表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
91/141

【第17章‑6】 永禄の変と畿内の揺れ

久秀が三好家の“座”に就いてから、

半年ほどが過ぎていた。

永禄七年の冬、

畿内は一時的に静けさを取り戻した。

寺社は徴発の乱れを抑え、

豪商も取引を再開し、

三好家の政もようやく回り始めていた。

だが──

その静けさは、

春の風のように儚かった。

永禄八年五月。

京から、

ひとつの報せが駆け込んだ。

――将軍義輝、

三好三人衆に討たる。

その言葉は、

畿内の空気を一瞬で変えた。

三好館の廊下では、

家臣たちが声を潜めて囁き合った。

「……本当に、討たれたのか。」

「京は、どうなる。」

「畿内は、どう動く。」

兄弟衆は、

誰も表に出てこなかった。

義輝を討ったのは三人衆。

だが、

その三人衆は三好家の名を背負っている。

つまり──

三好家全体が“将軍殺し”の烙印を押された。

京は混乱し、

公家は逃げ、

寺社は沈黙し、

畿内の国人たちは

それぞれの陣へ引きこもった。

堺の商人は、

三好家との取引を再び絞った。

大和の寺社は、

僧兵の動員を“検討”から“準備”へと変えた。

畿内の空気は、

静かに、しかし確実に

三好家から離れ始めていた。

久秀は、

その流れを冷静に見ていた。

(……三人衆は、

自らの手で三好家の地盤を崩した。)

だが、

責める気はなかった。

三人衆は、

三人衆なりに

“生き残るための手”を打っただけだ。

問題は──

その手が、

畿内全体を揺らすほどの重さを持っていたこと。

永禄の変の報せは、

畿内の空気を一変させた。

寺社は沈黙し、

豪商は取引を絞り、

国人衆はそれぞれの陣へ引きこもった。

畿内は、

静かに、しかし確実に

揺れ始めていた。

久秀は、

その揺れの中心に

自らが立たされつつあることを

静かに感じていた。

(……この揺れは、

どこへ向かう。)

その答えは、

まだ誰にも見えていなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ