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【第18章‑2】 堺の使者、屋敷に到着
昼下がり、
東大寺の南にある久秀の屋敷に、
堺からの使者が到着した。
表門で名乗りを上げると、
家臣が急ぎ奥へ走った。
「堺の今井家より、
松永様に急ぎの用とのこと。」
久秀は控えの間に移り、
使者を迎えた。
使者は深く頭を下げ、
一通の書状を差し出した。
「松永様。
堺の町に、
尾張の動きが届きましてございます。」
久秀は書状を受け取り、
折り目をほどいてひらいた。
――織田信長、
将軍義昭様を奉じて動くとの報せ、
近江より相次いで届き候。
堺の豪商・今井宗久の署名があった。
久秀は文を静かに読み返した。
(……宗久が動いたか。)
使者が続けた。
「近江の国人衆の中に、
織田方に通じる者が出ております。
堺でもその噂が広がり、
商人たちは松永様のお考えを知りたがっております。」
久秀は書状を畳み、
静かに息をついた。
(……堺は、
すでに尾張の動きを“現実”として扱っている。)
「堺には伝えよ。
畿内のことは、
こちらで押さえているとな。」
使者は深く礼をし、
屋敷を後にした。
屋敷の空気が変わった。
尾張の動きが、
ついに大和に届いた瞬間だった。




