稼げるならなんでもいいです
手っ取り早く稼ぐにはどうすればいいか。
ウェットというかドロドロした人間関係に揉まれて前世と同じ思いをするのはウンザリだった。
となると、取り合えず闘技場くらいしか思いつかなかった。
何らかのモンスターを討伐して、その素材を売る、などと悠長な事を言っている暇はなかった。
碌な手持ちも無く、唯一の武器であるこのボロ剣は明日にも折れないという保証はなかった。これからこの世界で一人ノンビリ生きて行くための、まともな武具や装備が必要だった。
ついでに元手があれば、何かという時に安心だ。
人間嫌いとはいえ、文明の仕組みから完全に外れて生きられる程、自分は人間辞めていない。
案の定、屈強な成人の男女が集う闘技場の中で、十四のガキは嘲笑の対象でしかなかった。
しかし試合は思いの外上手く行った。死神が転生時に「ボーナス」として付けてくれた期間限定スキル、「チュートリアルEXPアップ」
最初の相手である成人男性の挑戦者に辛くも勝利すると、それで数レベルアップした。
更に次の対戦相手は必然的により上位の相手になるが、それも倒して更に数レベルアップ、その次も…と、それを繰り返して行く。
四戦目にはいきなりレベル22を超えていた。対戦相手の屈強な男を倒すと、レベル25に。
勿論、レベルが高ければ必ず勝てるという訳でも無かろうが…明らかにこの小さな体躯から発揮できる力では無かった。初戦で苦戦したのが嘘のようにとんとん拍子で試合を進めていく。
…気付けば決勝戦にまで勝ち進んでいた。最初の嘲笑はどこへやら、会場内は勝手に盛り上がっていた。
相手は立派な鎧を身に纏った、どこぞの騎士団の団員と思しき騎士。その騎士が兜を脱ぎ捨てると、男ではなく少女だった。15前後か。自分とそう変わらないように見える。
マリンブルーの瞳が美しい少女だった。だが、口元は勝気に引き結ばれ、自分を鋭く見据えていた。
勿論、ここまで勝ち進んできた有名であろう騎士団の少女を嘲笑する者は一人も居なかった。
「エイミーよ。よろしく」
「…ウルズです」
そして、少女はそこそこ強かった。レベルがもう一つ足りなければ、鍛錬が一日足りなかったら…結果は違っていたかもしれない、と思う程度に。
気付けば少女を組み伏せていた。自分の剣は折れ、最後は組討に持ち込んで力と格闘術で圧し、折れた剣の切っ先をか細い首筋に突き付けていた。
エイミーの経験値を吸い取り、更にレベルアップ。レベル30。…それでチュートリアルEXPの期限は切れた。
べらべらと喋る気はなかった。勝敗を決したと同時にエイミーの上から降り、最低限の礼として手を差し伸べた。
…女の子には特に縁が無かったから苦手だ。
どんな笑顔の子でも、裏ではどんなドギツイ事をしているか分かった物ではない。…嫌な事を思い出しかけて、ウルズはかぶりを振った。
少なくともウルズにとって高嶺の美少女=腹黒・カオスの可能性・高 という歪んだ認識で固定していた。
「…ありがとう。良い勝負だったわ」
「…どうも」
…これがいけなかった。 いけないというか、運が悪かった。
表彰式を終え、目当ての賞金を手に入れて帰ろうとする所で屈強な騎士達に取り囲まれた。
中心に居るのはエイミーだった。
(終わったわ)
お礼参りを覚悟したが、騎士団隊長であるエイミー直々の「入団のお誘い」だと知り、内心で一安心した。それなら丁重にお断りすればいいだけだ、と。
…まぁ、やっぱりというか甘かった。
自分はそんな大した腕では無いし、人と居るのが苦手だから他の人を誘って下さい、と丁重に断るも、周りの騎士達に詰め寄られた。
「貴様の腕を見込んでくださったエイミー様の目を疑うというのか」
「エイミー・アルバーン様たってのお誘いを断るとは何事か」
「断れる程偉いとでも言うのか? どこの家の身分か?」
などと散々突き上げられ、終いには担ぎ上げられ、拉致同然に王城へと連行される羽目となって




