へびへびパニック
私は大蛇に襲われていた三人を連れて戻った。
トレジャーハンターがどうとかで、道中は皆で宝探しをついでにしようってことになったんだ。
私は損なのには興味がなかったから大蛇を見つけようと近くを探ったの。
やっぱり景色に同化して気配も分からないと探すのは大変だ。
崖下でコインを拾ったりしながら皆の下に戻ると、グゴゴって大蛇が動ている音がしたよ。
警戒はしていたんだけど、ブラッククロウが襲われて連れ去らわれちゃった。
私はそれを追って峠を駆け回り、河の中に入って洞窟の中へ。
でも奥でブラッククロウがのみこまれようとしていたんだ。
攻撃して倒そうとしたけど、相手はかたくて逆に吞み込まれそうになっちゃった。
パクっという感じで私は大蛇の中に飲み込まれてしまったの。
でもタダで食べられてあげる訳じゃないんだから。
キャットスレイヴで体との間に隙間を開けたんだよ。
そのままの状態をキープしつつザクっと内側から切り裂いたんだ。
流石に体の中まではかたくはないみたい。
外皮まで到達して大蛇は大暴れしたんだよ。
でもキャットスレイブはガッチリ地面に食い込んでいるの。
どれだけ暴れてもここからは逃げられないんだ。
私は今の内にねとねとの通路を進み奥に倒れていたブラッククロウの手を掴んだの。
ググっとひっぱるとスポンと抜けて私の下へ。
「グッ、カハッ! 死、死ぬかと思いました」
まだちゃんと生きていたね。
あとはこの大蛇を退治しちゃえばいい感じ!
「てええええい!」
私は思う存分キャットスレイブを躍らせる。
ブスブスザクザクいっぱい攻撃すると、大蛇は完全に動かなくなっちゃった。
それから私達はウニウニ這い出て外に出たんだよ。
「よーし、勝ったよー!」
(モモ、よくやったね)
それを見た御主人が駆け付けてくれたよ。
「モモ殿が来てくださらなければ拙者は蛇の糞になるところでしたぞ。とても感謝しています」
「うん!」
二人が誉めてくれるからちょっと嬉しくなっちゃった。
「それでですな、これを見てほしいのです」
ブラッククロウは懐にしまっていた青い宝石を取り出したの。
「きっとこの大蛇に食べられた者達の物でしょう。奥にまだまだありますぞ。さあ探しましょう!」
「はーい!」
私はキャットスレイヴを剣にしてガシッと振り下ろしたんだ。
すごくかたかったけど、力を込めたらスッパリ切れたの。
真っ二つになった大蛇の中には多くの宝石や金貨とか、想像以上にゴロゴロ入っていたんだよ。
「うおおお、うおおおおおお! これ全部拙者の物だああああ!」
と、喜んでいるけれど、
「皆で分けるんじゃないのー?」
私はブラッククロウに注意してあげたの。
「はっ、そうであった。拙者、少々取り乱してしまったらしい。ですが少しぐらいはいいでしょう。拙者達が見つけたのですから!」
「うーん、御主人はどう思うー?」
(まあ良いんじゃないの。最初に見つけた人の特権だよね)
「いいんだって」
「おお、切符がいいですな。拙者を助けてくださったお礼です。どうぞお先に好きな物をお取りください!」
(モモ、欲しいものを選んでいいよ)
「そっかー。じゃあこれにするよー!」
私は切り分けた蛇のお肉を手に取ったの。
車のタイヤより大きいからお腹いっぱいになれそうだ。
美味しいと良いなぁ。
「それではモモ殿の分は拙者が代わりに……」
ブラッククロウは持てるだけ財宝を手に抱えたり首にかけたりしているよ。
じゃあ私は蛇のお肉をキャットスレイブで運ぼうかな。
もうちょっと細かく切り分けて、落とさないようにしっかり持ったの。
でもこの量だと一回じゃ運べないかも?
「じゃあ私先に戻るね。御主人帰ろー!」
(うん、皆に食料を提供しなきゃね)
私は持てる限りの蛇肉を持って走り出したんだよ。
「モモ殿、拙者を置いて行かないでくだされええええ!」
何か叫び声が聞こえるけど気にしない。
一回皆の居る場所に戻ったの。
「勝ったよー!」
「おう、見りゃ分かる。それでブラッククロウはどうなった?」
「お肉を運びたかったから置いて来た! 美味しいお肉が食べたいんだもん!」
「中々酷い扱いだなおい。まあその感じなら無事そうだな。じゃあ焼いといてやるからさっさと連れてこい」
「うん分かった。じゃあ御主人、ここで待っていてね!」
(うん、もう敵は居ないから大丈夫だと思うけど、一応気を付けて行ってくるんだよ)
「はーい!」
それで一度御主人を待たせて私は河のある場所に戻ったんだけどね、ブラッククロウが河岸にずぶ濡れの状態で倒れていたんだ。
一人で脱出してきたのかも。
うーん、でもブラッククロウの気配がないとあの洞窟の中は迷っちゃうかも。
「起きてー!」
私はパシパシ頬を叩いて起こしてみたよ。
「うっ、くっ……モモ殿、置いて行くなんて酷い……」
ちゃんと意識もあるから大丈夫っぽい。
「えー、戻ってくるつもりだったのにー」
「そういうことは、先に云ってほしかったです……。無理に脱出した所為で折角の宝がほとんど流されてしまったじゃないですか。……うぐふぅ!」
ブラッククロウはブバッって水を吐き出したの。
私はサッと避けたんだ。
「じゃあもう一回洞窟の中に行こー!」
「え、もう一度ですと……。いや確かにお宝は欲しい。是非とも行きましょう」
「うん、じゃあ行こー!」
私はブラッククロウの腕を掴んで、
「待ってモモ殿、拙者まだ心の準備がああああ!?」
河の中に飛び込んだんだよ。
後ろで何かボコボコいっている。
何だか分からないけど、洞窟までは一分もかからないよ。
ほら、もう目の前なの。
魚みたいにギューンって泳いで空気のある場所に出たんだ。
「ぐばぁ! はぁはぁ、これは死ぬ、本当に死ぬ!」
ブラッククロウは苦しそうにしているよ。
ちゃんと息を止めて無かったのかなぁ?
「大丈夫だよ、そんなに遠くなかったもん」
「……そういうことではなくて、せめて充分な息を吸わせてからにしてくだされ。帰りは是非ともお願いします……」
「うん、いいよー!」
そういうことで洞窟の奥。
私達は何度も往復して蛇肉と財宝を持ち帰ったんだ。
戻るとすっごく美味しそうな匂いが漂っているの。
皆ももう食べ始めているよ。
その表情はすごく満足している感じで期待が持てそうなの。
(モモ、お帰り!)
「御主人ただいま!」
(えっと、一人死にそうにぐったりしているけど、大丈夫なのこれ?)
御主人はげっそりしながら財宝に埋もれてちょっと満足そうなブラッククロウを見ているよ。
数十回の往復で息を止め疲れているの。
「大丈夫だよ、ちゃんと休んだし!」
「よし、よくやった。これで脅威もなくなったし旅費もなんとかなりそうだぜ。お前は飯食って休んでいろ」
「はーい!」
私は用意してあった蛇肉を手に取ったんだ。
まだ暖かくて香ばしい匂い。
がぶっといくと噛み応えのあるお肉の中からじゅわっとお汁が溢れ出てくるの。
その味は生臭くなくて、変な後味とかもなくて、とても……。
「美味しー!」
すごく満足!
私はお腹いっぱい食べ続けたんだよ。
皆も満足しているみたいで嬉しいの。
でもずっとこればっかりだとちょっと飽きちゃいそう。
早く峠を抜けたいな。
それで満腹になった私達はこの場所から出発したんだよ。
大蛇を倒したからもう何も出て来なかったの。
蛇肉を食べたり不味いお肉を食べたりしながら七日、ついに峠の出口に到着したんだよ。
道は鉄の扉で厳重に封印されているみたいだけど、その先に見張りは居ないみたい。
ここを抜けちゃえばもうウィーディアなんだ。
誰も怪我した人は居ないし、全員で喜んでいるの。
「ここまでくれば安心だ。あとは俺がテルナ様を徹底的に説得してくるだけだぜ! ……はぁ、それが一番つれぇぜ」
逆にベノムはあんまり嬉しそうじゃない。
「ベノムがんばれー!」
(がんばってねー!)
私と御主人はちょっと応援してあげたよ。
「簡単に云うなおい、テルナ様は怒るとすっげぇ怖いんだからな」
「それでも隊長殿しか交渉できないのですからしかたないですよ」
「わかっている、モモじゃ流石に難しいだろうしな。んじゃ行ってくるぜ」
ベノムが飛び立とうとした時、『待て』と、ワイトロウから声がかかったの。
「その前に礼を言わせてくれ。ここまで付き合って貰って感謝しかない。今後何かあった時には我等全員一丸となって――」
「そっちこそ待て、まだ許可を貰った訳じゃねぇんだからな。もしかしたらここで捨てて行く可能性だってあるんだぜ?」
「その時はその時だ。この気持ちは永遠に変わらない。さあ皆よ、彼等に頭を下げるのだ!」
ワイトロウが引き連れてきた皆は私達に向かって頭を下げたりお礼を云われたりしまくったんだ。
「お、おう……。じゃあ行ってくるぜ」
それでね、なんかちょっと照れている感じのベノムが出発したんだよ。
家猫のモモ
御主人(ヒロ)
王子シャーン
王女ルシフェリア
王女イブレーテ(長女)
シャーンのお母さんテルナ
爺
青鎧のブルース・グライブス
教育係アリア・ファイリーズ
赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)
桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)
ベノム(ブレードバード隊、隊長)
ルーカ(孤児)
プラム・オデッセイ(里帰り中)
ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)
クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)
シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)
剣と魔法の世界 ミドレイス
翼の生えた子供 ウリエリア




