第19話 征服野郎の方針転換
「はー、まさか生きてパナマの地を踏めるとはなあ……!」
パナマの港に降り立ったフランシスコ・ピサロは、包帯でぐるぐる巻きにされた自らの腹をさすりながら、深くため息をついた。
キリヤの執念のド●ターX風(?)手術(腹腔洗浄&腸縫合)のおかげで、奇跡の五体満足で帰国を果たしたピサロ兄弟。生きて故郷の土を踏めただけでも御の字だが、彼らの本当の奇跡は、その懐事情にあった。
「おいフランシスコ、信じられるか? 遠征費用で首が回らなくなってた俺たちの借金が、これで全部綺麗に消えるぞ……!」
二男のフェルナンドが、頭の穿頭術の跡(インカ伝統のナイス頭骨穴あけ処置)をさすりながら、金銀がギチギチに詰まった山積みチェストを叩いた。
そう、ニナン皇帝は、スカウトしたアルマグロ、オレリャーナ、ドミンゴ・デ・ソリアの3人分の「身代金(兼・ヘッドハンティング移籍金)」として、「小部屋一杯の金銀※」を渡してきたのである。
「フッ、あいつらの身代金だけで、借金完済どころか、パナマにデカい邸宅を建ててガバっと土地が買えるレベルの財産形成ができちまったな。ゴンサロの奴、大砲を筋肉で受け止めようとして死ななきゃ、今頃一緒に大金持ちだったのによ……」
ピサロ兄弟は亡き三男を偲びつつも、ホクホクの顔でパナマ総督府へと向かった。
「おいピサロ! インカ遠征はどうなった!? 黄金の帝国は征服できたのか!?」
詰め寄るパナマ総督に対し、ピサロは首を横に振り、大真面目な顔で報告を始めた。
「総督、征服なんて絶対に無理だ。あいつらはバケモンだ! メシカ(アステカ)の連中とは訳が違う! 騎兵を見ても一ミリもビビらんし、あろうことか我々よりデカい大砲(青銅砲)をぶっ放してきやがるんだ!」
「な、何だと……!? 先住民が大砲を!?」
総督が目を見開く。フェルナンドも横から熱弁を振るった。
「それだけじゃありません! 奴らは我が軍の最強の武器である重装騎兵の突撃に対して、完璧な対策(超長槍の槍衾)を知っていました! 完全にこちらの戦術がハックされていたんです! あそこはただの山国じゃない、最新兵器と近代医療を備えた、攻めるに難すぎるハイパー大陸国家です!」
総督府の面々が絶望で青ざめる中、フランシスコ・ピサロはニヤリと不敵に笑い、懐から一本の琥珀色の瓶を取り出した。ニナンが造ったコーンウイスキーである。
「だが、喜べ総督。あの若き新皇帝ニナンは、話のわかる男だ。武力での制圧は不可能だが、上手く取り入って『交易の承諾』だけはガッチリ取り付けてきた! 奴らの造るこの『神の聖水』と、無尽蔵の金銀を、我がスペインが独占貿易できるんだぞ!」
「むう……! 征服はできずとも、富が手に入るならまあ、良しとするか」
こうして、スペイン側も「インカ帝国とは戦争するな、美味しく貿易しろ」という空気になり、歴史の武力征服ルートは一旦は消滅したのだった。
一方、その頃のインカ帝国・クスコ宮殿。
「ふぅ……これでパナマ総督へのハッタリと、スペイン側の懐柔も完了だな」
俺は玉座で、アルマグロが整備に着手した最新のインカ道路線図を見ながら満足げに頷いていた。ピサロ一味に金を掴ませつつ「インカやべえ、貿易にしよう」と言わせる、経済外交チートである。
「さすがは兄上、完璧な平和外交です。これで西欧列強の脅威もしばらくは無効化ですね」
ワスカルが眼鏡風ピアスを輝かせ、スペインとの貿易契約書(キープ紐)をガチガチに結ぶ。
「ガハハ! 兄上! オレリャーナたちの造ったガレオン船に大砲を積めば、次は海の上でも雷鳴(筋肉)を轟かせられますね!」
アタワルパも大砲を担いで絶好調だ。
「さあお兄様ぁ! 国際問題も解決したことですし、今夜は私とキリヤと、新しくスカウトしたフェリちゃんも交えて、朝までお祝いの四部練(超大車輪)ですよぉ!」
クシリマイがさらに色気の増した褐色巨乳で俺の顔面を窒息させにくる。
「陛下、パナマへ帰ったピサロの経過データも気になりますが、今夜は私のスレンダーな肢体を使って、新しい『濃厚な臨床実験』のデータを採取させていただきます」
キリヤも妖艶に微笑みながら、白衣のボタンを一つずつ外し始めた。
「ウフフ、陛下ぁ、ボクもスペイン仕込みの夜のテクニック、たっぷり教えちゃいますね♡」
ドレス姿の男の娘フェリちゃんまで参戦し、俺の寝室は完全なる多国籍カオス状態。
「ちょっと待って! スペインとの戦争は回避できたのに、俺の夜の防衛戦(貞操危機)が毎日陥落寸前クライマックスなんだけどーーー!! 誰か俺の腰に援軍を送ってくれーーー!!」
最高皇帝ニナンの、科学とハーレムで歴史をフルボッコにする奮闘記は、これからもまだまだ続く!




