第34話 未来機関、スターリングエンジン!
「陛下の言われてた『スターリング機関(外燃機関)』作りました! パワーはまだまだですが、取り敢えずシュポシュポと止まらずに動きましたぜぇぇぇ!!」
コリ親方が、三日三晩ルミさんに強制レスト(監禁看病)された反動で限界突破したのか、寝起きのボサボサ頭のまま、怪しげな鉄と青銅の塊を抱えて工房に突っ込んできた。
その塊のシリンダーの下をアルコールの炎で炙ると、ピストンが「シュポ、シュポ、シュポポポ……!」と、驚くほど静かに、しかし確かに一定のテンポで回転し続けるのだ。
「えええーーーーー??? マジで作りやがったの!?」
俺は目玉が飛び出るかと思った。
スターリング機関といえば、シリンダー内の空気を外部から加熱・冷却することで膨張・収縮させ、その圧力差でピストンを動かす高効率な熱機関だ。概念だけは教えたが、一定の気密性と、熱伝導の計算が狂えば動かないそれなりの精密機械である。それを、青銅鋳造チート技術とソリア親方の「ノギス精度管理」だけで形にしてしまうとは……タワンティンスーユのマニア職人、控えめに言ってバケモノすぎる。
「はつでん!! じゅうでん!! いますぐ、回す!!」
コイルを抱えたアンタチャが、回るスターリング機関の軸を見つめ、ジト目を限界までカッと見開いて突撃してきた。すでに手には直流発電機が握られており、見る間に軸同士をテキパキと連結しちまった。
「お、落ち着けアンタチャ! ……ま、まあ待てよ。これで確かに動力車(自動車や機関車)を動かすには、重量に対する出力――『パワーウェイトレシオ』が圧倒的に足りない。車体に載せたら自重で潰れるレベルだ。だが……蓄電池の充電用としては、これ以上ないくらい十分なパワーだぞ!」
俺はポンと手を叩いた。
今までは発電機を回すために、川の近くの「水車」に頼るしかなかった。だが、このスターリング機関があれば、薪や炭、なんならラマのフンを燃やすだけでも、どこでも24時間ノンストップで静かに電力を生み出せる。
「これなら……無線局を水車の側に限定しなくて済む! 山の頂上だろうが、ジャングルのど真ん中だろうが、この機関と蓄電池を持っていけば、いつでも『移動式スパーク無線基地局』が運用できるぞ!」
「フッ、素晴らしい。ついに我が国の通信は、立地の制限すらキラーンと克服したわけですね」
新調した本物の眼鏡のブリッジをクイッと上げ、ワスカルが影から不敵な笑みを浮かべて現れた。
「兄上、直ちにこの『スターリング発電セット』を荷車に積んで、各地の戦略拠点へ配備しましょう。全土の防衛情報がクスコへリアルタイムに集約される、完璧な電子官僚国家の誕生です(眼鏡キラーン)」
「ガハハ! 兄上! どこでも雷の言葉が使える移動通信車か! 素晴らしい、我が鉄砲隊を『無線誘導』で敵の背後にマッハで回り込ませる、超近代機動
戦術が可能になるな!」
アタワルパも鉄製の大砲をガシガシと叩きながら、スターリング機関の回転に合わせて超高速マッハスクワットを刻み始めた。
「まぁ……! どんな場所でも、自家発電で熱く激しく稼働し続ける『スターリング機関』だなんて……!」
そこへ、クシリマイがはち切れんばかりの褐色巨乳をボインボインと大波のように揺らしながら、俺の正面から肉迫してきた。
「兄様、わたくしたちの夜の寝所も、今夜からは場所を選ばない『移動式・十部練(超絶大車輪・ロケーションハック)』の始まりですわ! 宮殿のバルコニーでも、庭園のアルパカ小屋の裏でも、兄様の長槍が放つ熱量で、わたくしの身体をシュポシュポと限界まで高温加圧してくださいな♡」
「陛下、外部からの加熱によるピストン運動の活性化……医学的にも大変興奮します」
医療神官キリヤが白衣をバサリと脱ぎ捨て、滑らかな褐色スレンダーボディを俺の背中に完全に密着させてきた。
「今夜はアンタチャ様の発電機とコリ様の機関の上で、私と正妃様が陛下を外側からじっくりと加熱(愛撫)し、体内の『パワーウェイトレシオ(精力)』を限界まで高めていただきます。陛下の蓄電池が過充電でスパーク(射精)するまで、24時間移動式で臨床実験をさせていただきますね」
「ボクも陛下のピストンを滑らかにする、潤滑油になっちゃいますぅ♡」
フェリちゃんまでドレスの裾をたくし上げ、特製のココナッツオイルを手にウインクしている。
「待って!! スターリング機関のモバイル化は最高だけど、俺の夜の営みまでモバイル化して24時間ノンストップで加熱(八部練)し続けるのはガチで命の危険があるから!! 嫁たちの愛の熱効率が良すぎて、俺の腰のライフゲージが排熱を忘れて一発でオーバーヒート消滅(ナレ死)しちゃうからァァァーーー!! 誰かこいつらのエロ脳の回路に今すぐ冷却水をぶっかけてくれーーー!!」
コリ親方の超絶技術によってスターリング機関まで誕生させ、大陸全土の「移動式無線ネットワーク化」を確定させたニナン皇帝。
インカ帝国はついに歴史上最も情報密度の高い「超近代的電気・通信帝国」へと超跳躍を開始したが、今夜もまた、どんな場所でも容赦なく加熱・大突撃してくる嫁たちの「人間発電所」の中で、骨の髄までドロドロに精錬(搾り取られ)させられる運命なのだった。




