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45_修練進化_セレネ

 

 

 天帝邸のVIP専用ルームにセレネは案内された。

 カナメが既に鎮座しており、商談用に作られたであろう黒檀を削り出した高価な机と椅子が用意されていた。絨毯も明らかに高価なもので内装そのものがひとつひとつ人間国宝らが費用を度外視で時間をかけて作られた物だと誰にでもわかる。

 

「まぁ! 素敵なお部屋ね!」

「ようく来たな、社長さん」

「CEO! そっちの方がかっこよさそうじゃない!?」

「CEO、今日はご足労頂きありがとうございます」

「うむ! 苦しゅうない!」

「余の方が地位は上なんだよな」

「まぁいいじゃない、これからビジネスパートナーでありよき友人として関係を持つのだから」

「まぁな、それでこっちの条件は飲んでくれるのか?」

「感染者の全面支援、兵器からインフラ整備、医療についても研究施設をひとつ買収しているからレブルウイルスの研究を進めるのもできるようにしてあるわ」

「いや仕事早すぎるだろ」

「君影研究所にとカナメに必要機材のリストを送ったわ。足りない設備があったら言って頂戴」

「お、おう?」

 

「それとドイツの治外法権認める話はどうだったかしら? こっちは従業員をドイツの労働基準法で動かしたいのだけど?」

「そっちは問題ない許可する。ぶっちゃけ今の本州は労働基準法どころか無法地帯だ。秩序があるなら何でも良い」

「じゃあここに証人を」

 

 空中投影ディスプレイでセレネがサインを求める。

 カナメは指でサインを書いてセレネに渡す。

 

「契約成立ね。さてと、本州を早速再建させていきましょう」

「ああ、上側は頼む」

「上側? 本州のことじゃなくて?」

「本州の上側さ」

 

 セレネは小首を傾げた。

 

「そういう風に言うって事は、下側があるのかしら?」

「そうだな、丁度いい。セレネには視察をしてもおうか」

「視察?」

「視察場所は三箇所、椿宮師団、獣桜組、君影研究所の三箇所だ」

「良いわよ一ヶ月は日本にいる予定だし」

 

「決りだな。じゃあさっそく天帝のお膝元、椿宮師団がその中枢に案内してやるよ」

 

 カナメは立ち上がってセレネのエスコートを開始した。

 


 


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