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【第18章‑3】 国人衆の文、屋敷へ
堺からの使者が去った翌朝、
東大寺の南にある久秀の屋敷に、
大和の国人衆からの使者が訪れた。
「十市殿より、
松永様に急ぎの文とのこと。」
家臣が控えの間へ案内すると、
使者は深く頭を下げ、
一通の書状を差し出した。
久秀は書状をひらいた。
――近頃、
河内より不穏の報せ相次ぎ候。
織田方に通じる者ありとの噂、
国人衆の間に広がり、
皆、落ち着かず。
三好家より返答なく、
大和の行く末、
松永殿にお伺いしたく候。
十市遠忠の署名があった。
久秀は静かに読み返した。
(……大和も揺れ始めたか。)
使者が言った。
「河内の国人衆の中には、
すでに織田の動きを気にする者が出ております。
十市殿は、
松永様のお考えを知りたがっておられます。」
久秀は頷いた。
「……十市殿には伝えよ。
畿内のことは、
こちらで押さえているとな。」
使者は深く礼をし、
屋敷を後にした。
堺に続き、
大和の国人衆も動き始めていた。
尾張の動きが、
畿内の内側にまで入り込んでいる。
久秀は机の上の地図を見つめた。
(……三好家は、
もう誰からも頼られておらぬ。)
屋敷の空気が、
さらに重くなっていった。




