116.プールサイドのロボ娘
そんな中里であったが、後で知った事だが綾先生は彼女に恐ろしい改造をすることを計画していたが、今は誰も考えられなかった。そんな中里のイジメに理恵は耐えていた。その時、彼女は面倒なのでシステムをフリーにしていたというが。
水泳の時間が始まった。この日は記録を取ることになっていた。女子の方は体育教師の大島が担当していたが、すでにこの学校の教師全員がインターフェイスを埋め込まれていたので、綾先生もリアルタイムに確認していた。だから中里の事はお見通しだった。
「あんな金属の塊なんか浮かばない潜水艦になるって決まっている! なんで先生も止めないんだよ、あんな金なんて付いている奴なんかボロななもので出来たロボットに決まっているだろ!」
中里の愚痴でしかない恵理に対する罵詈雑言は大島の聴覚を経てネットワークに広がっているのを本人は知らなかった。その反応はロボットに対する差別意識によるものと確認されていた。もっとも人間というのは自分よりも劣っているという存在を作り出して、それに対し憎悪の感情をぶつけているというのは特段珍しい事ではなかった。身分の貴賤に関係なく。それを確認するだけのことであった。
そして理恵の番になった。理恵によればその時性能をセーブしていたという。その気になればオリンピック代表になれるぐらいのタイムは出せたが、今のところ病室から操縦しているという設定なので、手を抜いて泳ぐことになっていた。理恵がプールの飛び込み台へ向かおうとしたとき、中里がこう言った。
「あんたなんか壊れてしまえ! 屑鉄おんな!」
その悪口に恵理は無反応だったが、心の中で彼女を憐れんでいたという。




