自称魔王軍を捜し出せ
グライメンツという国に到着した私達、ここはハウリングウルフっていう狼人間がいっぱい住んでいるんだよ。
お城に行ってリングルードって人に応接室まで通されたんだけど、話し合っている最中に他の人達が人質にされちゃっ手知らされたの。
それでこの国を騒がしている魔王軍って人達を捜すのを手伝えって言われたんだよ。
仕方ないから私達は町に捜しに行ったんだ。
見張りが付かなかったのは良かったけれど、知らない町で魔王軍とかいう変な奴を捜すのは大変そう。
まだ手掛かりも何にもないんだよね。
「調べるとは言ったものの、こんな知らねぇ町で何から手を付けて良いのやら困っちまうな」
ベノムは町をキョロキョロ見渡して何かないか探しているよ。
でもウィーディアとは全く違う景色だし、何がおかしいのかも分かっていないのかも?
「隊長殿、自称魔王軍という奴等がこの町の人間でないとするなら、捜すべきはハウリングウルフ以外の種族なのでは? もしそうならば相当目立つと思いますが」
そんなベノムにブラッククロウは自分の意見を告げたの。
「そりゃそうだろうけどよ、あの宰相様がそんな簡単そうなことを見落とすと思うか? 俺達を罠にはめるような奴だぜ」
「確かに、それはそうでしょうね。でしたらハウリングウルフの方が怪しいと?」
「そのへんはまだ決めつけない方が良いだろうよ。下手したら間抜けなことになりかねねぇしな」
二人とも結構真剣だ。
意見を言い合ってるし、私も何か言わないと?
ちょっと考えてみよう。
うーんっと……。
「そうだー、前に捕まえた奴に聞きに行けばいいんだよー」
それで前に出会った魔王軍の参謀って人のことを思い出したんだよ。
今は牧場で労働させられているんじゃないのかな?
「今から戻れってか? どれだけ急いでも行き帰りで一週間以上はかかっちまうぜ。それに下手に町の外に飛びだせば人質になった奴等がどうなるか分からねぇ。ま、お前にしては悪い意見じゃねぇけどな」
「誉められた?」
(まあ、それなりに惜しかったかもね。でも意見を云えてえらいよ)
「わーい!」
私はピョンと飛び跳ねたの。
「ま、とにかく聞き込みだな。魔王軍って奴が何をしているのかもうちょっと詳しく聞いてみようぜ」
そんな感じでベノムは近くの人に声をかけようとしているけど、
「おい、そこの人……」
近寄ると全員逃げて行っちゃうんだ。
ここに来た時もちょっと警戒していたみたいだし、知らない人とは話したくないのかも。
「どうすんだこれ、聞き込みも出来ねぇぞ!」
そんな状況にベノムは頭を抱えているよ。
「隊長殿、やはりここはハウリングウルフ以外の人種を訪ねるべきかと」
「しゃあねぇ、今はそれしかなさそうだな。ちょっと空から見てみるぜ」
それでピョ―ンと空に飛んで上から町を見渡したの。
キョロキョロ周りを見て……あ、何処かに下りるみたい。
「行ってみましょうモモ殿、隊長が何かを見つけたのかもしれません」
「そうだねー!」
その場所に私達も行ってみたんだよ。
そこにはハウリングウルフ以外の人が居たの。
耳も尖ったりしていない普通の女の人みたいだよ。
買い物をしてたみたいで荷物を地面に下ろしている。
今その人とベノムが話しをしているみたい。
「――ってことで何か知らねぇか?」
「あ、はい。魔王軍の噂なら幾つか聞いたことがあります。えっとですね――」
この人は普通に教えてくれるみたい。
でも靴を盗まれたとか、食べ物が消えたとか、リングルードが話してくれたこととほぼ同じで新しい情報は得られなかったの。
「情報感謝だぜ。それと出来ればハウリングウルフ以外の奴を紹介してくれると嬉しいんだが。俺達が近寄ると逃げて行っちまうんだ」
「ええ、それはいいですけれど。その前にこれを」
お姉さんはベノムに牙みたいな形のペンダントを渡したの。
「これは?」
「これは牙の御守りですよ。これを身に着けていると仲間として認識されるみたいです。彼等は鼻がききますからポケットに入れておいても大丈夫です。逆に持っていないと話を聞くのも無理なんですよ」
あー、確かにちょっとだけ臭いを感じるよ。
私でも大丈夫なら充分に感じれるんじゃないのかな?
「助かるが、そんな大事なもんを俺らにくれてもいいのか?」
「はい、あそこで売っていますので。他の方の分は是非家に買いに来てくださいね」
お姉さんは商売上手の人だったみたい。
手を振って自分の店に帰って行くよ。
それを持っていないと話したりできないのなら、
「よーし、私達も買いに行こー!」
やっぱり買いに行くしかないよね!
(おー!)
「まあ、そりゃそうだよな」
「ええ、当然ですね」
皆も賛成してくれて牙の御守りを人数分買ったんだよ。
試しにハウリングウルフの人に声をかけると普通に喋ってくれたの。
自称魔王軍の噂も聞けたんだ。
やっぱり同じ話だったんだけどね。
「……おい、結局何にも分からねぇじゃねぇか!」
「事件は頻発してるって云っていましたし、偶然その場に居合わせられればいいのですが」
「偶然何かにゃ頼れねぇ。俺は空から町を見回しとくぜ。モモ、お前は怪しい気配がないかブラッククロウと探っとけ!」
「いいよー!」
「承知」
(いってらっしゃーい)
ベノムを見送って私は周りの気配を探ったんだ。
町中にはいっぱい気配があるけど、ハウリングウルフは分かりやすいかも。
それ以外がさっき会ったお姉さんみたいな人の気配かな。
小さい気配や動物っぽいのもあるけど、今のところ怪しい感じは……あれ、一人走ってる。
子供っぽいから走り回ってても不思議じゃないけど、近くに親らしい気配はなさそう。
それに何か結構素早くて右に行ったり左に行ったりしているよ。
道に迷ってるのかなぁ?
「モモ殿、勝手に行かないでください!」
「あー、ごめーん!」
ブラッククロウに追いかけられながら私はそこに向かてみたんだよ。
「あ、いた!」
フードで顔はよく分からないけど、まだキョロキョロしたりしながら彷徨ってる。
(モモ、あの子がどうしたの?)
「迷ってるのかなーって」
(そっか、じゃあ助けてあげよう)
「うん」
私はその子の前に着地したの。
「ねぇ、どうしたのー?」
声をかけてみたけど、その子は警戒しているのか喋ってくれない。
さっき買った牙の御守りは持ってるんだけど。
「モモ殿、ようやく追いつきましたぞ! む、その子は?」
ブラッククロウがハァハァいいながら追いついてきたから、
「えっとね、この子はね――」
私は説明しようと思ったんだけど。
「クッ、ついにバレてしまったのか。この我が魔王軍前線作戦指揮官、アガード・ビーツだということがな!」
バサッとフードを取ると子供じゃなくて小さいおじいちゃんだ。
しかも普通の人間じゃない。
緑の顔で頭の毛はまるでないんだよ。
私は見たことがないけれど、
「む、まさかゴブリンだと。何故モンスターがこんな町中に!」
(ゴブリンってこんなのなんだ?)
ブラッククロウや御主人は知ってるみたい。
「愚かな、ゴブリンが人ではないと蔑むのか。言葉を介してコミュニケーションすらとれるというのに! だからこそ我等魔王軍はこの世界に復讐をしなければならんのだ! さあとくと見よ、この俺の真の力を!」
このゴブリンのアガードは、はあああああ、って気合を入れているよ。
「ゴブリンの真の力だと?」
ブラッククロウはごくっと喉を鳴らしている。
「御主人、これって倒していいんだよね?」
(まあ敵みたいだからいいんじゃないの?)
「そっかー」
私はビョーンってキャットスレイヴを棒みたいにして伸ばすとアガードにぶつかったの。
ゴーンって頭にぶつかってパタッと倒れちゃったよ。
前の人も同じ感じで倒しちゃったし、魔王軍ってすっごく弱いのかも?
「……うぉぉ、まだ途中だったのに……しかし魔王軍は俺一人ではない。第二第三の刺客共がこの町に潜んで……うぐぅ」
そして言いたい事を云って気を失っちゃった。
「モモ殿、あの場合は真の力を見せるまで待つべきなのでは? 倒された側もさぞ無念でしょうに」
「えー、そうなんだー?」
(いやぁ、別にしなくていいんじゃないかな?)
御主人は良いって云ってるけど、どっちだろう。
ちょっと迷っちゃうなー?
家猫のモモ
御主人(ヒロ)
王子シャーン
王女ルシフェリア
王女イブレーテ(長女)
シャーンのお母さんテルナ
爺
青鎧のブルース・グライブス
教育係アリア・ファイリーズ
赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)
桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)
ベノム(ブレードバード隊、隊長)
ルーカ(孤児)
プラム・オデッセイ(里帰り中)
ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)
クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)
シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)
剣と魔法の世界 ミドレイス
翼の生えた子供 ウリエリア




