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第20話 皇子誕生 勝利の聖蛇

そして一年後

「おぎゃあ! おぎゃあ!」

キリヤが徹底管理した「アルコール消毒&煮沸消毒された清潔な産室」から、元気いっぱいの産声がクスコの宮殿に響き渡った。

「おめでとうございます、陛下! 非常に健康な男子です。母体ともにバイタル正常、臨床的にも完璧な出産です!」

白衣姿のキリヤが、珍しく知的な褐色美肌を興奮で上気させ、生まれたばかりの赤ん坊を抱き上げて戻ってきた。

ベッドの上では、大仕事を終えたクシリマイが、いつもよりしっとりとした大人の色香を妊娠でさらに超弩級化した胸元でブーストしながら、幸せそうに微笑んでいる。

「立ち会ってくれてありがとう、キリヤ。……お疲れ様、クシリマイ。よく頑張ったな」

ニナンがクシリマイの汗ばんだ額を撫でると、彼女は俺の手をギュッと握りしめた。

「ふふ、兄様……いえ、陛下との愛のコンキスタドールの結晶ですもの。さあ、この子の名前を。陛下が前世とかいう世界から持ってこられた、素敵な科学の知恵にあやかった名前をつけてあげてくださいな」

名前か。

史実のインカ帝国で、最後の最後までスペインに抵抗して処刑された悲劇の英雄の名前は「トゥパク・アマル(輝ける聖蛇)」。だが、俺が歴史をハックしたこの世界に、そんな悲劇の憤死ルートはもう存在しない。

「この子の名は――『アティク・アマル(勝利の聖蛇)』だ!」

俺がそう宣言すると、クシリマイは一瞬で目を輝かせた。

「アティク・アマル……『勝利の聖蛇』! なんて力強くて素晴らしい名前でしょう! 押し寄せる白い異人たちを大砲でコンキスタドール返しした、今の我が国にぴったりの、最高にキマってる名前ですわ!」

「陛下、医学的にも大変ポジティブな言霊を感じる命名です。素晴らしい」

キリヤも満足げにキープ(カルテ)に名前を結び込んでいる。

「おお! 我が甥よ!筋肉の原石よ! 素晴らしい名だ!」

そこへ、お祝いのコーンウイスキーを持った雷鳴将軍アタワルパがドスドスと乱入してきた。

「アティク・アマル、良い響きだ! 早く大きくなって俺と一緒に青銅砲をぶっ放そうなぁ!」

「アタワルパ、生まれたての赤子に大砲の爆音を聞かせるなよ、鼓膜がコンキスタドールされるだろ! 」

「フッ、兄上。アティク・アマル皇子の将来の派閥形成と、不敬なモブ貴族への牽制を含めた英才教育プログラム(謀略セット)をすでに構築中でしすよ。(スペイン鹵獲品の本物の眼鏡キラーン)」

「お前は甥の教育を暗黒街の帝王育成塾みたいにするな!!」

そんな賑やかな俺たちを、部屋の入り口から温かい目で見守っている親子がいた。

事前スカウトで大活躍中の兵站の天才、ディエゴ・デ・アルマグロと、その息子のディエゴ・ジュニアだ。

アルマグロは息子の肩にぽんと手を置き、豪快に笑いかけた。

「どうだディエゴ? 混血メスティーソの子供も、このニナン陛下の国じゃ国の一員として、何の差別もなく笑って暮らせている。……将来、あの偉大なるニナン陛下の御子、アティク・アマル皇子の側近を目指して、この国のために働いてみる気はあるか?」

若きディエゴ・ジュニアは、クスコの輝かしい太陽と、俺たちカオスな皇族一同を見つめ、胸を張って大声で返事をした。

「はいっ!! 僕はアルマグロ家のハック精神とインカの科学を受け継ぎ、将来必ず、アティク・アマル皇子を支える最強の盾になります!」

「うん、良い返事だ! よしディエゴ、まずは俺と一緒に毎日一万回スクワットだ!」

「アタワルパはお前、よその有能な子供を筋肉脳に染め上げるんじゃねえええ!!」

「ウフフ♡ ジュニアちゃんがそっちの気(男の娘)に目覚めるなら、ボクが女の子の服の着こなしから夜の――」

「フェリちゃんも教育に悪いから一歩下がって!?」

悲劇の滅亡ルートを完全回避し、大砲と医療、そして最高の仲間(と拡大し続けるハーレム)に囲まれた新生インカ帝国。

次世代の『勝利の聖蛇』アティク・アマル皇子を迎え、ニナン皇帝の絶対にナレ死しない賑やかすぎるハッピーエンドへの道は、どこまでも明るく続いていくのだった。


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