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110.水泳の授業は

 翔太は坂道を理恵と一緒に登校するのが照れ臭かった。それまで互いに異性と意識する事なんかなかったから、朝たまたま一緒になっても行くところが同じだから当たり前だという感覚しかなかった。それに挨拶以上の言葉を交わす事なんて滅多になかった。


 道を行きかう人と目線があっても、翔太はなんも気にならなかった。まあロボットが女子高校生の制服を着ていることに違和感を感じているような人がいる事に気付いたとしてもだ。それに互いに言葉を交わすことはなかった外見上は。だが、二人でインターフェイスを介してコミュニケーションを取っていた。


 「たしか水泳の時間は四時間目だろ? 男子と女子も同じときだろ? そしたら男にも見られるぞ」


 「翔太、なにを? アッ! まさかプールに何も着ずに入るって思っているの?」


 「いや、そのう・・・なんとなく危惧したんだよ、大丈夫かと」


 「大丈夫よ、わたし何を持っているか分かるでしょ!」


 そういわれて見ると理恵がスポーツバックを下げているのが分かった。


 「水着が入っているのか?」


 「そうよ! ロボット娘であっても制服を着ているんだから、当たり前でしょ!」


 翔太はなんか説得力があるようであって、ないんじゃないかと思っていた。

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