第10話(4) 本当の告白と、星の答え
虎太郎は、ため息をつくように息を吐き出すと、自ら石上の手に自分の手を重ねた。
「……ほら」
「繋いでいいの?」
「だから聞くなって言ってんだろ」
「じゃあ、遠慮なく」
石上の指が、するりと虎太郎の指の間に滑り込む。
恋人繋ぎ。あの時と同じ形。でも、今度は虎太郎が自分から応じたものだった。
「だから指絡めんなって……」
「嫌?」
「……嫌じゃねぇから困ってんだよ」
石上が、弾けたように嬉しそうに笑った。
「そっか」と。繋いだ手が、ひどくあたたかい。見れば、いつも完璧なはずの石上の指先が、少しだけ震えている気がした。
(あいつだって、緊張してたんだな……)
そう思うと、胸の奥が不思議なほど愛おしさで満たされていった。
と、石上がふと空いた方の手でスマホを取り出そうとする。虎太郎はすぐに眉をひそめた。
「何してんだよ」
「今日の二人の相性、見ようと思って」
「占うな」
「え?」
「今日くらい、星のせいにすんなよ」
虎太郎は、繋いだ手に少しだけ力を込めた。
「俺が自分で決めて言ったんだから。……俺の気持ち、ちゃんとそのまま受け取れ」
石上は目を見開いた。それから、嬉しさに耐えるようにスマホをポケットにしまう。
「うん。今の、すごく嬉しい」
「いちいち言うな」
「言いたいよ。……占いはしない。でも、ひとつだけ言っていい?」
「何だよ」
「俺たち、絶対相性最高だよ。占いじゃなくて、俺がそう確信してるから」
虎太郎は一瞬だけ言葉に詰まり、それから、ぷいと目を逸らした。
「……なら、まあ、いいけどよ」
二人は手を繋いだまま、丘から校舎の方へゆっくり歩き出した。
誰かに見られたらどうするんだ、と虎太郎は思ったけれど、不思議と離したいとは思わなかった。
「虎太郎」
「今度は何だよ」
「あの夜のLINEと、全く同じ言葉だったね。『好きだから、付き合ってほしい』って」
「復唱すんな! 恥ずいだろ!」
「ふふ、嬉しかったから覚えてるよ。最初のは嘘だったかもしれないけど、今日ので完全に上書きされた。俺にとっては、今日の言葉が本物」
虎太郎は顔を真っ赤にしながら、繋いだ手を少しだけ握り返した。
「……過程が最悪だったんだからな。根石にはきっちり謝らせる」
「うん、半分だけ感謝して、半分は一緒に怒ろう」




