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ますぷろ 〜ファンタジー世界で量産機しか乗れない俺だけど、プレイヤースキルで専用機やエース機や決戦兵器やドラゴン諸々全部ブッ飛ばす!〜  作者: 紫炎
第二部 放浪要塞の章

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007 高難易度クエスト

※竜雲海の海面高度を1000メートルから2000メートルに修正しました。物語的な影響は特にないです。

「吾輩は、このまま無辜の民が犠牲になるのを見過ごすことはできん。故に我が愛機『ソール』と共にワンダリングギガンティック内へと乗り込み、アルジャ天領との激突を防ごうと思う。我が勇者たちよ。お前たちもついてきてくれるな?」

「「「「「「「ハッ!」」」」」」


 ヘヴラト聖天領第七兵団ニンバス団長アルヴィン・ゼラン。

 騎士と称される存在をそのまま体現したような男はその日、配下たちと共にワンダリングギガンティックへと挑んだ。それはルッタたち風の機師団が、ヴァラル隊と遭遇した日の明け方のことであった。



「えーと。つまりヴァラルさんたち第七兵団は、アルジャ天領への衝突しようとしているワンダリングギガンティックを止めようと動いたわけなんだね」


 ヴァラルのここまでの説明を聞いてルッタがそう尋ねた。


「ああ、そういうことになる。アルヴィン団長の作戦ではまず兵団の部隊を分けて、それぞれ別方向からワンダリングギガンティックへと攻撃を仕掛け、防衛システムの目標を分散させる。そして相手の注意が逸れた隙を狙って、アルヴィン団長と精鋭部隊がワンダリングギガンティック内に突入。その後に囮部隊は距離を取り、アルヴィン団長が内部からワンダリングギガンティックの進路を変更させる、或いは内部から破壊してワンダリングギガンティックを墜とす……という想定だったのだ」

「んで、実際に決行して、途中まではうまくいったってわけだよねー」


 マリアの言葉にヴァラルが頷く。


「そうですマリア様。ワンダリングギガンティックの防衛能力はかなりのものではありましたが、そこまではこちらも想定内でした。アルヴィン団長たちの内部突入は成功し、我々誘導部隊はその後に距離をとって監視をする予定だったのです。しかし、ワンダリングギガンティック内から『あの』傘型ガーディアンが大量に出撃してきて、計画は崩れました」


 ヴァラルが苦々しい顔でそう言うと、ルッタが挙手して口を開いた。


「はい、ヴァラル隊長。ちょっと質問。第七兵団はワンダリングギガンティックやガーディアンの情報は持っていたんじゃないの? だったら事前に傘型の対策は取れなかったの?」

「あー。アレ、ウチの記録にはないんだよねー」


 マリアの言葉にルッタが眉をひそめる。民間組織のハンターならばともかく、八天領のひとつであるヘヴラト聖天領軍が、対象の情報収集を怠っているとは思わなかったのだ。


「あの傘型ガーディアンの存在は我々にも予想外だったということだルッタ少年。追撃が来ることは想定していたが、ガーディアンは本来、護るべき対象より一定以上の距離を取ることはないのだ。だから我々もその場を離れれば、それ以上は襲ってこないはずだったのだがアレは違った。過去の例を紐解いても、あんなガーディアンが出た記録はなかったはずだ」

「まあー、ワンダリングギガンティック自体が聖天洋での目撃例はほとんどなかったから情報が絶対に正しいってわけじゃーないんだけどねー。ただー、他の海域からの報告にもワンダリングギガンティックからあんなのが出てくるってのは書かれてはいないみたいなんだよねー」


 第七兵団がワンダリングギガンティックの監視を命令された際に軍より与えられた情報はマリアにも共有されているが、確かに傘型ガーディアンの記載されていなかった。


「そうすると、あの傘型はガーディアンじゃないってこと?」

「いやー。まー、ガーディアンではあるんだろうけどねー。今まで確認されていなかったガーディアンがたまたま乗っているだけだとは思うけどさー。イシュタリア文明なんてー、わけ分からんもんばっかだからそういうこともあるんじゃないかなー。わけ分からんと言えばー、私らオリジネーターもそうなんだけどさー」


 マリアがそう言ってカラカラと笑った。

 イシュタリア文明のホムンクルスであると言われているオリジネーター。

 ただし、本当の意味での人造人間(ホムンクルス)は、遺跡から発見された第一世代のみで、マリアや第五兵団のアリヴィンは人から生まれた第二世代と呼ばれるオリジネーターで、人造の存在ではない。

 とはいえ第一世代と第二世代を比べた場合の能力差は明確ではなく、どちらかといえばそれぞれの個体差の方が大きいというのが一般的な見方だ。また第二世代であっても一部の第一世代のようなあらかじめ役割を持たされたオリジネーターも存在しているし、何よりもオリジネーターの数は常に一定数という謎の統計データがあったりもする。

 そのため、マリアの言う通りにオリジネーターが興したヘヴラト聖天領であっても、オリジネーターは謎の多い存在だと認識されていた。


「ともあれ、その後に傘型に追い立てられた我々は散り散りになりながら後退し、現在の状況になったというわけだ。他の部隊がどうなったかは分からないが……そうだな。位置関係的に単独の部隊は我が隊だけだったはずだ。戦力さえ確保できていれば、他の部隊ならば傘型の迎撃はできているはずだろう」


 確信が持てない顔でヴァラルがそう口にした。


「ヴァラル隊長。もうひとつ聞きたいんだけどさ」

「なんだね?」

「アルヴィン団長さんだっけ? その人って、中に入ればワンダリングギガンティックを操作できるって考えてたんだよね? なんか当てとかはあったの?」

「ああ、可能性として……というところではあるが、全く目処がなかったわけでもないな」

「ルッタくん。私たち、オリジネーターはねー。イシュタリアの遺跡をある程度操作ができるんだよねー。個人差はあるんだけどさー」

「へぇ、そうなんだ」


 ルッタはマリア、それからリリへと視線を向けながら、ノートリア遺跡のことを思い出す。


(リリ姉はノートリアの遺跡でマスターキーと呼ばれていたんだよね。んで、マリアさんの話からすると同じような力を他のオリジネーターも持ってる? でも艦長はあの力を重要視していたし、普通のオリジネーターとは違うようなニュアンスだった。それに多分マスターキーと呼ばれている以上は……)


「おい、ルッタ。話を続けるぞ」


 考え込むルッタにギアが声をかける。わずかではあるが、ギアの目が何かを訴えているのをルッタは感じた。


(うーん。艦長的にはマリアさんにも知られたらまずいってことかな?)


 そう考えたルッタは、すぐさま気持ちを切り替えて話を続ける。


「つまりアルヴィン団長は、ワンダリングギガンティックを動かせるってこと?」

「可能性はあるという話だ。オリジネーターの血を引く者は、血が薄まったとしても世代を超えてオリジネーターとして生まれることがある……が、先ほどのマリア様の言葉ではないが、よく分かっていないことも多い。だから、アルヴィン団長をワンダリングギガンティックが受け入れるかは制御室で試してみないと分からない。ただ現時点でワンダリングギガンティックの進路は変わっていないとのことだからな。恐らくはアルヴィン団長はまだ目的を果たしてはいないのだろう。そうですな、マリア様?」


 ヴァラルの問いにマリアが頷く。マリアはすでに複数のスカウトドローンを飛ばし、ワンダリングギガンティックの状況確認と第七兵団の他の部隊の捜索も進めていた。そのため、ワンダリングギガンティックの状況をこのメンバーで一番把握しているのは彼女であった。


「そうだねー。アエロからの情報だとー、ルートは目の前の投影図の通りに変わってはいないねー。となるとー、アルヴィン団長はー、操作できなかったかー、どこかで足止めされてるかー、もう死んでいるかのどれかだろうねー」

「最悪の事態は起きていないと信じたいのですがね」


 ヴァラルが嘆息しながらそう返すが、現実的に考えて、死んでいる可能性の方が高いようにルッタには思えた。オリジネーターは普通の人間よりも強いが無敵ではないし、オリジンダイバーとて出力が高いだけの人型機械だ。


「なるほど。依頼内容は読めたし、艦長が躊躇するのも理解はできたよ。つまり、マリアさんたちが俺たちに求めてるのはワンダリングギガンティックへの突入ってことだよね」


 ルッタの言葉に ギアが嫌な顔をして、マリアは苦笑しながらも頷いた。


「ルッタくんは理解が早くて助かるねー。そういうことー。依頼はワンダリングギガンティックに侵入してアルジャ天領への衝突コースを変更してもらいたいって感じかなー。ついでにアルヴィン団長の救出。可能であれば協力して当初の目的を果たすってとこだねー」

「とはいえ、第七兵団が蹴散らされた案件だ。正直にいってうちのクランの戦力だけで見るなら無謀で、普通なら受ける依頼じゃない。ただリリとルッタに加えて、マリアも参加するならば不可能ではないと見ている。ノートリア遺跡とアンカース天領奪還作戦での働きを考えればな」


 ルッタはノートリア遺跡では大量のガーディアンを撃退し、アンカース天領奪還作戦では天領内に突入してアルティメット研究会の操る飛獣の群れを殲滅している。


「艦長、タイフーン号も一緒?」

「いんや。タイフーン号では荷が重いからな。ジェッドの防御も絶対じゃない。お前とリリがいれば傘型ガーディアンは倒せるだろうが、ワンダリングギガンティックへの突入はどうするんだって話だ。だから少数精鋭での潜入になるし、お前ができないと判断するなら無理にやらせるつもりはないぞ」


 その言葉にはルッタも頷き、胸の内で安堵した。ルッタもギアと同様にタイフーン号ではヴァラル隊の二の舞になると考えていたのだ。


「じゃあ、風の機師団からの参加は俺とリリ姉だけってことになるんだね」

「うん、そうだねルッタ」

「それとパパの言葉通りに、私も参加だねー」


 マリアが挙手して、ギアがため息を吐きながら頷いた。


「マリアのヴィーニュはオリジンダイバーとして見れば火力は低いが、それでも戦力としてはアーマーダイバーを上回る。加えてこういう任務には向いてる機体だ。ヴィーニュの能力なら囮作戦無しでもワンダリングギガンティック内に潜入まではできるはずだ」

「そして私も参加させてもらう。荷物にならぬように努力するので、よろしく頼みたい」


 最後にヴァラルがそう答えた。


(えーと。ヴァラルさんは厳しいとは思うけど……まあ自分の身を守るだけなら?)


 ヴァラルの機体は高出力型だが、傘型ガーディアンへの対処もできない腕前では、この作戦の参加は難しいだろうとルッタは判断していた。


(とはいえ、ヴァラル隊長はヘヴラト聖天領軍の軍人さんだしなぁ。たとえ道中で死んだとしても、マリアさんもいるんだし、変な誤解が生じることもないか。それに……)


 これからのことを思ったルッタの肩がブルリと震え、口角がわずかに釣り上がった。それは正しく武者震い、興奮故に自然と湧き上がる笑みだ。

 護衛ミッションは嫌い。でも敵施設に忍び込む潜入ミッションは好き。そんな風見一樹の嗜好は、アイデンティティはルッタ・レゾンであると自認しているルッタにも受け継がれている。


(ワンダリングギガンティックか。楽しみだなぁ)


 何よりも未知の移動要塞に挑むシチュエーションというのは、男の子にはたまらないものがあったのだ。

導入パート終了。次話から放浪要塞攻略を開始予定。

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― 新着の感想 ―
ルッタに言っても仕方ない大人向けの内容とはいえ、報酬の話は無しか。 まぁルート変更どころか制御できたら領有の許可くらいは望んでも成果相応ですよねぇ?!ほかの天領がクチバシ突っ込んできたとき盾になってく…
ヴァラル隊長は唐笠の敵が出たら負ける腕前何だから、ルッタ達にとっては半ば護衛任務でもある。そうなると作戦の成功率はかなり落ちるよね? 絶対に守らなきゃって訳じゃ無いけど、内部でさらに護衛対象が増える可…
おー、施設潜入系は好みだったんだなあ 程よく楽しめるならいいんですがね
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