三十三話
「橙。お金は払うからもうやめて。」
放課後、宮桜が橙を誰もいない図書室を呼び出した。
宮桜は彼女の暴徒に耐えきれず封筒を渡した。
「お願い。これ以上無謀なことはしないで。私はただ、桃子を守って欲しかっただけなの。」
「昨日の約束だったはず。」
「え?」
橙はその茶色い封筒を受け取らず弾き飛ばした。
「なにするの!」
「期限は昨日だったはずだって言ってんだよ。金の約束。利子分いれてこないと。」
「利子って、そんな話…。」
「1時間遅れるごとに10万。」
「な、何言ってんのよ!そんな無謀な話聞いてないわ!」
「じゃあ百万でいい。」
「無理よ!そんなもの!」
「払えないなら、いいよ。この学校を担保にもらうから。」
「研究所はどうしたの?」
「場所を変えようと思ってさ。ここに。被験者沢山いるし。私好みのロボット沢山作れるし、お前もなってみる?私みたいな半身ロボットに。」
と、腕の皮膚についた機械をちらつかせた。
「嫌よ!ロボットになるなんて…それがあなたの目的?」
「素晴らしいと思わない?桃子もロボットになればあいつらに取られることはないしね。」
「みんなに言うわ。この学校を閉鎖してもらうよう呼びかける。」
「言えば。すでに何人かはもう取り込まれてるけど。」
「…。」
「百万無いなら身を売ればいいよ。私に。身を任せれば、君の体も不死身以上になる。」
橙はそうニヤッと笑うと、宮桜の細い腕を掴んだ。
「明日まで。よろしく。」
橙はいやらしく笑うと、図書室から出て行った。
「どうしよう…。」
宮桜は頭を抱えた。
「お姉さま。なんかいつになく静かね。」
同時刻の放課後、何も知らないきょうりんが合流した。
「悩み事?」
「別に悩み事なんかないわ。ねえミシルちゃん。」
「う、うん。」
「ねえねえ!なんか、そっちのクラスに変わった人入って来たんでしょ!?」
「…。」
「かっこいいとかって聞いたんだけど、どうなの?」
「…。」
「ねえねえ!」
「うるさい。」
さきゅばすのマジのトーン2人の心をどきっとさせた。
「…なんか怖くない?」
きょうりんはミシルに耳打ちした。
「…。」
ミシルもなんと答えていいかわからなかった。
「私も近づいてみようかな。」
「それ以上喋ると殺す。」
「え?」
「きょうりんちゃん。」
「何?」
きょうりんはミシルに諭されながらも、よくわかっていなかった。
次の日
「おはよう。宮桜。」
桃子はいつものように教室に来て彼女に挨拶をした。
「おはよう。桃子。」
「今日もいい天気だね。」
「そうね。」
「どうしたの?」
「あのね。桃子。」
「ん?」
「ごめんね。」
「どうしたの?謝ったりして。」
「私、バカなことをしてしまった。自分の欲のために…。」
「宮桜?」
「ごめんね。でも、あなただけは傷つけたりしないから。」
宮桜は桃子の手を握り、悲しそうに彼女の胸に飛び込んだ。




