91.レオナルド君は休みたいようです part2
読みやすいよう少し短めにしました(理由は後書きにて)
「いやあ……災難だったな、レオナルド」
結局。
「本当にね……。あの時女将さんが割って入ってくれなかったら多分、まだ続いてたよ……絶対」
エミリアとシュテンによる下らない意地の張り合いは約一時間に渡りどうにか終結。
「はははははは! でも傍から見ている分には割と楽しかったぜ! 最近籠りがちだった俺からしたら久し振りに良い余興を見た気分だぜ!」
「いや、見てる暇あったんなら止めろよ!?」
いくらなんでも女将である母親に叱られたとあっては流石のシュテンでも反省せざるを得ず、エミリアとの睨みあいで火花を散らしつつもその場を退却していったのだった。
「にしても……なんでなんだろう?」
「……うん? どうしたんだ?」
そうして開幕から一悶着あった現在はというと、
「どうして、エミリアもシュテンさんもあんなに僕の事になると躍起になるのか……二人共僕をからかっているようにしか見えないのに――」
「……レオナルド、一発殴ってもいいか?」
「えっ? なんで?」
そんな絵に書いたような如何にも鈍感発言が出る中、当人であるレオナルドと遅れてきたクロムの男性サイド二人は宿内の廊下を歩いていた。
そのあまり着慣れない服『ユカタ』に袖を通して、
「ごほん、まあいいか。ひとまず俺はお前がいつか誰かに背中を刺される事を祈るとして――」
「刺さっ!? へっ!? 僕は一体なに――」
「まあまあ……そう慌てんな。今は落ち着いてこの鬼の里ご自慢の温泉に浸かろうぜ。なっ!」
「いや、何処が落ち着けんの!? 背中刺されるとか脅された後に身を晒せますか普通!?」
男女別で予約され分けられた部屋へ荷物を下ろし、肩が軽くなった二人は早くも湯浴みへ直行。
自分達の部屋に用意されていた風呂桶と着替えを抱え、時折ホクホクと湯気纏う客とすれ違いつつも、脱衣所へと向かっていたのであった。
……それでその道中の様子は今の通り。
「へぇ……何か噂には聞いてたけど。お前、本当に【よろず屋】開いてたのか。てっきりエミリアと一緒で一旦本部に戻ってくると思ってたけど……なんやかんやでお前はお前で頑張ってんだな」
「あははは……まあね。でも最近は何かずっと疲れる事ばっかりでね。引退後の人が嬉しそうに語る”スローライフ”って何だろうって感じるよ」
「はははっ! 確かに昔からお前は何かと貧乏くじを引きがちだったからな。苦労人って調べたら真っ先にレオナルドって引っかかる位にな。まあ逆に言えばそんだけ頼られてるんだよ、お前は」
初めこそ聞くに堪えない鈍感男の言葉や、それを妬んでの殺害予告など物騒な話が上がっていたが、すぐに他愛の無い日常の会話へと移行し、
「頼られてる……か」
「そうさ、お前には何か人を惹きつける才があるんだ。それにお前自身だって助けると決めた奴に対して全力尽くすだろ? そういう優しい所が新たな人の縁を手繰り寄せてるんじゃねぇのか?」
「そうなのかな……あまり深く考えた事無いや」
「人間、孤独よりは多少ウザったくても賑やかな方が良いもんだぜ? お前も分かってんだろ?」
「まあね。パーティーでの宴会を見てれば嫌でもそう思うよ。皆羽目を外し過ぎてバカばっかりだったもんね。泥酔した時の君なんか半裸で町を一巡した後に憲兵に捕まって――」
「レオナルド? お口にチャック」
互いに引退後の身という事もあって話題も同じ。
両者ともまるで時間を忘れるような思い出話、現在の生活の様子などをメインに会話に花を咲かせながら、宿の広い廊下を進んでいくのだった……すると?
「さて、じゃあお楽しみの……って、あれ?」
それはもうほんの数歩というところだった。
そのあと少しで脱衣所へ繋がる場所、青と赤の男女の性別別れる暖簾手前にて、抱えていた着替えの中身に違和感を覚えたクロムが足を止める。
「うん? どうしたのクロム?」
「しまった……下着忘れてきたみたいだ」
「えっ、今頃!? 気付くの遅くない!?」
「くそ……仕方ねぇ部屋に取りに戻るか。お前は大丈夫か? 何か部屋に忘れたりとかは――」
「大丈夫。ほら、僕はちゃんとエミリアに盗まれないようにここに下着隠しておいたから!」
「待て……お前の私生活にどれだけエミリアの魔の手が迫っているか想像出来た気がするんだが」
クロムは持って来た着替えの中身を探りつつも、不意に漏れたそんな同居人に下着を盗まれるというレオナルドの笑えない日常風景の様子に、
「まあいい。じゃあ俺は戻るからお前は一足先に極上の温泉を満喫してくれ! それじゃあな!」
「分かった。じゃあまた後でね!」
あまりツッコむと火傷しかねないと思ったのかそこで話題を切ると、彼は足先を来た道へ戻す。
対してクロムのうっかりにより予定変更。
「あっ……そうだ! それからくれぐれも間違って女湯になんか入ろうとするんじゃないぞ! いくらピュアなお前でも許される事と許されない事があるからな! 入りたくても我慢するんだぞ!」
「なんで入る前提!? どう考えても入る訳ないでしょ!? もう厄介事を増やすのは御免だ!」
そうレオナルドは冗談を向けてきたクロムへ返し、一足先にこの鬼の里の目玉である温泉を楽しむべくちゃんと男湯の青い暖簾を潜るのだった。
ちなみに……そんな一方では?
ここまで読んでくださりありがとうございます。
夜に投稿する予定だったのですが、PVが伸びていたので少し時間帯を変えました(´・ω・`)
なお次話については、元々この内容と含めての一話にする予定でしたがそれなりに長くなりそうだったので敢えてここで切った残りの部分となります(むしろこの残りがメイン)。そして投稿時間については現在添削中なので一応深夜帯を予定しております。
ではでは最後にもしよろしければブクマや評価であったり率直な感想などお待ちしております!!
皆様がくださる評価等はこの【黒まめ】のモチベに直結するので……あとは飛んで喜んだりもします(´・ω・`)




