117.ロボ娘とスクール水着と
恵理は学校指定の普通のスクール水着を着用していた。本当の事を言うなら着用する方が邪魔だし、オプションのパーツを付ければ長時間潜航することも可能であった。それらをしなかったのはロボットが人間と一緒に授業を受ける事に対するクラスメイト達の反応を研究するためであった。そのため、クラスメイトの中には本人の知らぬ間にインターフェイスを埋め込まれた者もいた。それらが監視していた対象の一人が中里だった。彼女はイジメっ子であるとともに異常なまでのロボット憎悪を持っていたからだ。彼女のような人間が憎悪を持っているロボットがクラスにいたらどうするかが問題であった。
その里中と一緒に記録を取る相手が理恵だった。この時、彼女自身がロボットの素体になっていると知っていたのは生徒では翔太一人だったので、クラスメイトの誰もが普通にロボットだと思っていた。でも、疑問に思う生徒も少なからずいたようであったが。
里中はスタートラインにロボットと一緒にいるのが不満なのが顔に現れていた。それに負けてなるものかとも思っているのは彼女の態度でも明らかであった。彼女であるが一応陸上部に所属はしていたので、身体能力はそれなりであったが、性格が悪く協調性もなくあまり熱心でもなかったので、水泳の記録は凡庸で理恵よりかはマシだというレベルだった。
「くそう! なんでロボットと泳がないといけないのよ!」
里中はそう思っていたが、一方の恵理も面倒くさいと思っていた。ロボット娘の呼吸は背中に吸気口があって、胸にある酸素圧縮装置で液体呼吸システムに酸素が送り込まれる方法だった。そのため、オプションなしで泳ぐ場合には、あらかじめ酸素濃度をあげておいた上に、予備酸素パックを使用しないといけなかった。吸気口から水が入った場合、故障する危険があるための措置だった。
「翔太、一応テストでは上手く行ったけど、ちょっと無様になるかもよ」
そんなメッセージを僕は受け取っていたが、確かに外部はロボットに強化されていても内臓は平凡な少女・恵理のままだったから当然の反応であった。機ぐるみは性能を発揮しても能力に極端な差がある場合、負担が大きくなるようであった。
「位置について!」
その声で二人、実際にはもう一人目立たない生徒も一緒だったが、クラスの注目はロボットとイジメっ子として嫌われている大女の勝負であった。普通にやれば結果は分かっていたが、綾先生にこう指示されていた。適当にしなさいと。その真意はわからなかった。




