのですが」
「あー、モモ、何か覚えていることはねぇのか?」
「えー、何だろー?」
(モモ、あれじゃないかな? ほら、帰りに悪い人達がいっぱい出て来たじゃない? もしかしてあの人達なんじゃないのかな?)
そういえば悪者の雇い主も聞いていたんだけど、
「御主人、悪者が云っていた名前って何だっけ?」
二日も経ったら忘れちゃったよ。
(えっとね、うーんと……僕も忘れちゃった)
頼りの御主人も覚えてないんだって。
これじゃあどうにもならないよ。
「何か知っているようですな。モモ殿といいましたかな? 詳しく事情を教えていただきたい」
「いいよー!」
私は警官に事情を話したの。
町の外で悪者に襲われたこととかボスの名前も聞いたって言ったけど、名前は忘れちゃったって伝えたよ。
「ふむ、ならばその悪漢共が怪しいですな。了解しました、ならばその線で調べてみると致しましょう」
「がんばってー!」
「ですがその前に、出来ればサインを頂けるととても嬉しいのですが……」
怖い顔の警官はベノムにサインを求めているよ。
「分かった、してやりゃあいいんだろ」
それで大勢集まった警官達に忙しくサインをしたみたい。
家猫のモモ
御主人(ヒロ)
王子シャーン
王女ルシフェリア
王女イブレーテ(長女)
シャーンのお母さんテルナ
爺
青鎧のブルース・グライブス
教育係アリア・ファイリーズ
赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)
桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)
ベノム(ブレードバード隊、隊長)
ルーカ(孤児)
プラム・オデッセイ(里帰り中)
ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)
クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)
シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)
剣と魔法の世界 ミドレイス
翼の生えた子供 ウリエリア




