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魔神と”私”が溶ける刻  作者: 美雷
第2章:揺れる魔神は世界を巡る
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25:魔神の困惑

シャワーを浴びてこざっぱりとしたアスとレウムに、用意しておいた冷たいレモン水を渡して2人にも買い物の希望を聞く。

しかし、半ば予想していた通り、2人とも揃って特に必要な物は無いと言ってきた。

今のところ、私はこの返答が彼らの遠慮からくるものなのか、それとも本心なのか、はっきりと言いきれるほどには区別が付かない。

彼らとともに過ごす毎日は心地良く、つい長年一緒にいたかのような錯覚を覚えるが、実際には出会ってから半月も経っていないのだから。


そんなわけで無益に押し問答を繰り返していても時間の無駄なので、リュイと話していた畑作成計画と生活資金調達、琥珀と話していた竜に会う世界一周計画を全員に伝え、それぞれの意見と希望を聞くことにした。


しばし話し合った結果、レウムは旅に出るまでの間、筋力回復を兼ねて家具を作り、それらが売れそうならば売るということになった。

アスは、以前にやっていた傭兵業には戻りたくないということで、狩人(ハンター)にでも登録するつもりなのだそうだ。ちなみに、傭兵と狩人の違いは簡潔に言うなれば対象が人か、動物もしくは魔獣かである。

あとは私であるが、まだ未定だ。

しかしながら深魔(しんま)の大森林はおそらく珍しい素材の宝庫であるので、皆して必死に稼がなくともたまに素材を採集して売りさえすれば、生活費くらいはすぐに得られそうな気がする。

なので、くれぐれも無理はしないように、あくまでも自分がやりたいと思うことをするようにと念を押しておいた。


そして武器防具については、買う買わないは別にして一度武器屋、防具屋、魔法具屋には行ってみてどんな物があるのか見ておこうという話になった。

聞けば、深魔の大森林の樹木で作られた木剣が魔道武器として存外優れているらしく、魔法を併用した戦闘スタイルの2人と相性が良いらしい。

防具にしても、私が掛けた魔法のおかげで防御力は十分、むしろ下手な物を装備すれば邪魔になるとのことだった。

あとはリュイ用の魔法の杖については、良い物があれば買うかもしれないが、そもそもリュイに戦闘する予定が無いので急ぐものでもない。


竜に会う世界一周計画には、全員が付いてくることになり、せっかくだからあまり転移は使わずにゆっくりあちこち見ながら世界を廻ろうということになった。

皆一緒ということで琥珀は大喜びではしゃぎ、いつ出発するの?と頻りに聞いてきた。かわいい。

例によって皆の周りをくるくると飛び回りながら体全体で喜ぶ姿が、本当にかわいい。

何度言っても言い足りないくらいにかわいいったら、かわいい。


まぁそれはさておき…

そんなわけで、今日の買い物予定は、まず絶対に外せない最重要の食料品、それから武器屋、防具屋、魔法具屋をちらりと覗いてから服屋へ、その後は二手に分かれて私と琥珀とリュイで調合用の器具、農具などの買い付け、アスとレウムはワーカーズスクエアと呼ばれる労働斡旋所に行って特に需要のある薬草や、高値で売れる素材などのチェック、終わったら各々自由行動とし、帰りは急ぎ制作しておいた使いきりの転移魔法具で帰宅ということで決定した。


話も決まったし、ズタボロになるほど激しい運動をしてきたはずのアスとレウムも、もう休憩は十分、出かけても大丈夫だと言うので、決めていた通り全員に精神感応防御(テレパシーブロック)と他、各種防御魔法をかけて、前回買い物に行ったヒューマンの街の上空へと転移した。


まずは市場へ向かい、それぞれの気に入っている食材を多めに、他はほどほどに、前回同様どんどん買って屋敷の貯蔵庫に転送していく。今回は各食材の味もわかっているし、調理担当のアスも一緒なので迷うことはない。

ちなみに、転送は手に持った大きめの手提げバッグを通して行っており、バッグに収納しているようにみせかけている。それでも行動をずっと見られていたなら簡単にバレてしまうのだが、認識阻害魔法を併用することで問題を解決している。つくづく魔法は便利だ。


そんな感じに特に何事もなく買い物をしていたはずなのだが、市場を半分ほど来たくらいだろうか、何やら様子が少しおかしいことに気付いた。妙に周囲から注目されているのである。

どうやらそう感じているのは私だけではないらしく、とくに気配に敏感であるらしいアスとレウムは先ほどからそわそわと落ち着かなさそうにしている。


「なぁ、なんか見られてねぇ?」

「見られてるな。前回もそれなりに注目されてはいたがこれほどではなかったんだが…

やはりアスとレウムが目立つのか…?」

「え!?俺ぇ?いやいや、どう見ても注目されてるのはノワールだって!

…ていうか、ハク?か?」

「ははっ分かってる。冗談だ。」

「…ノワール、表情も変えずに冗談を言うの、止めてくれねぇ?はぁ…

あー…でもやっぱりハク、だよなぁ。悪意は無いみたいだが何だろうな。」


悪意は無い、というアスの意見にレウムも頷いたことで、まぁそう警戒する必要はないだろうと判断して買い物を続けることにした。

しかし、注目度合いは下がるどころかどんどん加速していっているようで、そのうちにわざわざ駆けつけてまで私たちを見に来る者が現れ出した。


「本当に何なのでしょうね?

前回の買い物の時にはこんなに騒がれるほど目立つ行動は取らなかったはずですが…」

「あぁ…」


だんだんと酷くなる騒ぎに琥珀が少し怯えてしまった。

ちょっとでもマシになればと琥珀を撫でてやるがあまり効果は無く、いつも元気なだけにギャップが激しく何とかしてやりたい。

最悪、琥珀だけ先に家に帰すかと考えていると不意にレウムが一点を見つめて立ち止まった。


「ノワール、あれ…」

「え、あれって…」


レウムが指さす方を見てみると、そこにはこの騒ぎの原因であろうモノがあった。

いや、もっと正確にいうならば、抱かれていた。

ムーンライトノベルへの投稿方法が分かったので、そちらにも掲載することにしました。

そっちしか見ないという友人がいたので、そういうBL好きの方向けに。

どっちも見ているという方は、ムーンライトで見つけてもスルーしてくださいませ。

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