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第4話 天然痘キター!!

「報告します! 北方のキト領内にて、顔や体に無数のデキモノができる謎の奇病が爆発的に流行! すでに数千人が死亡、さらにこちらに向かって南下中とのことです!」


チャスキ(飛脚伝令)がもたらした最悪の報せに、謁見の間が凍りついた。


ついに来やがった。史実で俺と親父を同時にあの世へ送り、インカ滅亡の引き金を引いた悪魔の疫病――天然痘だ!


「お、落ち着けニナン、こういう時こそ前世の科学知識だ……! 天然痘の特効薬といえば……そう、牛痘! 牛のウイルスを植え付ければセーフ!」


俺は激しく脳内を検索したが、一瞬で現実に引き戻された。


「って、今の南米に牛なんか一頭もいねえええええ!!」


ピサロが持ち込むまで、この世界に牛も馬もいない。いるのはモフモフのリャマとアルパカだけだ。リャマ痘なんて聞いたことないぞ! 詰んだ! 普通に全滅ルートじゃねえか!


ガタガタと震える俺の前に、ワスカルが青い顔で進み出た。


「兄上、キトにいる我が腹心の代官もその病に倒れ生死の境との情報が……。このままでは我が国は……」


ワスカルのピアスが悲壮感でチカッと弱々しく光る。アタワルパも「見えない敵など、どう筋肉で殴ればいいのだ……!」と絶望している。


こうなったら、あれをやるしかない。江戸時代の日本や古代中国でもやっていた、牛痘以前の最終手段。


「……じ、人痘じゃあああ!!」


「じん……とう? それはいったい何ですか、兄上!」


アタワルパが身を乗り出す。俺は恐怖で歯をガチガチ鳴らしながら、一大決心を口にした。


「キトの病死者から、カサブタを……デキモノの膿がカサカサに乾いたやつを採取して、大至急ここに持ってこい! それを粉末にして……俺は、それを鼻から吸う!!」


「な、何をおっしゃるのですか兄上! 呪術ですか!?」


ワスカルが驚愕の声をあげる。無理もない。現代医学の知識がない彼らからすれば、ただの狂気のスカトロ行為にしか見えないだろう。


だが、これしか生き残る道はないのだ。カサカサに乾燥させて弱毒化した天然痘ウイルスを体内に取り込み、あらかじめ免疫をつくる『人痘接種法』。


成功すれば天然痘への完全な抗体を得られるが、最大の問題は――。


「(これ、普通に失敗して数パーセントの確率でガチ感染して死ぬやつなんだよなぁぁぁぁ!!)」


ナレ死を回避するために、自ら進んでデス・ルーレットの引き金を引く恐怖。俺の心臓はバックバクで、股間が逆アンデスしそうなくらいガクブルだった。


「兄様! そんな危険なこと、クシリマイが許しません!」


そこへクシリマイが涙目で割り込んできた。


「そんなに鼻から吸いたいなら、クシリマイのこの、はち切れんばかりの胸の谷間の匂いを吸ってください! それで病気なんてイチコロです!」


「妹よ、気持ち(と弾力)はめちゃくちゃ嬉しいが、悲しいかなそれはただのフェティシズムで、ウイルスには一ミリも効かんのだ……!」


数日後、厳重に密閉された土器に入れられ、キトから『究極のカサカサ』が届いた。


部屋に一人引きこもり、すり鉢で細かく砕いた恐怖の粉末を前に、俺は冷や汗を滝のように流す。


「よし……吸うぞ。吸ったら数日間はガチで発熱するはずだ。死んだらごめん、前世の神様!」


意を決して、ストロー状の葦の筒で粉末を思い切り吸い込んだ。


「ぶふっ……! げほっ、ごほっ!!」


鼻の奥を突き抜ける最悪の異物感。さあ、ここからが俺の、本当の命を賭けたサバイバルだ!



「報告します! 北方のキト領内にて、顔や体に無数のデキモノができる謎の奇病が爆発的に流行! すでに数千人が死亡、さらにこちらに向かって南下中とのことです!」


チャスキ(飛脚伝令)がもたらした最悪の報せに、謁見の間が凍りついた。


ついに来やがった。史実で俺と親父を同時にあの世へ送り、インカ滅亡の引き金を引いた悪魔の疫病――天然痘だ!


「お、落ち着けニナン、こういう時こそ前世の科学知識だ……! 天然痘の特効薬といえば……そう、牛痘! 牛のウイルスを植え付ければセーフ!」


俺は激しく脳内を検索したが、一瞬で現実に引き戻された。


「って、今の南米に牛なんか一頭もいねえええええ!!」


ピサロが持ち込むまで、この世界に牛も馬もいない。いるのはモフモフのリャマとアルパカだけだ。リャマ痘なんて聞いたことないぞ! 詰んだ! 普通に全滅ルートじゃねえか!


ガタガタと震える俺の前に、ワスカルが青い顔で進み出た。


「兄上、キトにいる我が腹心の代官もその病に倒れ生死の境との情報が……。このままでは我が国は……」


ワスカルのピアスが悲壮感でチカッと弱々しく光る。アタワルパも「見えない敵など、どう筋肉で殴ればいいのだ……!」と絶望している。


こうなったら、あれをやるしかない。江戸時代の日本や古代中国でもやっていた、牛痘以前の最終手段。


「……じ、人痘じゃあああ!!」


「じん……とう? それはいったい何ですか、兄上!」


アタワルパが身を乗り出す。俺は恐怖で歯をガチガチ鳴らしながら、一大決心を口にした。


「キトの病死者から、カサブタを……デキモノの膿がカサカサに乾いたやつを採取して、大至急ここに持ってこい! それを粉末にして……俺は、それを鼻から吸う!!」


「な、何をおっしゃるのですか兄上! 呪術ですか!?」


ワスカルが驚愕の声をあげる。無理もない。現代医学の知識がない彼らからすれば、ただの狂気のスカトロ行為にしか見えないだろう。


だが、これしか生き残る道はないのだ。カサカサに乾燥させて弱毒化した天然痘ウイルスを体内に取り込み、あらかじめ免疫をつくる『人痘接種法』。


成功すれば天然痘への完全な抗体を得られるが、最大の問題は――。


「(これ、普通に失敗して数パーセントの確率でガチ感染して死ぬやつなんだよなぁぁぁぁ!!)」


ナレ死を回避するために、自ら進んでデス・ルーレットの引き金を引く恐怖。俺の心臓はバックバクで、股間が逆アンデスしそうなくらいガクブルだった。


「兄様! そんな危険なこと、クシリマイが許しません!」


そこへクシリマイが涙目で割り込んできた。


「そんなに鼻から吸いたいなら、クシリマイのこの、はち切れんばかりの胸の谷間の匂いを吸ってください! それで病気なんてイチコロです!」


「妹よ、気持ち(と弾力)はめちゃくちゃ嬉しいが、悲しいかなそれはただのフェティシズムで、ウイルスには一ミリも効かんのだ……!」


数日後、厳重に密閉された土器に入れられ、キトから『究極のカサカサ』が届いた。


部屋に一人引きこもり、すり鉢で細かく砕いた恐怖の粉末を前に、俺は冷や汗を滝のように流す。


「よし……吸うぞ。吸ったら数日間はガチで発熱するはずだ。死んだらごめん、前世の神様!」


意を決して、ストロー状の葦の筒で粉末を思い切り吸い込んだ。


「ぶふっ……! げほっ、ごほっ!!」


鼻の奥を突き抜ける最悪の異物感。さあ、ここからが俺の、本当の命を賭けたサバイバルだ!



歴史改変物で天然痘が来たら当然牛痘……の筈なんですがどう見ても牛を手に入れる距離制約がキツ過ぎる(パナマですら何千キロ)。ジェンナーの牛痘は馬痘が起源という説もありますが、そっちだと馬鹵獲→選別→種痘の時間が足りない。と、言う訳でチャッピー君が激押しした「人痘作戦」となりました。


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