空を見上げる
お久しぶりでございます
ブッチャーの槍が魔物を突き刺し、その後ろには、騎士団が続く。
「倒せる魔物でいい、無茶はするな!確実に減らしていけ!」
「「「はっ!」」」
元騎士団長の言葉に、騎士団員が声を揃える。
現騎士団長も続いて歩く。
やはり腕では敵わんな、いや腕だけでは無くカリスマ性も敵わないか。
バーバは、心の中で呟く。
ブッチャーの腕前は、歴代最高とも言われていたし、自信タップリな言動は、部下を引きつけるチカラを持っていた。
自分が勝てるのは、作戦の立案と、裏からの策略くらいかと解ってはいた。
ブッチャーの腕前に憧れ、騎士団に入団し、敵視する事で自分に発破をかけ努力した。No.2になれた時、頭の中でブッチャーを超えられる。
そう思った。
そしてブッチャーの気の迷いにより、ブッチャーは失脚。その地位は、自分に転がり込んで来た。
不本意ではあったが、No.1になれた。
だが、実戦では敵わなかった。
そんな事を考えながら、魔物を倒すバーバ。
ブッチャー達は、ワイバーンを少しずつ落としていく。
ワイバーンを倒し終わった時、ブッチャーの口元が少し上がった。
それを見たバーバや騎士団員たちも、表情が綻んだ。
が、団員の誰かが、空を指差して、
「まっ、まさかアレはっ!」と表情を凍らせた。
皆が空を見上げたとき、上空に見えたものは、
「「「「ボーンドラゴンっ!」」」」
ボーンドラゴン
アンデット系のモンスターの頂点とも言われる、骨だけ構成された竜である。
その骨は、恐ろしく硬く、切る事はおろか、傷付ける事も容易では無い。
心臓も無いので、弱点らしい弱点も無い。
唯一勝てる方法は、火の魔法で焼き尽くす事だと言われるが、全長30メートルを超えるような魔物を、一度に焼き尽くさなければ、たちまち回復してしまうようなバケモノを、誰が倒せると言うのか?




