第10話(5) 本当の告白と、星の答え【完】
その日の夕方。
虎太郎の部屋には、結局、石上と根石がいた。
ローテーブルの上には炭酸ジュースとスナック菓子。ゲーム機の電源が入り、コントローラーが三つ並んでいる。
根石は部屋に入るなり、石上に向かって深々と頭を下げた。
「本当にすみませんでした!」
「もっと深く。床に額つくくらい」
「針田、厳しいって! いやでも、結果的には俺の罰ゲームが二人のキューピッドに――」
「なってねぇ! お前は一生反省してろ!」
虎太郎が即座に怒鳴ると、要は笑い、石上も隣で穏やかに笑った。
いつものゲーム音が流れ始める。けれど、いつもとは距離が違う。石上が虎太郎のすぐ隣にぴったりと座っているのだ。近いのに、虎太郎はもう追い払わなかった。
ゲームの合間、ほんの一瞬、石上の指が虎太郎の左手に触れる。
「おい、ゲーム中だろ」
「休憩中ならいい?」
「根石がいるだろ!」
「根石くん、ちょっと見ないでてくれる?」
「いや、無理だろ。目の前でいちゃつくなよ!」
要が両手で顔を覆って「うわー、針田が完全にデレてる」とぼやく。
「デレてねぇ!」と怒鳴り返しながらも、虎太郎は隣からのぬくもりを確かに感じていた。
ローテーブルの端には、かつて石上が忘れていった動物占いの本が置かれている。
虎とうさぎのページに、小さな付箋が挟まったまま。
嘘から始まったホロスコープ。
星に振り回されたようで、占いに背中を押されたようで。
でも、最後にその手を掴む答えを出したのは、他の誰でもない、自分自身だった。
「次、絶対勝つからな」
「うん、俺も虎太郎の隣で頑張るよ」
「……勝手にしろ」
石上が隣で嬉しそうに笑う。
最初の告白は、嘘だった。
けれど、今この手のひらにあるぬくもりは――もう、絶対に嘘ではなかった。




