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不死身ちゃんとユリ世界。  作者: 愛犬元気。
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二十四話






「ねえねえコロラド。今度この学校で仮装大会あるんだけど、私とペアを組んで!」


一年の教室。きょうりんはコロラドを誘っていた。



「そんなイベントがあるんだね。」


「そ!参加するだけで一万貰えるし、優勝賞金10万よ!」


「何をするの?」


「ダンスとか、衣装コンテストとか。」


「恥ずかしいな…。」


「私とコロラドなら天下取れるわよ!」


「そうかな。いつからなの?」


「一か月後。それまでに仕上げられるところまで仕上げるわよ。」


「いいよ。でも私ダンス苦手よ。」


「大丈夫。参加者増やすためにそこまで本格的にダンスしないから。レベルはマイムマイムくらいよ。メインは衣装コンテスト。どんなの着ようかな…。」


きょうりんはもう出る気満々で一人盛り上がっていた。



「ライバルは桃子さんとあのお姉さまコンビね。私に全員、跪(ひざまず)いてもらうんだから!」


「頑張りましょう。」


コロラドはニコッと笑った。


「そうだ。お姉さまに仕掛けてやろう。」


彼女はあくどい笑いを浮かべた。



この二人だけでなく、周りもその話題で持ちきりだ。



二年の教室も又その話題で皆ウキウキしている。



「ふふ。皆やる気ね。どんな仮装しようかしら。」



さきゅばすも腕を組んで考える。


「きょうりんと被らないようにしなきゃ。なんでも似ちゃうから。ミシルちゃんは可愛いのがいいわね。」


「私も?」


「当たり前じゃない。仮装だからテーマがないとね。みんなと被らないのがいいけど、それだと地味になりそう。」


「みんな出るのかな。」


「出るわよ。参加するだけで一万円よ。最悪コンテストには出なくてもいいわけだし。」


と、さきゅばすが話したその時



「桃子さん!!」


「桃子さん!!」


親衛隊と、その他クラスの女子達がわらわらとクラス前に集まっていた。



「ぜひ私とお願いします!」


「いや私と!」


「私!!」


「桃子さん!!」



教室の前と後ろが完全に塞がれる大人数でやってきた。


「ちょっと待ってみんな、私には」


「桃子さん!!」


1人の声に大勢が教室になだれ込んできた。



さきゅばすもミシルも他のこのクラスの生徒達も目を丸くする。



「せめてダンスだけでも!!」


「一万円を桃子さんに渡します!」


「桃子さんと踊りたい!」


「好きで好きでたまりません!!」


次々と女子達が桃子を包囲網にした。


隣の宮桜もその光景に怯えている。


「あなた達!桃子を困らせるのはやめて!桃子は私とペアを組むの!」


宮桜は震える口でそう話した。


「そういう事だからごめん。宮桜がいるから。」


桃子がその包囲網に言った。


「納得できない!!その子のどこがいいんですか!?」


「弱みでも握られてるんですか!?」


「あなた!桃子さんと全然釣り合ってないわ!」


「せめてその日くらい代わりなさいよ!!」


その滅茶苦茶な言い分に2人はさらに壁に背中をつける。


桃子は宮桜を守るようにぎゅっと肩を抱き寄せた。



「その子とペアを組むなら私たちにも考えがあります。」


「え?」


桃子は親衛隊のリーダーに問い詰められ、腑抜(ふぬ)けた返事をしてしまう。


「ただじゃ済みませんよ。」


彼女の怖い顔に圧倒されると、次の予鈴のチャイムが鳴った。




女子達は蜘蛛の子を散らしたようにいなくなり、2人は解放された。



「…。」


2人だけでなく、クラスはまだその緊張感の余韻で皆黙り込んでいた。




その余韻が完全になくなった授業後




「凄かったわね。ただじゃ済みません。だって。こっわー。」


さきゅばすは目を大きくして大げさに表情を作った。


「2人ともどうするのかな。」


ミシルも心配そうに窓側の2人を見る。


「あの様子だと出ないかもね。ま、最大のライバルが消えたから私はいいけど。」


「…。」


窓側の桃子さんは離れた廊下側から見ても沈んで見えた。


楽しく話していた顔は哀しそうにどこかを見ている。


「うふふ。あの顔の桃子さんもいいわね。いじめたくなっちゃう。」


「ダメだよ。さっきので凄く傷ついたと思う。」


「でもあんな憂(うれい)な表情もいいわよね。エロいわ。」


「えろい?」


「見たかったな桃子さんの仮装。」


「そうだね。」


ミシルは本当に残念そうに彼女の横顔を見つめる。


哀しそうなのに美しくかっこいいその横顔に釘付けになる。


その余計な彼女の良さがどうも違う見方にさせてしまう。


「エロいでしょ?」


さきゅばすもそのミシルの見方に気付いたようだ。


「えろいってなに?」


「ミシルちゃんが今見たまんまのいけない欲。」


「…。」


「ふふ。いやらしいこと考えちゃダメよ。」


さきゅばすはまたおちょくる様に笑った。





「今日から学校もダンスの練習に体育館を開けてくれるの。」


放課後、さきゅばすは体育館にミシルを連れて行く。


すると、そこにはすでに何人かダンスを練習をしていた。


「同じ曲をペアで踊るのよ。まあ本格的なのはやらないし、どっかの古い民謡を踊るのよ。フォークダンスってやつ。」


さきゅばすとミシルは無限ループに流れる民謡に周りと同じように踊り始めた。


「ふふ。一回練習すればすぐ覚えられるわね。」


さきゅばすもミシルも踊り慣れた頃



「お姉さまーー!!!」


2人の存在に気づいたきょうりんが2人の元へ走ってきた。


「あら、いたの?」


「いましたわ!私も出るのよ!コロラドちゃんと!」


「うーん。ダークホースね。」


さきゅばすはその金髪と青目に脅威を感じた。


「でしょ?コロラドには昔の話にあるおとぎの国のアリスの仮装させようと思って。絶対優勝するわ!」


「あんたは慌てん坊のうさぎ?」


「違う!私も可愛いのやるもん!」


と、頬を膨らませた。


「ミシルちゃんはなにやるの?」


きょうりんは興味津々に彼女にも聞いてきた。


「私は…。」


「バニーガールとか可愛いんじゃない?」


「そんなもんやらないわよ。」


さきゅばすはきょうりんの提案を即拒否した。



「じゃあ、ミニスカナース。」


「無いわ。」


「じゃあミニスカポリス!」


「あんたどんだけミシルちゃんを性的に見てんのよ。」


「普段ないギャップが可愛いいんじゃない!けど否定はしないけどね。」


「あんたもギャップで普段何かと違うものやれば?名画のモナリザとかさ。眉毛も剃って黒髪にしたらいいわ。」


「嫌よ!お姉さまには絶対負けないから!もし私が勝ったらミシルちゃんと1日デートさせて!」



「私が勝ったら?」



「コロラドを1日どうにでもしていいわ。」


「え?」


隣にいたコロラドは急に売られてびっくりしていた。


「ふん。まあいいわよ。絶対負けないから。」


きょうりんとさきゅばすの間に火花が散った。

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