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アルバイトを探していた俺が異世界に体験入店する話  作者: シャドウ


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勇者体験


異世界体験をして1週間が経った。

あれから、俺は何をやるにしてもやる気が起きず、バイト先に連絡を入れて全部辞めさせもらった。

あの時の出来事が、ずっと頭から離れない。

そして、何故あの時、俺はあの場所に居なかったのか凄く自分が憎い。何度、自分の身体を傷付けたか。


だけど、もう元には戻れない。

異世界体験の事はネットにも無く、何度も調べてみても出てこなかった。

その日の夜。

無気力になっていた俺の元へ、ピロンと1通の通知が来た。聞き慣れない音だったので、俺はスマホに来た通知を読み上げる。


『ご無沙汰しておりますタケル様♩異世界体験の者です♩今回は勇者体験をしてもらいます♩そこでの知識を得て、我々に有意義な体験を提供してくれたら幸いです♩それでは、転送を始めます♩』


前回と似た様な文章。人を馬鹿にしている様なおんぷの量。色々言いたい事はあったが、前回と同じ光に包まれた俺は、そこで意識を失った。



「起きて…起きなさいタケル」

「…ここは…」

「ほら、早く起きなさい。今日から旅に出るんでしょ?」

「旅…」

「もう。この子ったら…」


布団を取り上げられ、その勢いでベッドから地面に転がり落ちる。その衝撃で目が覚めた俺は、目の前に居る人物に挨拶を交わした。


「おはよう母さん」

「おはようタケル。ようやくのお目覚めね。早く用意して村の入り口に行きなさい。メルちゃんとレイン君とミーナちゃんが待ってるわよ」


今回も、知らないはずなのに知識として頭の中に入って来る。

メル、幼なじみの女の子。見習い魔法使い。

レイン、幼なじみの男の子。駆け出しの戦士

ミーナ、幼なじみの女の子。回復魔法を得意とする修道女。

そして、タケル、勇者見習いである。

年齢が16歳になっている。しかし、鏡が無いから自分の顔を確認出来ないな。などとしていると、母さんに催促されたのですぐ支度をして村の入り口に向かう。

「気をつけていってらっしゃい。タケル」


母さんの消え入りそうな声。その声は、俺には届かなかった。



「おそーい!どれだけ待たせるの!」

「タケルは何歳になっても寝坊助だな」

「タケル様、お待ちしてました」

「ごめんごめん、遅くなったよメル、レイン、ミーナ」

「遅くなったよ。じゃなーい!罰として、皆の荷物を手で運びなさい!」

「まあまあメル。タケルも悪気があってやったんじゃないから許してやってくれよ」

「そうやってレインがタケルを甘やかすからタケルが学習しないのよ!」

「ははは」

「メル様、レイン様、タケル様は勇者として旅立つのですから少しはご配慮を」

「相変わらずミーナもタケルにだけ甘いんだからっ!知らない!」


そう言って、メルは先へと進んでいく。

俺達はそれに着いて行くように、村から出た。

俺は一度立ち止まり、村を見る。


…また、異世界に来る事が出来た…。この世界は、前に来た世界なのか分からないけれど、もし、同じ世界だったら…。

俺が手にしている死者蘇生のスキル。魂があり続ける限り、蘇生できる力。もし、まだあの場所に皆の魂が留まっているのだとしたら…!


「お、急にたくましくなったなタケル」

「タケル様と私達の旅に神のご加護があらんことを…」

「ふんっ!今更そんな顔になっても遅いんだから!」

「皆。これからよろしくね」


俺はそう言って、彼女らに手を差し向ける。皆、俺の顔を見て手を握ってくれた。

…行って来ます。母さん。




村から出て1週間。道中、小さな村や町を見つけ、倒して来た魔物の素材などを売り生計を立てていた。

勇者という職業は、どうやらこの世界では重宝されているらしく、どこの場所でも無料でアイテムを買えたり出来るみたいなのだが、この世界の人達も自分達の生活があるのだ。気が引けた俺は、稼いだ金で自分達の事を賄おうとしていた。その事に、皆が関心していた。


この世界での戦闘は、勇者としてのタケルが覚えているのか身体が咄嗟に動いて何の苦労も無かった。

前回は使えなかった、魔法も使う事ができる。

ステータスと頭の中で唱えると、幾つかスキルを習得していたようだった。

ー名前 タケル 職業 勇者

年齢16

レベル31/99

力 350

魔力 500

防御力 500

素早さ 450

運の良さ 3000

スキル

・農作物の知識…畑の栽培法など、ありとあらゆる知識が詰め込まれている

・異世界からの使徒(仮)…異世界転生者に与えられる特典。レベルアップ時にステータス値が大きく上昇する※体験なので、本来の1/2。

・太陽神の加護…神、太陽神からの寵愛。畑作業時、収穫物の出来の良さがランダムで良くなる。運の良さに比例する。

・年下マスター…年下の女の子からの好感度が上がりやすくなる。

・死からの生還…異世界体験で死んだ者に与えられるスキル。復活時、ランダムで1つのスキルを獲得する事が出来る。

・死者蘇生…その場に留まっている魂を呼び寄せ、肉体を再構築して蘇生できる。成功確率は運の良さに比例する。

・勇者の加護(見習い)…レベルアップ時にステータス補正の上昇率が倍になる。※見習いなので1/2

・火、水、土、風の精霊の加護…各属性の耐性が上がり、状態異常にかからなくなる。

・光の精霊の加護…勇者だけに与えられる加護。光魔法を精霊を通して扱う事が出来、精霊を使役する事が出来る。

・窮地からの生還…追い込まれれば追い込まれる程、ステータスが倍になっていく。瀕死状態になると、フル回復する。ー


道中で魔物を倒していたからか、レベルの上昇もしている。それに、この世界でダメージを負っても痛みが反映されないのか痛いという感覚だけが無かった。その為、最初の頃は危険な魔物に向かって行っていたので皆に怒られたっけ。


「それにしても、酷い有様だな」

「…ええ。死者の魂が嘆き、苦しんでいるようです」

「早く、魔王を倒して平和な世の中にしなきゃね」


道中、全ての村と町が無事だった訳ではない。

魔物の仕業なのか、滅んでしまっている村や町を何度と見てきた。

その度に、ミーナが祈りを捧げていた。

俺は死者蘇生を使う事が出来る為、ミーナに進言したところ、魔物に殺されてしまった魂は蘇る事が出来ないんだとか。試しにやってみたが、ダメだった。



村から旅立ち3ヶ月が過ぎた。

魔王を倒すには、この世界に散らばっている魔王の四天王と言われる魔物を倒す必要があるのだとか。

そして、大陸の最北端に位置する魔王城の結界を破って、勇者の俺の剣で魔王を倒さないといけない。


旅を始めて、俺達は成長していた。

俺以外は職業のレベルも上がり、メルは賢者に。レインは騎士に。ミーナは聖女に。そして、道中にはダンジョンなんかもあり、皆専用の装備などを集めていたので装備も充実していた。

これなら、四天王も魔王をきっと倒す事が出来るはずだ。


大陸最大の街、王都シュバルツ。

ここから南に向かった先に、四天王の根城があるという事でアイテムを整理する為に立ち寄った。

夜に宿屋で落ち合う約束をして、それぞれが買いたいアイテムなどを探しに出かける。

俺は1人、宿屋に残り剣の手入れなどを行なっていた。


「ふう。これで最後かな。…それにしても、皆遅いな」


日は暮れ、とっくに夜になっている。いつもなら戻って来てもおかしくないのに。

その時だった。皆に付けていた光の精霊が、俺の元へと帰ってくる感覚。危機の知らせだった。

皆に危険が迫っている。一刻も早く行かなければ!


街外れの古びた屋敷。どうやら、ここに皆がいるようだ。だけど、精霊達が怯えている。何があるというのだろうか。


扉を開け、中に入る。埃が舞い、空気が重い。

どこからか、声が聞こえる。

通路の奥へと進み、地下に降りる階段。どうやら、そこから声が聞こえていた。


「やめてーーー!!」

「ひゃはは。賢者様と聖女様の綺麗な裸体のお披露目だ」

「いいねいいね。勇者パーティの女共がここまで粒揃いだったとは。俺達も運が良いぜ」

「しっかし間抜けな騎士だよな。俺達に単身で挑むなんてよ」


「や、やめろ!!」


男達に捕まっているメルとミーナ。足元に倒れているレイン。レインの片腕と片足は切断されているのか、胴体からは血がとめどなく溢れていた。


「レ、レイン、生きてるか!?」

「うう…タケルか…俺より彼女達を…」

「待ってろ!今このゲス野郎共を…!」

「ひゃはは。油断大敵後ろがガラ空き!」


突如襲いかかる揺れ。どうやら、後ろに潜んでいたヤツに蹴り飛ばされていた。その時なのか、俺は魔法で奴らを倒そうとした時、魔法を封じられステータスも著しく下がっていた。

抵抗しようとしたが、右腕を切り落とされる。

「いやーー!タケル、タケル!!」

「タケル様!!!放して下さい!!タケル様が!」

「ひゃはは。頭ー!さっさと勇者を殺して楽しみましょうぜ!」

「そうだな、今回はこの女共は殺さずにな!金持ちの貴族共にコイツらを売り飛ばしてその金で贅沢三昧よ」

「…お前らは…」


痛みはないが、身体の蓄積ダメージ量が限界なのか、瞼が徐々に重くなってくる。

クソッ…ここまでなのか?ここでも俺は、皆を守れないのか?…ふざけるな、ふざけるなよ。


「やれ」

「へい!」


…この光景、覚えがある。斧を振り下ろされて死んだ村人だった時の最後の記憶。現世に戻っても何度も見た記憶。時が止まる。



『やあ♩タケル様♩異世界転生の者です♩』

「どうやって…」

『はは♩そんな事より、いいのかな?殺されてしまったら次はないかもですよ?』

「だけど、俺にはもう…」

『君は勇者なんだよ♩勇者とは諦めない心を持ち、どんな絶望でも覆す力を持つ者にしかなれない職業♩勇者とはそういう存在なんだ♩』

「どんな絶望でも覆す力…」

『さぁ、今こそ解き放つんです♩タケル様の力を♩』


【職業勇者見習いから勇者へと進化しました】

【スキル 抗う力を獲得しました】

【スキル コピーを習得しました】

【一部のスキルが進化しました】



斧が振り下ろされる瞬間に時は戻る。突如溢れんばかりの力で、斧を持つ男が吹き飛ばされる。

そして、すぐさまに立ち、メルとミーナを捕まえている男達の首を刎ねる。

そして、スキルコピーを使い、ミーナの回復魔法を使えようにして、レインにかける。


「な、一体何が起きてるんだ?」

「ひゃはは。コイツはやべぇーー


次々と男達の首を刎ねていく。俺は、コイツらを知っている。生かしておく価値もないクズ野郎共だ。


「まま、待て!俺を誰だとーーー「関係ない。お前はもう喋るな」ぎゃあああ」


頭と呼ばれていた男の腕を両方切断する。コイツも生かしておく価値もないが、コイツにはこれまでの罪を被って貰わないといけない。


「タケル…」

「タケル様…」

「…うう」


「ひっ!く、くるな!こっちに来るな!」

「貴様は今までに、そうやって命乞いをして来たものをやってきたんだろ?」

「そりゃそうだろ!俺達が盗ったもんだ!俺たちの好きなようにぎゃあああああ」

「うるさい口だな。黙ってろよ。勢いで殺してしまうだろ」

「た、頼む…命だけは…!」

「お前はそう言って…!!…もういい。後は罪を受け入れろ」


レイジ。ダリ婆。村の皆。シュイ。。仇は取ったぞ。



その後。騒ぎを駆けつけたのか、街の憲兵団が到着し、事態は収束していた。メルとミーナに服を着させ、レインを完全に回復させる。3人を宿屋に送り、念のために結界を張る。


ステータスを見てみる。


ー名前 タケル 職業 勇者(覚醒)

年齢16

レベル70/200

力 2500

魔力 5000

防御力 4600

素早さ 3150

運の良さ 9999

スキル

・農作物の知識…畑の栽培法など、ありとあらゆる知識が詰め込まれている

・異世界からの使徒…異世界転生者に与えられる特典。レベルアップ時にステータス値が大きく上昇する。

・太陽神の加護…神、太陽神からの寵愛。畑作業時、収穫物の出来の良さがランダムで良くなる。運の良さに比例する。

・年下マスター…年下の女の子からの好感度が上がりやすくなる。

・死からの生還…異世界体験で死んだ者に与えられるスキル。復活時、ランダムで1つのスキルを獲得する事が出来る。

・死者蘇生…その場に留まっている魂を呼び寄せ、肉体を再構築して蘇生できる。成功確率は運の良さに比例する。

・勇者の加護…レベルアップ時にステータス補正の上昇率が倍になる。

・火、水、土、風の精霊の加護…各属性の耐性が上がり、状態異常にかからなくなる。

・光の精霊の加護…勇者だけに与えられる加護。光魔法を精霊を通して扱う事が出来、精霊を使役する事が出来る。

・窮地からの生還…追い込まれれば追い込まれる程、ステータスが倍になっていく。瀕死状態になると、フル回復する。

・覚醒した勇者…戦闘時、ステータスが全て倍になる。

・抗う力…仲間にピンチが訪れるとオート発動する。仲間のステータスを倍にし、各ステータスを一定時間強化する。


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