同じ次元
3.同じ次元
「ちなみに第35区域は無事でした」
「良かった」
SOLAの説明に安心する奈紗。
「しかし、交差区域で通信障害が発生してしまいました」
SOLAは淡々を告げる。
「!」
「対応します」
奈紗は頼もしく、頷いた。
十数分後。対応は終わるが、疑問が残る。
「どうして、上層部はインフレーションの終了を阻止しないんだろう?」
奈紗は疑問に思う。
「科学的、技術的にも可能なのにな」
海翔も頷く。
「今回の交差区域のインフレーションが終了した宇宙は、それぞれ次元が違う宇宙が交わっているみたい」
奈紗は資料を見る。
「そうみたいだな。君の論文の《同じ次元同士》ではないようだな」
海翔も奈紗の開いた資料を覗き込む。
「でも、なぜ、同じ次元の宇宙になると、危険なんだ?」
海翔は奈紗に聞く。
「どちらかが高次元だと、空間の広がりが別の次元へと逃げれるでしょう? でも、同じ次元が重なると、空間の広がりが逃げれなくなると思うの」
奈紗は説明する。
「なるほどな」
海翔は納得した。
「二人とも、仕事です」
SOLAが次の案件を持ってきた。
「第12区域と第44区域の交差区域で、もうすぐインフレーションが終了します。通信障害が起きないように対応して下さい」
SOLAが資料を送る。
「はい」
奈紗は頷いた。
「第12区域かぁ」
奈紗は呟く。
「どうしたんだ?」
海翔は彼女の方を見る。
「ここは、2年前、上層部がインフレーション期の終了を阻止したことのある交差区域なの」
「え!?」
海翔は奈紗の説明に驚く。
「でも、何で!?」
海翔は奈紗に聞く。が、奈紗も理由は知らなかった。
「私がお答えしましょう」
SOLAがいきなり現れた。また、超個体状態だったのだろう。
「それで?」
海翔は聞く。
「実はあの交差区域のインフレーション終了後に誕生する宇宙は同じ次元同士の宇宙になる予定でした」
「え!?」
「ですので、《発表されたばかりの奈紗さんの論文》を密かに参考にして、事態の沈静化を図ったようです」
「!?」
「そして、《奈紗さんの論文》を闇に葬ったのです」
SOLAは淡々と説明した。
「そうだったの!?」
二人は驚く。
「必要なことはお話したので、作業に取り掛かってください」
SOLAの立体映像が消えていった。
「……」
「すごい情報だったね」
海翔は呆然としていた。隣の奈紗も。




