グライメンツの問題
毎日のように廃墟の町に行こうと誘ってくるルシフェリア。
受け入れたり受け入れなかったりしながら日が流れていくの。
まだ怒られてはないけど、その内バレてしまいそう。
私は暇な時にブレードバードの隊舎に行ってみたんだけれど、ベノムはルシフェリアから逃げる為に遠征に誘ってきたよ。
狼男みたいな種族が住んでいるという国、グライメンツに行くんだって。
私も行くことに決めるとベノムが今まで何処かに調査していたブラッククロウってハウリングウルフの隊員を紹介してくれたの。
それで一週間後に隊の皆と出発したんだよ。
色々なことがありながら二週間の旅を終えてグライメンツに到着したんだ。
私達はグライメンツという国に到着したの。
ここの人に案内されて一番大きな道を通ってるんだ。
ハウリングウルフという種族が住んでるって聞いたけど、逆にそれ以外は見当たらない感じだよ。
私達が珍しいのかジロジロ見られているよ。
視線の奥にはあんまり歓迎してないって雰囲気あるみたい。
やっぱり知らない人は怖いもんね。
でも私達はそんな事は気にせずに崖のようにそびえ立つお城に向かったんだ。
あの天辺で狼が遠吠えをしてそうな雰囲気だよ。
そのお城の入り口の前で、ベノムが偉い人に声をかけられているの。
やっぱりこの人もハウリングウルフなの。
よく分からないけど、ちょっと毛が長くって年老いてる感じかな?
この人は何人かの従者を連れているよ。
「よくぞお越し下さいました。わたくしこの国の宰相を務めるリングルードと申します。どうぞよしなにお願い申し上げます」
「こちらこそよろしくお願いします。こっちの事情を知らない奴ばっかりなんでそのへんは大目にみてくれるとありがたいです! 特にそこのあいつとか!」
ベノムが私の方を指さしたの。
「ふえー?」
でもあんまり聞いて無かったからいいかなー?
気にせずに残しておいた保存食を口に運んだよ。
「ふむ、ストレイキャットのということは、あの方が勇者と名乗られている方なのでしょうか? 噂はこの国にも届いておりますぞ」
「まあ確かに強いのは間違いないんですがね、性格的には超問題ありなんですんで気を付けてくださいよ。基本的に働かねぇやつですからね」
「それは残念ですな。実のところ頼みたいことがあったのですが……」
「あいつに頼み事ですか? 俺らでも何か出来るかも知れませんから事情を話してくれると対処も出来るんですがね」
「ええ、お話しいたしましょう。しかしここでは何ですな。まずは応接室に参りましょうか。ここに残られる他の皆様にも宿をご用意してあります。さあお前達、皆様をご案内してさしあげろ」
リングルードの従者が皆に声をかけて人数とか聞いているよ。
皆ゾロゾロ移動していくね。
「それはありがてぇや。んじゃモモ、それとブラックウルフ、一応お前も付いて来い。万が一何か役立つかもしれねぇしな」
私はベノムと一緒に行かなきゃいけないみたい?
「ふぁーい」
お肉を口に含んだまま返事をしたよ。
「承知、同行させていただきます!」
ブラッククロウも一緒なの。
それから御主人を連れてベノムのところに行ったんだ。
「こんにちは、モモだよー! こっちは御主人だよ!」
(こんにちは、僕はヒロだよ)
「ブラッククロウと申します。どうぞよろしく」
それから三人でリングルードに挨拶したよ。
「おいコラモモ、偉い人にはそれなりの礼儀をだなぁ――」
ベノムがまた文句を云おうとしてたんだけど、
「いえいえ、よろしいのです。元気があって良いではありませんか。よろしく頼みますよモモ殿。さあこちらに、ご案内いたします」
相手はそんなに気にしてないっぽい。
私達はお城の中に入って応接室に行ったんだ。
ちょっと訳の分からない調度品が置いてあったりするだけで中はそんなに変わらないよ。
お菓子とか出てくるのかなって思ったけれど、お茶がポンと置かれただけだったの。
ちょっと飲んでみるとニガニガなの。
私の口には合わないかな。
「さてと、何から話したものですかな」
リングルードは顎髭のようなものを触って考えてるよ。
ようやくまとまったのかニガニガのお茶を飲んで口を開くみたい。
「実は近頃魔王軍と名乗る輩が我が国に現われましてな。確かウィーディアの皆様もそう呼ばれていたのではなかったですかな?」
何だか私達を疑っている感じ?
リングルードは狼っぽくギラッと睨みを利かせたの。
「待て待て待て、それはとんでもない誤解だぜ。いやですぜ。確かにそう呼ばれていた時期もありますけどね、俺らは悪いことなんて一切していませんから。な、モモ、ブラッククロウも、そうだろ!?」
ベノムはすっごく慌てたように私達に聞いてきたけど、
「悪いことはしてないよー?」
「ええ、そのような話は聞いたことがありません」
この国にはさっきついたばっかりだからやりようがないもん。
(だよね、でも魔王軍ってどっかで聞いたことがあるような)
「あー、そういえば知ってるね! 牧場の隣に居た人が魔王軍って云っていたよー!」
御主人の言葉で私は思い出したの。
ちょっと前に見かけた悪者なんだよ。
「あん……ああ、あいつか。確かに魔王軍って名乗ってたな。とんでもなく弱かったから頭から除外していたぜ」
やっとベノムも思い出したみたい。
「おや、やはりお知り合いなのですね。もしやあなた方はこの国を侵略しにいらっしゃったのでしょうか。それならそれで相応の対応をせねばなりませんな」
その話を聞いたリングルードはすっごく怪しんでいるの。
「いやいや違いますって、そもそも奴と会ったのはウィーディアの領内じゃなかったですし。俺達とは全く関係ないんですよ!」
「ならばそれを証明するためにも貸していただきたい。他の皆様のためにも是非に。証明さえしてくだされば無事に返しましょう。どうですかな?」
ベノムの反論にも強気に私達を睨み続けているよ。
「チィ、まさか他の奴等を人質に取られたのか!?」
「隊長殿、ならばなんとしてでも潔白を証明してやりましょう。拙者達三人ならばどのような敵であれ撃退は可能なのですから! モモ殿もそれで構いませんよね?」
ブラッククロウが私に尋ねてきたの。
これは考えなくても答えは決まってるんだ。
「皆知り合いだもん。いっぱい良くしてくれたから助けたいよー!」
(偉いよモモ、それでこそ勇者だね!)
「確かに、下手に手を出すようなことは出来ねぇし、そうするしかねぇ。分かった、そうさせてもらうぜ。だが俺らの仲間に手を出してタダで済むとは思うなよ!」
「ご心配なく、扱いは丁重に致しております。皆様は人質になられたことなどまるで気付いておられぬかと」
「そうかよ! だったら徹底的にやってやるぜ。お前等も隠し事はなしにしてもらうぜ!」
ベノムはドンとテーブルを叩いて怒りを示したよ。
流石にここまでされて敬意とかは持てないみたい。
「ええ、いいでしょう。じっくりとご説明しましょう。じっくりとね――」
リングルードはもう一度お茶に手をつけてから説明を始めたの。
最初はほんの些細なことだったんだって。
手ぬぐいが盗まれたり、靴が片方なくなってたり、魔王軍参上なんて書置きがあったみたい。
最初はただの悪戯だと思っていたんんだって。
でも突然お肉が無くなったり、お魚が消えたり、あったはずの小銭が消えたとか、ペットの声が野太くなったとか、いっぱい頻発したって云っているよ。
あまりの報告の大さに調べることにしたらしいけど、犯人は見つかってないままなの。
それでね、時が経つ度にその規模と質が変わり続けたみたい。
お肉の味が変わったとか、水が変に不味いとか、直接生活に関わるような問題も出て来て大規模な捜索活動をしたんだって。
まだ命にかかわるような事はないけれど、これが酷くなって行ったらどうなるか分からない。
今の内に解決したいからお前達が動けって云っているの。
言い方がちょっと頭にくるけど、仲間を助けるためにはやらなくっちゃね。
私達三人は自称魔王軍を見つける為に町に飛びだしたんだ。
家猫のモモ
御主人(ヒロ)
王子シャーン
王女ルシフェリア
王女イブレーテ(長女)
シャーンのお母さんテルナ
爺
青鎧のブルース・グライブス
教育係アリア・ファイリーズ
赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)
桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)
ベノム(ブレードバード隊、隊長)
ルーカ(孤児)
プラム・オデッセイ(里帰り中)
ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)
クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)
シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)
剣と魔法の世界 ミドレイス
翼の生えた子供 ウリエリア




