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冥 シスイの前世 リリス・パンクライヴについて


目の前に、果ての無い荒野が続いている。

これ程までに広大な地がある世界は、どのぐらい存在するのだろう?

私は、命みなぎる草原の高台に立っている。

私の深紅の髪が、風に揉まれて、視界にゆらゆらと揺れている。

天から吹きすさぶ息吹を吸い込んで、そんなことを考えていた。



「リリス、無理はしちゃ駄目よ?」


「あぁ、わかってるさ。どの道、一人で"あれ"を倒せなんて面倒な無茶ぶりだよ。真面目に聞く必要も無いからね」


「一人じゃないよ、ダーリン?それに、いっつもそんな事言うくせに、全く逆の事するんだから」


「その呼び方は……みんなの前ではやめてよねゾア?一応私は、このパンクライヴ郷の王だから……」


私は18歳の時に、愚かな国が作り出した、終末の鬼と言う人工生物を作る元となった未知災の伝記の存在を、ゾアや電脳一族の女王と協力し封印した。

その武功が称えられ、その年に王になったのだ。


「……ケチ」


ゾアリア・レ―ドは、無垢白な髪を風にくゆらせ、視線を一直線に前の"存在"に向けている。口元は、ほんの少し笑っている。


「ふーんそっか。私の気持ちより、みんなからの体裁を気にするんだー、ほんのすこーしゾアちゃん傷ついたかもー」


ゾアは、ガーネットの様な赤暗い瞳を、一瞬ぎらりと光らせ、私を見ずに、うんうんひどい、と頷いている。


「あぁ……いや、そうゆう事じゃないんだよゾア……私はどんな存在の目も気にはしないよ。ただ、単純に……恥ずかしいんだよ……」


ゾアリアは私が信頼できる、数少ない存在だ。

出会ったのは、まだ、お互い十歳程若かった頃だ。

彼女は孤児であり、修道女見習いとして、教義を説く家に住み込んでいた。


私達の初めての出会いは最悪だった……思い出してもかなり笑えるぐらいに。

私は、父の命で、魔女討伐の為、とある小さな村へ向かった。

そこで、食料を現地調達しようと、木の実を取ったのだが、後ろから突然現れた彼女は、私が木の実を盗んだと、いきなり木の枝で、鬼の如く猛打してきたのだ。


さらには、父の命じた、討伐対象の魔女とはゾアの事だったのだ。

私は、悩んだ挙句、彼女に全てを打ち明けた。

彼女はその時「あなたは私をどうするの?」と聞いてきた。

その時なんと答えたかは、あまり思い出せないが、"見逃すから友達になって"と半ば告白の様な事を言った気がする。

なんでそんな事を言ったのかはわからない。

でも、その時の彼女の笑顔だけは今でも忘れやしないぐらい、私の大切な宝物だ。


あの時、初めて父に背いた。そして初めて友が出来た瞬間でもあった。


そんなこんなで、ゾアとの間には様々な事が起こり、紆余曲折を経ながら、仲を深め、いつの間にか気づいたら、恋人になっていた。


「恥ずかしがりやな王様ね、弱っちーの。それより"あれ"そろそろどうにかしないとやばいんじゃない?」


ゾアは、私の肩に手を回し、わざと胸を腕に当てるようにした挙句、私の肩に頭をよりかけ、近づいてくる超巨大な未知災の異形を指差した。


私の心臓は高まる。勿論、異形にでは無い。


「あぁ、うん。ゾアは危ないから離れていてね。いくら君が、魔女と女神の血の両方を受け継いだ者だとしても、私は君が危険に晒される事に心が削がれるのは変わりないんだからね?」


私は、滅びの黄金と巷で呼ばれているこの瞳で彼女を見つめた。

彼女は私の瞳が好きらしい。耳元でいつもそう囁く。


お互いの瞳が、お互いの虹彩を見つめて揺らめきだす。


「……ずるいんだから」


私達は、風が吹き抜ける大地の高台で、顔を近づけ合う……


「こっほん!!!」


私とゾアは急いで、空気の読めない咳払いのする方向に目を向けた。


アーテマだ。


「アーテマ!覗き見とは、良い覚悟だな?お前のその透明の体を掴んで、荒野に放り投げてやろうか?」


私は、恥ずかしさで赤くなった顔を腕で多い隠し、目の前の中身の無い、黄金の甲冑男に言った。


「リリス様。あなたに背く気など滅相も御座いません。しかし……パンクライヴ郷の民の命が懸かったこの場において、その……ゾア様とチュッチュするのは、どうかと思いまして……それはいつもしているじゃありませんか?」


「アーテマ~、いつも覗いてるって事ねぇ?体が無いのにえっちな奴ー」


そう言ってゾアは、アーテマの体を後ろから取り押さえ関節技をかける。


「見られたからには、生かしておけないな。お前は、結構良い奴だったぞ?」


私は掌に、小型の太陽の如く輝く、魔導を密集させたエネルギー弾を、アーテマの顔に近づけた。


「あーーー!!!ギブです!ギブアップです!幾ら空白でも、私の本体に痛みは伴うんですよリリス様。と言うか、ゾア様の関節技がもう痛い!!!」


このアーテマと言うのは、パンクライヴ郷の叡智の結晶として出来た生命だ。

元を辿れば、機械知能などがそれなのだが、もはや別種の生命と言って過言ではないのだろう。パンクライヴ郷の中枢に、巨大なクリスタルがあり、それがこいつの本体だ、目の前のこいつはそこから届いている幻影みたいなものだ。

世界間ネットワーク計画の安定的存在として、作られた存在だ。


それと同時に、私とゾアを理解する、数少ない信頼できるやつだ。


「あっ、そうだ。アーテマ、ゾアをそこで守っていてくれよ。それと、現在のあれの状況を教えてくれ」


私は、深紅の鎧を纏った全身を、リズム良く動かし、準備運動をする。

私の体から、金色の粒子が舞う。


「はいはい。ゾア様は命懸けで守りますので、リリス様は私達に"あれ"が近寄らない様に死守してくださいね?あなたの血なら可能とデータが言っていますから」


私の血……


私は数多の天災の異形、未知災の異形に勝利し、封印し、調伏して来た神族の末裔らしい。

その神族は、ひっそりと血を受け継ぎ続け、科学の叡智とも適合し、遺伝子編集により、超人を誕生させる技術を取り入れて、さらに進化を重ねた。

素養と技術が奇跡的に掛け合わさり、私が誕生したのだ。



「あら、アーテマ?あたしを守ってくれるの?優しいのね?今度、あの本体のクリスタルなでなでしてあげよっかなぁー?」


「あ・れ・は!触らないで下さい!プライバシーの侵害です!何度あなた達に悪戯されてきたことか……そのたびにこっちは大変なのですよ!」


ゾアは、細く蒼白な女性らしい体を、くねくねとさせ笑っている。


「わかったわかった。お前の引きこもり部屋には行かないから、早くあいつの状況を教えてくれ」


「約束ですよリリス様?」


「早く!」


ただただ、広大で殺風景なはずの荒野に、巨大で真っ白な人型がのそりのそり歩いて来ている。山程の背丈があり、手には大きな指輪がじゃらじゃらとついている。

その指輪から、見知らぬ世界の映像が、空間に映し出されている。

とても変わった異形だ。


アーテマが言う。


「名は、ルカデンカです。このあらゆる世界でも名だたる国達が寄せ集まって出来たクラウド国家、パンクライヴ郷を疎ましく思った世界が放った、技術の叡智の異形ですね。人工生物と言うよりかは、私に近いニュアンスの存在です。しかし、放った国家はもう存在しておりませんので、銘も無く、もはやただの目的を失った放浪者とでも言いますか……」


「目的を失った放浪者……」


ゾアは、何やら意味深な顔をしている。


「で、その能力は?」


私はアーテマに、核心を早く教えろとせがむ。


「そこまではわかりません。ただ、やつのエネルギー量を計るに、巨大な国家を相手すると言っても過言ではないでしょう」


「国家ね……敵意は?」


「ありませんが、やつは自分が移動する場所を殲滅して来ています。そして誰も止める事が出来ませんでした。その上で、この先にはパンクライヴ郷が御座います」


「それってやばくない?」


ゾアは、両手を顔に当て叫ぶようなジェスチャーをする。

ガーネットみたく透き通る瞳をまん丸に広げ、オーマイガーと言う。

修道女らしい服装なのだが、やけにその言葉がマッチしない。


「そうです!だからチュッチュなんてしてる暇はミリ秒も無いんです」


アーテマは苛立ちを、黄金の甲冑がしゃがしゃと鳴らし表現した。


確かにそうだ、愛はたまに大事な事さえ見えなくさせてくる。


「そう怒るなアーテマ。どうにかするからさ」


私は少し考えた後、やはり剣を握りしめた。

パンクライヴの、知が凝縮された宝剣。私の能力に反応し、深紅の線が鼓動の様に流れる。

ちなみにこれは、私が倒した伝記の存在の素材を元にして、アーテマに作らせたモノだ。

必要ない時は、アーテマが保管している。


「ねぇ、リリス。あたしにいい考えがあるの」


ゾアは私にこしょこしょと耳打ちしてきた。アーテマは物凄く聞きたそうにする。



「えっ!?そんな事本当に可能なのかい?」


ヒノの突拍子の無い作戦に、私は驚嘆する。


「えぇ、恐らく可能よ?リリスが動きを止めてくれればね?」


アーテマは、イライラしてきて、がしゃがしゃと貧乏ゆすりを始めた。


「……うん、やってみるよ。とにかく行く。もう時間が無さそうだし。

ゾア、くれぐれも無理はしないでね。私は君を心の底から愛しているんだ。

生まれ変わっても、例え君が異形になろうとも、きっとこの愛は無くならないからね」


「信じてるわダーリン。もし、生まれ変わったら、私は羽を生やして、一人でつまんなそうにしているあなたに会いに行ってあげるわ。ふふっ」


ゾアは、私を抱き締めて、大好きちゅっちゅと両頬にキスをした。


「お熱い事ですね、毎度の事」


アーテマは呆れた様な顔で言った。顔は無いが。


「じゃあ、行ってくる」


私は草原の丘から、荒野に向けて盛大に跳躍した。

私を包む深紅の鎧を念動で操作すれば、宙だって簡単に浮いてられる。

魔術で場を創造する方法もあるが、いわゆる、物理的な魔法陣みたいなあれは、生成と判断が速度においてワンテンポ遅れるので、急く時は、感覚的なこちらを選ぶ。


私は、荒野の上空を激しく乱雑に飛び回る。

もう、目前に迫った奴の出方を見るためだ。

近寄って気づいたが、このルカデンカと言う異形のボリューム感は尋常では無く、奴の歩く地響きは、この星が咳でもしているかの様だ。


ルカデンカは私を肌感覚のみで認識して、ただおもむろに右手を上げた。

じゃらついた、大きな宝石の指輪から、ホログラムの生物や武器が登場する。

別の世界の存在。この世界の概念外の何かもいれば、四足歩行の爬虫類らしき存在や、牙がやけに魔術的な太古の獣などもいる。武器は多種多様、私の武器には劣るが、何処かの世界のなかなかの稀なる秘武器だろう。


そのすべてが、私に向かってくる。


「……面倒だな」


私は魔蔵からおびただしいエネルギーを顕現し、剣に高出力で充填する。

それは、私の背丈の五倍程の長さの光煌の魔導剣へと変化する。

剣の形をした太陽。

それぐらいに、凝縮された並々ならぬ波動。


私は、指輪から召喚された獣や武器をアクロバティックにかわしながら、

楽譜の記号の様に、滑らかな切り口でリズムのある居合を決め込んだ。


人知を超えた異形や武器達は瞬く間に光の渦となって、ことごとく消えて行く。

弱くはなかったのだろう、これらは。

でも……舐めないで欲しい。私はパンクライヴの王なのだ。

三番煎じの様なモノでどうにかできると思うなよ。


私は、そのまま奴の腕に、閃光の如く、山をも容易く砕く一太刀を浴びせた。

私が通り過ぎたのち、その場所は、極雷が爆散する様に、激しい眩しさに包まれた。

風圧で、荒野や草原の草花が、私にお辞儀する様に揺れる。


当然、奴の腕は跡形も無く、消え去った。

なのに……指輪だけが傷一つ無く残り、浮遊している。

奴は全く表情や感情も見せない。ただ淡々と、轟雷の様な音を響かせ前進する。


「厄介だな。止まる気配が無いじゃないか……やっぱり、ゾアの作戦しか方法はないか……?」


誰に言うでも無く、少しの焦りを吐いたあと、私はゾアに目をやる。

彼女は頷いている。


やるしかないか……


それにしても、ゾアの意思や気配を汲み取る能力は、やはり次元が違うな。

この私を持ってもそう感じる。やはり、魔女と女神の血を引いてるからなのだろうか……


奴の願いは、ただ何にも邪魔されず、前に進みたいだけだと……

本当は攻撃すらしたくないのだと……


私は星の落下の魔術を唱える。


私や、ルカデンカより遙上空に、十メートル程の巨石が、六芒星の透明の箱の中で、目にも止まらぬ速さで回転する。


次の瞬間――


私は、ルカデンカの前方の地を見て、指揮者の様に、大きく指を振り下げる。


地が割れる様な轟音、空中の大気の悲鳴。


直視できない光量の光の柱が、螺旋状に天に上る。


金色の粒子で形作られた、万物の構造の図形が、閃光の中から辺り一面に無数に飛び交う。


私は、それがスローモーションに視え、その無数の全ての図形に、派生の魔術属性を発動できる。今は、それをする必要が無いが……


遅れて、すべてに鋭い風が凪ぐ。


未来が視える――


確実に、ルカデンカは目の前のクレーターに転ぶ。


……


……


ドゴォ―――ン!!!


やはり――



鈍い音が大地に響いた。


奴は、うつ伏せで突っ伏している。


その背中は、もう、起き上がるのすらめんどくさいという風な感情が見える。

奴から見えた初めての感情。

自分より、強大な存在がいた事による安心感というものも感じる。


これでいい。ゾアからの頼みはここまでだ。


調伏に必要な要素らしい。


そして、次の瞬間――


先程の、私の星の魔術の巨石より、遙に巨大な門が、ルカデンカはの上空に現れる。

その下には、同じく巨大な鍵が浮遊している。


その扉は、荘厳な装飾が為されており、煌々と眩く、天国の扉と表現するに相応しい。


ゾアは、何かを唱えている。


その鍵は、プリズムの粒子を纏い、まるで何かを考えてるかの様に、鍵穴にじっくり向かっていく。


私は、稀に見るその光景を空中で、ぼんやり眺めていた。


もし、ゾアと別の世界で暮らすならどんな世界がいいかなと?


間もなく、鍵は扉の鍵穴に刺さった。


ルカデンカは動く様子が無い。ただ、じっと迎えを待っている。

攻撃してきた私に対する、怒りの気配すら一切無かった。


天の扉が開いた。


中は、なんとも言えない色で、この世界の概念では表現できない感じ。

ただ……その先は悪い場所では無さそうだ。

ゾア曰く、女神の能力で、その者が願う場所に行けるそうな……


ルカデンカは、プリズムの光に運ばれ、赤子の様にスヤスヤ眠っているみたく、

静かに門の中に運ばれた。


最後に一瞬、ゾアの方を見て、頷いた気がする。

私には、その気持ちがなんとなくわかる。


門は、都市さえ包むような金属音を発して、がちゃりと締り、そのまま空間に消えた。


これで一安心だ。


私は、ため息を一つついて、ゾアとアーテマの元へ戻った。


草原の高台に着地――


見える風景は少し変わってしまったが……


「お疲れダーリン」


「リリス様、ゾア様お疲れ様です」


「ゾアこそお疲れ。君のおかげだね」


私は、敵わないよと言う風に鼻で笑った。


「ぜんぜーん。あなたの無比の力があってこその、あの魔術よ」


「それですが、あの門の魔術は何をしたのですか?」


アーテマが、顔にハテナマークを浮かび上がらせた。


「あぁあれね、単純に転移よ。私の女神の門の場合、前段階で、それを相手が受け入れる必要があるの。それがリリスの魔術で成功したの。もう降参って感じでね。

それと同時に、その受容を生かして、魔を制して使役する、調伏をしたってわけ」


アーテマは、講義の学生のようにふんふんと、興味深く聞いている。


「もしかしてゾア……本当に調伏できたの?転移だけでなく?」


それなら、とんでもない話だ。やつ本体はかなり尋常では無いレベルの異形なのに……

幾ら私が、能力を使ったとしても、それをこうも簡単に使役するってのは……ゾアやばいよ。


「できたわよ。でも、あの子全身で、召喚すると危ないから、両腕だけにしたほうが良いって言われたけど」


「誰にですか?」


アーテマが黄金の甲冑の首を傾げる。


「ひみちゅ♡」


ゾアはそう言って、アーテマの腹をボンっと殴った。


「ぐふぅっ!何するんですか!」


「あっ!私も忘れてた」


私も、アーテマの肩をボンッと殴る。


「痛ったいな!!!暴力カップル!!!」


アーテマは、鎧を軋ませひぃひぃ言っている。


「王にそんな口聞いていいのかぁー?アーテマ?」


私は笑いながら、連続でアーテマの鎧を叩く。


「あははははは、ちゅっちゅを覗き見していた罰よ」


ゾアは笑って首を傾げる。


「全く……あなた達が生まれ変わっても、絶対に会いに行きませんからね私?」


アーテマは首をふいっと背けた。


「じゃあ、私達から会いに行ってやる、サーカスでも開いてろよ」


私はおどけた風に言う。


「いいねー、星も超えちゃうようなド派手なダンス見せてよね、アーテマ?」


私とゾアはハイタッチする。


「はぁ、女神よ。私をこの者達から守る強き仲間を下さい……」


アーテマは天に祈る。


「あはははは、あんた本当面白いわね」


そう言って、ゾアは私とアーテマの間に入り、肩を組む。


私達三人は、くだらない話をしながら、バカ笑いし、パンクライヴ郷に帰った。


これから降りかかる、悲劇を何一つ知らぬまま……



そんなこんなで――



私は数奇な宿命で、広大な世界の王として君臨している。



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時は変わって、別の世界、遙未来――


私達から見れば現代――


パンクライヴ郷より、限りなく小さな国、日本――


大自然の限界集落の、ど真ん中に、カラフルなサーカスのテントがあった。


そこの中から外を見る、ピエロの様な、しかし高貴な礼装を着た、中身の空白な男がいた。


こんな、一切誰も近づかない、不気味で風変わりな場所に、向かってくる存在達を見て、男は微笑む。


テントに、二人の少女の人影が近づいて来る。


男は、一言呟いた。


「忘れてませんからね……」

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