三十二話
「な、なに?」
桃子や中の教室にいた女子達は外の様子に唖然としている。
「さきゅばすちゃん大丈夫!?」
ミシルはさきゅばすに駆け寄った。
「…。」
「許さない。」
さきゅばすは無言で立ち上がる。あの彼女が本気で怒っていた。
「ごめんねさきゅばすちゃん。私、逃げられなくて。ももちゃんに何かを巻き付けられて…。」
「ミシルちゃんが無事でよかったわ。あの威力だと、ミシルちゃんも粉々になってたわ。」
「…。」
「なに?どうしたの?」
すると、廊下にわらわらと人が流れて来た中に、あの橙もいた。
「ちょっと!!あんたなに考えてんのよ!!」
さきゅばすは怒り心頭に橙の胸ぐらを掴んだ。
だが、周りと橙本人はキョトンとしている。
「何言ってんの?」
「橙さんはずっとここにいたのにそんなわけないじゃ無い!」
「そうよ!!」
女子生徒達は口々にさきゅばすを批判した。
「あなたも知ってたでしょ?」
「…。」
そのセリフに、さきゅばすは黙り込んだ。
確かに彼女らの言う通りだった。
橙はずっと席に座って彼女らの相手をしていた。
「よくわかんないなぁ。君の言ってる事。」
橙は掴まれた胸ぐらを振り払った
「2人いるのね。」
さきゅばすは腕を組み直した。
「何しにここに来たか知らないけど元の畑に戻りなさいよ。ここはあんたが来るところじゃ無いわ。」
「さきゅばすも望んでんじゃねえの?お前がやろうとしてることそういう事なんじゃねえのか。」
「何の話よ。」
「お前と俺は一心胴体みたいなもんだろ。」
と、憎たらしい顔がさきゅばすに近づく。
「あなたと一緒にしないで。」
「他人の血を飲むのも、ロボットが好きなのも俺と一緒。」
「私は私よ。あんたとは違う。」
「お前には俺があげた大量の血が流れてんだよ。この皮膚の下に。」
と、さきゅばすの腕を掴んだ。
「離しなさい変態!」
「やめて!」
と、ミシルは叫んだ。
「あのロボット可愛いね。何に使うつもり?」
「言うわけないでしょ。」
「きっと俺とお前の事。考えが似てるなら不死身ロボットを作ろうとしてんじゃねえかなって思うんだけど。」
さきゅばすの腕を掴むその彼女の力は徐々に強くなる。
「ふん。そんなもの作ろうとしてないわよ。いいから離しなさいよ。皆キョトンとしてるわ。」
橙の周りの生徒は何の話なのかと目をぱちくりさせていた。
「いいんだよ。嘘つかなくて。この学校は新たな研究施設の拠点にするんだからよ。」
「研究施設…?」
「お前もいるし、こんなに被験者も沢山。俺がこんなありえない男子の制服を着てるのも、既に偉い先生方に機械に代わってもらったからだ。何を聞かれようと、皆そのうち俺の野望の下に落ちる。」
「…。」
「このクラスの何人かもすでにそうかもしれないけどな。」
「何考えてるの?私そんなことしてだなんて言ってないわ!」
「!!」
さきゅばすとミシルと橙、そのほか全員がその声に振り向いた。
「橙。私そこまでしてだなんて言ってないじゃない!」
「宮桜?」
隣の桃子は突然の宮桜の大声にびっくりしていた。
「お前のちっちぇえ金よりも俺はこの学校をもっと有意義に活用できる方法を思いついたんだよ。」
橙はそう言うとニヤッと笑った。




