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90.レオナルド君は休みたいようです part1(☆)

挿絵……もっとエロ可愛く描きたかった(圧倒的画力不足)


 予想もしなかった思わぬ極楽への特急券。


「うひゃあ、久々に来たけどやっぱり熱い所だ。服を薄着にしてきて正解だったね、エミリア」


 その名も【4名様ご招待! 温かい温泉と絶品料理で心も体もポッカポッカ! 鬼の里名物、極楽秘湯の宿『天獄羅生壮』へご案内チケット】を手にしたレオナルドはエミリアと共に煉獄大陸。

 今もなお観光地としては人気を博しており、訪れる者が跡を絶たないこの鬼の里へやって来た。



「うん……熱かった。でも……火山地帯だからしょうがないの……それに凄い人ごみだった……」



 そしてそんな訪問者をまず魅了するは風景。

 その火山も含めた山々に囲まれた立地に添うように建物が並び、夜には民家の明かりだけでなく道の各所に設けられた『トウロウ』や『チョウチン』による赤い明かりで染まる街並みや、


「そうだね……特にさっき『ジンジャ?』とか『オテラ?』の傍を通った時は吞まれるかと思った」


「ジンジャ……オテラ……聞いた事無いの……」


「ええっと、うーん、なんていうか……教会みたいに神様にお祈りをする場所みたいな感じかな。お金を投げて祈ったり、願い事を札に書いたり、あとは運勢を占って貰ったりとかみたいな?」


 そんなレオナルドが今告げた建造物以外にも、神域と人が住まう俗界を区切るとされる巨大な門『トリイ』などなど様々な浮世離れした風景が並んでいたりと、


「すごい……レオナルドってば……物知りなの」


「過去にクロム達と“何度か”来た事あるからね。まあ、あの時は討伐クエストがメインで温泉も入らずに日帰りで本部に戻ったんだけど……」


 それこそ本当に異世界に転移ワープしたかのような、独特の文化や古い歴史を醸し出しているこの風景もここ鬼の里の大きな特徴だった。


「じゃあ……温泉は……初めて?」

「そうだね。だからこそ余計に楽しみなんだ」


 ちなみにその起源については鬼一族の遥か遠い祖先が残した伝記『キョウノミヤコ』という書物に載っていた街並みを再現したらしいが……まあ、ひとまずその歴史はこれくらいにするとして、



「ええっと、確か合流地点は……」


 人混みを退け、とりあえず落ち着ける場所へ出たレオナルドとエミリアは出発前に預かった()()()()()を手元で広げると内容を確認する。


『悪い、レオナルド! クロムが用事で少し遅れるらしくてな。緊急で悪いが私が迎えに行く事にしたんだ。だが予約の方も先に私が済ませておいたから、後は渡しておいたチケットを見せるだけで部屋へ案内してくれるぜ! まあ詳しい事は後で合流して話すから一足先に鬼の里の観光を楽しんでおいてくれ! じゃあな! Byムーン』


 内容はそんな出発前にての緊急連絡だった。

 そして今回の企画者であるムーンの使い魔を通じて事前に受けていた為に二人は、


「とりあえず宿で待っていればいいかな?」

「うん……早く……温泉入る」


 一旦、そのままに宿泊予定となっている宿。

 世界屈指の高級宿として名を馳せている天獄羅生壮(てんごくらしょうそう)暖簾のれんを一足先に潜るのだった。



 だが……そこで二人を待ち受けていたのは?



 ―― ―― ―― ―― ―― ――



 入店早々だった。



「きゃあああ! レオナルドはーんっっ!」

「へっ!? ふぐっ!?」


 暖簾を超えて僅か数秒という刹那。

 レオナルドはいきなり柔らかい感触を体感。

 その女性特有の胸元の膨らみを顔に感じた!


「もう……えらい遅かったやないの? うち……朝一番からずーーーっと待っとんたんよ? もうあんさんの顔見とうて辛抱堪らんかったんよ?」


「なっ!? ななななっ!?」


 そして……そんな入店早々にて。

 まさかの客へいきなり飛びつくなどという、従業員も驚く大胆過ぎる行動を取ったのは!?


「き……君は……まさかあの時の!?」


「うふふ……そうや。ダンジョンで助けてもろたあん時は正体明かさんかったけど……うち、実はここの若女将やってん……だからあんさんに会えると聞いて……今日だけ店番変わってもろてん」


 この宿の若女将である美しき鬼【シュテン】だった。


挿絵(By みてみん)


 その蜜に似た甘い香りを彷彿とさせる赤紫の髪。

 さらに着用する雲模様の着物の下に隠すは引き締まりながらも胸、脚など随所に女性らしい膨らみを持つ実に魅力的な肢体を持つ鬼の美少女であり、


「さあさ……ここで立ち話もなんやし……とりあえずうちの部屋に……もう“食事の準備”は出来とるさかい……後はあんさんがうちを食べるだけなんよ? だから……好きなだけ貪って?」


「なななっ!? 君は何を言って!?」


 そして更には甘い誘惑まで常備という反則。

 最早その誘惑に抗う精神を持たぬ男は即蹂躙。

 気が付けば骨の髄まで生気を吸われそうな悪魔ならぬ、悪鬼が怒涛の連続攻撃を仕掛ける!


「だ、ダメだよ! 女の子がそんな簡単に肌を晒しちゃ!? そう言う事は普通ならもっと――」

「んもう……お堅い人やなぁ……でもそこがええわぁ……そんな幼い所がうちは大好きなんよ」


 無論それはこのレオナルドとて例外ではない。

 来店早々からの今に至るまでの言動、鬼の一族らしい力強く妖しい誘惑の猛攻は初心な彼へ致命的な大ダメージを与えていく…………しかし!


「むむう……早く離れるの……このエロ鬼!」


「あっ! もう……痛いなあ……何なん?」


 ドン! と自称正妻エミリアがこれを阻止!

 顔を真っ赤にしているレオナルドを見兼ねて、積極的かつ大胆に身体を押し付けていたエロ鬼ことシュテンを強引ながら突き放したのだった!


 すると……?


「レオナルドにおっぱいを擦りつけていいのは私だけ……なの……だから貴方は……ダメなの」


「へぇ……面白いやないの……別のお客さんや思うたら……レオナルドはんの付き添いかいな?」



 それはシュテンが放ったコレが原因だった。

 この如何にもわざとらしい、エミリアの癪に障る事を狙い撃った発言を引き金にして始まる。



「付き添いじゃない……今はずっと一緒……一つ屋根の下で生活してる……の。だから……貴方みたいなエロ鬼が入る余地なんて……ないの」


「ほぉ……あんた……面白い事ぬかしはりますな……でも、そんな同居程度で勝ち誇った気になっとるとは……やっぱりただの田舎娘やな……」


 それも……まさかのこの玄関先にて。

 それは言ってしまえば、客を迎える宿の顔に相当する非常に重要な場所だというのに……、


「それに……これはそもそもの話やけど――」

「エロ鬼なんかに……レオナルドは渡さない」


 いつの間にかその火は激しく炎上。

 それどころか他の客の事など目もくれずに、


(お願い、こんな玄関先で喧嘩しないで!? お客さんの視線が痛いから! 確実に何かの不貞行為を疑うような目で僕を見てるんだけどっ!?)


 ついにはそんな当人レオナルドの意思など意にも介さずに完全にほったらかしで二人は論争。

 しかも、途中からのその内容に関しても酷く、


「鬼なんて……ただエッチなだけなの……何でもかんでもエッチな事をすれば良いと思ってるの……そんなの発情期の獣と……何も変わらないの」


「ぐぐ!? うぎぎ……ふ……ふん! せやからなんやの? 好きな男と激しく何度も交わる……それの何処が間違っとるん? 逆にそんな悠長な事言うとるから、そないに未だ手もろくに握れてへんのちゃうの? はあぁ……あほくさいわ!」


 そんな余りに下らなさ過ぎて犬も喰わない、いやそれどころか全力で願い下げてくる程の子供のような言い争いを繰り広げ始めたのだった……。



 ―― ―― ―― ―― ―― ――



 そして……そんな修羅場状態の中。



「いやあ、遅くなって悪かったな。ムーン」

「別に構わねぇぜ。そもそもアタシが強引に誘ったんだし、これくらいの事は気にすんな!」


 用事を済ませたクロムと共に今回の主催者であるムーンも一足遅れて、無事に鬼の里へ到着。


「ほらほら、そんな事言ってる間に宿に到着だ。残りの愚痴は飯食った後にでも話そう……ぜ?」


 それで早く腰を落ち着かせんと宿へ一直線。


「どうしたムーン? 何か面白いものでも――」


 二人はすぐにでも部屋に案内してもらおうと、意気揚々に暖簾を潜った……のだが?



「だ・か・ら! うちの乳の方は感度が――」

「私のおっぱいの方が……絶対気持ちいい」


「ふ……二人共。もう喧嘩はその辺で――」


「食べられちゃう側は黙ってて……」

「せや! 食材は大人しく黙っとき!」


「勝手に食材認定しないでくれるっ!?」



「あれ…………宿、間違えたかな?」



「大丈夫だぜ、クロム。よくある光景だ」

「ちっ、鈍いモテ男ってのは羨ましいぜ……」


 そう到着早々から受付の端にて巻き起こる、実にしょうもない茶番を見る羽目になるのだった。

ここまで読んでくださりありがとうございます。

色んな方に読んで欲しいので少し投稿時間ずらしてみました。

なお次話については現在添削中なのでなるべく本日中に更新する予定です。


ではでは最後にもしよろしければブクマや評価であったり率直な感想などお待ちしております!!

皆様がくださる評価等はこの【黒まめ】のモチベに直結するので……あとは飛んで喜んだりもします(´・ω・`)

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