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第12話 爆誕!雷鳴将軍アタワルパ

「皆様、本日は我がタワンティンスーユの新たなる夜明け、ニナン陛下とクシリマイ正妃様、そしてキリヤ側妃様の合同成婚祝賀祭です!」

ワスカルの宣言と共に、クスコ宮殿の大広間は群臣とチチャ酒の熱気に包まれていた。ワスカルの片眼鏡風ピアスも、今日のめでたき日に過去最高級のデュアルキラーンを大連発している。

「兄様ぁ♡ 晴れて正式な夫婦ですね! 今夜からは毎日朝までタワンティンスーユ(子作り)ですよぉ!」

「陛下、私も正妃様に負けぬよう、子孫繁栄のための綿密な臨床術式の計画を立てて参りました」

褐色巨乳の実妹嫁と、長身スレンダーな現役医療神官嫁に両脇からギュウギュウに挟まれ、俺の心がの複雑な思いに塗り潰される。

だが、次の瞬間、俺の視線は別の場所――全国の領主から届いた、大広間の一角を埋め尽くす成婚祝いの貢ぎ物の1つに釘付けになっていた。

「……ん? おい、あのデカい置物はなんだ?」

「ああ、あれは地方の職人が作った青銅細工の巨大な太陽神の像ですよ、兄上」

アタワルパがコーンウイスキーを飲みながら教えてくれた。

俺はまじまじとその青銅像を見つめた。

インカの金属加工技術は超一級品だ。ただ、これまでは武器ではなく装飾品ばかりに使われていた。

「(待てよ……これだけ肉厚で綺麗な鋳造ちゅうぞうができる技術があるなら……鉄の鋳造は無理でも、石の砲弾をぶっ放す『青銅砲ブロンズキャノン』くらいならイケるんじゃねぇか!?)」

ピサロ一味の最大の武器は、銃や大砲による「轟音と火花」での精神攻撃だ。未知の雷のような音に、当時のインカ兵は戦う前にパニックに陥って壊滅した。あのアタワルパだって轟音に自失したところを無様に輿(こし)から引きずり降ろされ捕縛されたのだ。

なら、こっちも同じものを用意して免疫ワクチンをつければいい!

「なあ、アタワルパ。お前、戦場で目の前に雷が落ちても平気で戦えるか?」

「ひぃっ!? あ、兄者、何をおっしゃるのですか! 俺、どんな大男が相手でも筋肉で捻り潰せますが、雷だけはダメなんです! あのバリバリドカン!って音が心臓に悪すぎて……!」

国内では反乱鎮圧に猛威を振るう武断派の英雄アタワルパが轟音耐性ゼロ!

「なるほど、内戦の英雄も音にはビビるか……よし! ワスカル! すぐにアタカマ砂漠に部下を派遣しろ! あそこの乾燥地帯にある『苦い塩を(チリ硝石)』を大量に集めてこい!」

「御意。何に使うかは分かりませんが、兄上のご命令とあればマッハで回収させます(キラーン)」


チャスキ(飛脚)のコンボイ部隊により1ヶ月と経たず大量のチリ硝石が手に入った。

同時に手頃な火山から硫黄も集めさせる。これで硝石、硫黄、そして木炭。黒色火薬の三種の神器が揃った訳だ

数ヶ月後、俺の設計図をもと青銅職人総出で作られた、記念すべきインカ第1号の青銅大砲『雷神の怒り(ニナンスペシャル)』が完成した。

ドゴォォォォォン!!!

クスコの裏山に響き渡る、鼓膜を引き裂くような大爆音と白煙。

「ぎゃあああああ!! 雷の神が怒ったァァァ!!」

案の定、最初の試射ではアタワルパを含む全兵士が腰を抜かして泥を舐めた。だが、これが俺の狙いだ。

「ビビるなアタワルパ! これはお前を殴る雷じゃない、お前が敵を殴るための『新しい筋肉』だ!」

俺は毎日、兵士たちに火薬の爆音を聞かせ、射撃訓練を行わせた。インカ兵に「音への免疫」を強制接種したのだ。

するとどうだろう。

数ヶ月後には、誰よりも爆音を怖がっていたアタワルパが、大砲の銃身を愛おしそうに撫で回すガチの大砲マニアへと変貌を遂げていた。

「ハハハ! 兄上! この青銅砲の破壊力、最高です! 遠くの岩肌が超回復前の筋肉のごとく粉砕されていく!」

今やアタワルパは、自ら大砲の点火コードを握り、

「俺の名は『イリャパ・アプ(雷鳴将軍)』アタワルパ! 敵を全て、神の雷で塵にしてくれるわぁぁぁ!」

と叫びながら大砲をぶっ放す、スチームパンク覇王みたいなキャラになっていた。変わり果てた弟の姿に、俺は少し引いた。

「素晴らしいです、兄上。アタワルパの脳筋砲兵部隊、そして私の情報戦、キリヤの医療内政……。我が国は文字通り、無敵の帝国へと新生しつつあります」

ワスカルのピアスが、硝煙の中で妖しくキラーンと輝く。

天然痘の克服、近代医療の導入、そしてまさかの自家製大砲の配備。

ピサロ一味よ、見てろよ。こっちのインカ帝国は、お前らの知ってる歴史の100倍くらい戦闘力がバグり散らかしているぞ!


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