二十八話
「嘘でしょ。」
仮装が終わった後さきゅばすは落胆した。
「やったー!!」
きょうりんはガッツポーズをした。
なんと、投票の結果きょうりんとコロラドのペアが優勝したのだった。
「まあ、この子には勝てないか…。」
さきゅばすはその可愛すぎるコロラドを見てため息をついた。
「私よ!戦犯は!じゃあ約束通りミシルちゃんと1日デートね!」
きょうりんは其の短いスカートでぴょんぴょんとその場ではしゃいでいた。
「桃子さんすごかったわね。」
さきゅばすはわざとらしく話題をそらした。
「よくも滅茶苦茶にしてくれたわ。でも、あの騎士は悪くなかったわね。かっこよかったし!」
結局その後2人は衣装コンテストを荒らすだけ荒らした後姿を消した。
結局その騎士が桃子だったのかそうではなかったのか、分かりきってはいるが証拠はない。
「上手いわねえ。やる事が。」
さきゅばすは素直に感心している。
「明日はデート!ミシルちゃんとデート!!」
「デートしてもいいけど、ももちゃんも行かせるわね。」
「ちょっと、まさか私の腕を裂こうとでも思ってるのお姉さま!」
「手を触れるたびに指を一本ずつ切ってやるわ。それでもいいなら、どこにでも行けばいいわ。」
さきゅばすはにんまりと笑うと、きょうりんは何回も首を横に振った。
「さあ、着替えて帰りましょ。」
さきゅばすはそう言うと、更衣室に向かおうとした。
「ミシルちゃん。」
すると、一人なにかに気付いたさきゅばすは、ミシルだけにその方向を指さした。
すると、外の体育館裏に誰かが向うのが見えた。
「あれ、桃子さんじゃない?」
「そうかな…。」
「行ってきなよ。」
「え?でも…。」
「教室にいるから。」
さきゅばすはミシルの背中を押した。
ミシルはもう行くしか選択が無くなり、その体育館裏に一人で向かう。
「あれ?ミシルちゃんどうしたの?」
唐突な行動にきょうりんは当然の疑問を抱いた。
「桃子さんに会いに行ったのよ。」
「…一つ疑問なんですが。」
コロラドは、可愛いうさぎの耳を揺らして首を傾げた。
「どうしてさきゅばすはミシルちゃんが好きなのに桃子さんの所に行かせるの?」
「桃子さんの血を手に入れるためよ。」
「手に入れるって?」
「彼女の血をミシルちゃんに流すの。不死身って余程の外傷を受けなきゃ永遠に生きれるでしょ?その生きたまま彼女をミシルちゃんに入れる予定なの。」
「恐ろしいわお姉さま。私いくらなんでもずっと閉じ込められるのはさすがに怖い。」
「血はしゃべらなくていいのよ。ずっと元気な血を流してくれていれば。でも、それが難しいのよね。なかなかうまくいかなくて。」
「それって…悪い事なんじゃ…。」
コロラドは言いづらそうに彼女を上目で見た。
「悪い事じゃないわ。可能性よ。未来へのね。」
「コロラド。口答えしたらあなたが中に入れられるわ。」
きょうりんはマジの忠告をしてきた。
それに、コロラドはさきゅばすの残酷な部分をひしひしと感じていた。
「でも、それならこんな回りくどい事せず桃子さんを監禁してやればいいんじゃない?」
と、コロラドはまた当然の疑問を抱いた。
「そうね。でも、桃子さんがせめてミシルちゃんを好きでいれば、閉じ込められてもいい血を流してくれるんじゃないかって思ってるだけよ。血って、ストレスがかかると流れが悪くなるのよ。それに、監禁するほどそっちがうまくいってないの。」
「そうなんだ…。」
コロラドは何度も頷いていた。
「お姉さまって機械系がすごく得意なのよ。殺人熊を作ったりしてね。逆らうと死ぬわよ。」
「それでも私を好きって言うの?」
さきゅばすはコロラドに妖しく笑った。
「桃子さん?」
「わ!?」
その頃体育館裏
突然やってきたミシルに仮面を取った桃子は後ずさりした。
「なんだ…ミシルちゃんか。びっくりした。」
「やっぱり桃子さんだったんですね。」
「まさかこんな所見られちゃうなんて。」
「かっこよかったです。あの時の桃子さん。おとぎ話に出てくる本当の騎士みたいでした。」
「ありがとう。運営にお願いしたんだ。ラストのシークレットイベントの事を持ち込んだらOKしてくれてね。」
「宮桜さんもすごく嬉しそうに踊ってて私ほっとしました。ずっと暗かったから。」
「あれは演技だよ。ずっと計画してたんだ。この日までは出れなくて悲しんでる風にしようって。」
「そうだったんですね。」
桃子とミシルは楽しそうに笑う。
「でも、あの時少し動揺しちゃった。」
「あ…私が落下しちゃったやつですか?」
「ああ、それもあったけど、それよりももっと動揺したことがあってさ。」
「?」
ミシルは首を傾げた。
「…君がさきゅばすさんとキスしたとき、少しね。」
「え?」
「ううん。何言ってんだろう。こんな事君に言おうと思ってなかったんだけど。」
「…。」
「また明日。学校で会おうね。」
「はい。また明日。」
ミシルはそう言うとその体育館裏から小走りで立ち去った。
「…。」
桃子は一人神妙な面持ちで、そこに佇んでいた。




