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アルバイトを探していた俺が異世界に体験入店する話  作者: シャドウ


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3/3

勇者


あれから。

事後処理やらで俺は寝ずに対応をしていて、ステータスなどを確認しながら自分が今どうなっているのか再確認をした。

3人を襲って来ていたのは、村人だった頃に村を襲撃したノーヘル団の一味だ。

ヤツらは人身売買組織の一員で、村や町を襲ったりしていた非道なヤツらで、街から指名手配中のヤツらだった。

頭を捕える事が出来たので、俺は報奨金として金板を20個貰う事になったが、1個だけを受け取り、残りは被害にあった村や町に寄付する事にした。

村や町の復興をするにはどうしてもお金は必要だ。

それに、勇者である俺達にそこまでの資金は必要無い。


宿屋に戻る。

3人は起きていたのか、俺が部屋に戻るとベッドから起き上がる。


「そのままでいいよ3人共。身体の調子はどうかな?」

「タケル…怖かったよ。助けてくれてありがとう」

「タケル様…信じておりました」

「すまないタケル…俺がだらしないばかりに2人を守ってあげれなかった」

「そんなことはないよレイン。君があそこまで粘っていたから俺が助けに来れたんだし、それにヤツらはステータス低下の呪具も使ってたし」

「ありがとうなタケル」

「いいって。俺達は仲間でありレインは1番の親友なんだから」


本当に、3人が、無事で良かった。


「それより、タケル。あの力は一体なんなんだ?あんなスキル持ってなかったよな?」

「私も気になっていました。タケル様が私のエクストラヒールを使えた事に驚きです」

「コピーってスキルを手に入れて、ミーナのスキルをコピーしたんだよ。そして…」


俺は、この世界とは別の世界から来た事を3人に告げた。そして、前回の村人の記憶の事も。


「…そんな事が…」

「どうりでね!時折大人の様な風貌を感じていたのよ」

「本来のタケル様はどうなったのでしょうか?」

「分からない。気がつくとこの身体に魂が宿っていたから。だけど、メルやレインやミーナの事を知っているから魂と魂が融合したんだと思う。俺がベースになっているが、3人との思い出は今も俺の中にあるよ。メルが小さい頃、俺とレインが作っていた秘密基地を燃やしてしまった事。レインがミーナと話す為に教会に通っていた事。ミーナはレインと会う為に「「「わーーー!!」」」」


「そ、そんな子供の頃の事言わないでよ!ていうか、なんで知ってるの!?私しか知らないと思っていたのに!」

「秘密基地燃やしたのメルだったのか!あの頃の俺達の苦労を返せ!」

「なによ!レインだってミーナの為に…」

「聞こえない聞こえない!というか、ミーナが居る前でやめてくれよ」

「…レイン様」


「…な?異世界からこの身体に入ってしまったけど、前のタケルの記憶はちゃんと今も残っている」


「確かに、融合したと考えて良さそうですね」

「なるほど、な。まあ、タケルはタケルだったって事だよ」

「そうね。前のタケルより頼もしくなったし、大人っぽいし…」

「あれ?メル、顔赤くね?」

「ニヤニヤしながらこちらを見ないでちょうだいレイン。燃やすわよ?」

「あっつ!!燃やしながら聞くのやめてくんねぇ!?」


「…それで皆。四天王を倒しに行く前に…」


「村人だった時の村に行くんでしょ?明日、さっそく向かいましょ」

「良いのか?」

「良いわよ。タケルのおかげで今回は助かったし、生き返るのなら早いに越した事はないわ」

「ああ。俺も賛成だ」

「タケル様の心のままにお進み下さい。私達はそれについていくまでです」

「皆…ありがとう」



シュバルツから東に進み1週間。

見慣れた風景が俺の目に入る。良く、野菜を売りに来ていた町だった。

町の景色は変わっておらず、前に来た時と変わりは特に無かった。

掲示板に、ノーヘル団の首領が勇者によって捕まえられたとデカデカと載っていて、町人達が俺達に感謝を伝えて来た。

俺達はその町で1泊する事にして、明日に村に向かう事になった。



村に進み半日。馬車での移動にもすっかり慣れた。

この世界に来て最初の馬車は、新鮮な気分で楽しめたが、道は獣道の様になっており、人の手で舗装されている現代とは違い、地面のデコボコの揺れで気分が悪くなっていたりしていた。


「ようやく…」


村人だった頃の村に到着する。

畑は荒れていて、雑草が伸びきっている。

豊かだった村は見る影も無い。


「タケル…大丈夫か?」

「ああ。大丈夫。…さっそく、やってみるよ」


死者蘇生。魂がこの場に残留していたら、生き返るスキル。運の良さに比例するみたいだが、今の俺の運の良さはカンストしている。おそらく、99%の確率で大丈夫だろう。


「スキル死者蘇生発動」



結界の様なモノが村を覆う。そして、強い光りを放ちながら周囲のモノをスキャンしていく。

そして、宙に浮かぶたくさんの丸い玉の様なモノ。おそらく、あれが魂だ。

…頼む。成功してくれ…!


視界を覆う程の光がしたと思ったら、俺達以外の人の気配を感じる。ああ…村の皆だ。


「俺達、生きてる!?」「勇者様が助けてくれたんだ!」「ありがとう勇者様!!」


村の皆からお礼を言われる。村人の奥に、今会いたかった人達がそこに居た。


「レイジ…ダリ婆…シュイ…。それから、タケル」



村人だった頃の俺。魂と魂が融合しているから、俺という魂が離れたら元の魂は残るのだろう。


「勇者様…?」

「おお、勇者様。この度は村を救ってくれて感謝いたしますぞ」

「…タケル?」

「…勇者タケル…」


「良かったわねタケル。って、なんで泣いてんの?」

「あれ?なんでだ…嬉しいのに涙が…」


ポトポトと地面に垂れる水滴。頬を伝う。俺は涙を拭うが、とめどなく溢れて来る。

その様子に皆が困惑していたが、村人のタケルが俺の肩に手を置く。


「ありがとう、タケル」

「良かった。蘇生する事が出来て」


そして、宴会が開かれる事になった。

勇者として覚醒した俺は、アイテムボックスを使えるようになっていた。収納量は魔力と比例するらしく、村人が食べきれない程の料理や酒を提供する。

そして、俺と村人のタケルは同一人物だったことを告げる。


「…なるほど。違和感の正体はこれだったのか。じゃあ、収穫物が良くなった頃から勇者様のタケルが、このタケルと融合していたってことなのか?」

「そういうこと」

「あれ、私がもらったネックレスは…」

「アレも俺だけど、それは村人のタケルの意思でもあり「わー!」なんだよ…」

「言わんでいい!というか今は16歳なんだろ?敬語使えよ!」

「なんでだよ!俺も元々は28歳だっての!死んでたことを考えたら俺の方が年上だろ!」

村人のタケルと勇者のタケル。紛らわしいが、2人のやり取りを見て他の皆は似た物同士だと思った瞬間だったそうだ。


宴会が終わり、俺は1人畑があった場所に来ていた。

伸びきった雑草を除去し、畑に活力を与える。

すぐに芽を吹く事はないだろうが、この地がこれから先も豊かであるように太陽神の加護を使い祈っていた。


「タケル…ちょっといいかな?」


シュイから声を掛けられる。俺は手を止めて、シュイの方を向く。


「どうした?」

「その…ありがとうね」

「お礼はいいよ。俺が助けたかったんだし」

「そっか」

「そう。あ、そうだ。これ…」

「!これって、あの時の…?」

「前のヤツとは違うヤツだけどね」

「嬉しい…ありがとう」

「魔力を込めているから、ピンチになったらきっとこのネックレスが助けてくれるよ」

「ありがとう」

「いいって。それより、こっちはいいから皆の元に戻りな」

「うん。おやすみなさい」

「おやすみ」


「…居るんだろ?タケル」

「バレてたか。勇者様と話したくてな」

「お互いにタケルだとなんか違和感あるよな」

「確かに」


「シュイの事、任せたぞ?」

「ああ。任せろ。それに、シュイは俺が最初に好きだったんだからな!」

「はは。そうだろうな。村人だった頃はシュイの事好きだったけど、今は妹にしか見えないよ」

「ふっ。…明日、旅立つのか?」

「…ああ。魔王を倒さなきゃこの世界は平和にならない。俺がやらないといけないんだ」

「そうかもしれないけど…!魔王はもちろん、四天王も相当ヤバいって噂なんだぞ?」

「分かってるよ。…心配すんな。俺が必ずこの世界を守ってみせる」

「勇者みたいな事言うんだな」

「まあ勇者だし?」


ーこの世界に来て、守りたい人が出来すぎた。

レイジ、シュイ、村人のタケル、メル、レイン、ミーナ。そして、村の皆。母さん。

俺はこの力で、必ず魔王を倒して世界を平和にしてみせる。

これから先にどんな困難が待ち受けていようとも…!

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