十三話
「ねえアネルちゃん。私に協力してほしいの。」
ミシルのクマが引き裂かれる中、さきゅばすはアネルの腕を引っ張ると顔を近づけた。
「な、なんですか?」
「嬉しいでしょ?不死身になれたら。」
「それは…。嬉しいですけど。」
「そうよね。私に何もかも捧げたいのよね。」
「?」
「来て。」
さきゅばすはアネルの腕を引っ張って化粧室に連れて行った。
「…あれ?」
その頃、悲しみに暮れながら教室に戻ってきたミシルは、誰一人教室にいないことに驚いた。
桃子も、さきゅばすもアネルもいない。
あの宮桜もいない。
ミシルは一人席に戻ってやりきれない悲しさに打ちひしがれていた。
「連れてきたよ。きょうりん。」
さきゅばすはあの屋上できょうりんと密会を交わしていた。
「私もつれてきた。」
と、きょうりんの隣には一人のショートカットの女の子がいた。
彼女は何も聞いてないよと言う風に目をぱちくりさせていた。
「きょうりん。これは一体何?」
その彼女はそう首を傾げた。
「考えたの。いろいろ。それで、一つの案が浮かんだの。」
さきゅばすはそう勿体ぶってきょうりんに言った。
「何々?お姉さま。」
きょうりんはワクワクしながらさきゅばすの顔を見る。
「わざわざ血を取ってこのバケツから流すのって面倒じゃない?昔人類が飲んでいたビールみたいに、新鮮でおいしいのを飲むにはどうすればいいかって言ったら、そのまま中身を突っ込むことだと思ったの。」
「??」
バケツ扱いされたその子は戸惑いの表情を見せるばかりだった。
さきゅばすは眼の光がないアネルの耳の裏を押すと、アネルの眼が光った。
そして赤外線のような光を出すと、そのショートカットの子に狙いを定めた。
「な、なに?」
「アネルちゃん。あの不死身を食べてしまいなさい。」
さきゅばすはそう命令すると、アネルは素早く動き、そのショートカットの彼女の腰を掴んだ。
そして、アネルの首元が開くと、そのまま彼女を足から中に入れた。
「きゃあ!!?」
電気の走る音とともに、彼女は気絶した。
すると、アネルは首元をもとの位置の戻すと、石像のように動かない。
「こうやって飲むの。」
さきゅばすはアネルの人差し指を咥えた。
「どう?美味しいでしょ?私の友達の血。」
「まあまあね。」
と、さきゅばすが味見をしたその時だった。
ガタ…ガタガタガタガタ…
「!?」
「きゃ!?」
アネルがいきなり振動し始めた。
それも暴れる洗濯機のように徐々に動きを激しくしていく。
さきゅばすときょうりんが離れ、火花と電流が走ったその時。
バン!!!!!!
ガスボンベが爆発したような音がしたかと思うと、真っ赤な血とアネルの破片がそこいらに散らばった。
「あーあ。失敗。」
さきゅばすはその状況にため息をついた。
「あー!私の友達無駄遣いしないでよ!」
きょうりんはさすがにこの有様に怒っていた。
「私に捧げるって言ったじゃない。」
「でも、これは無いわ。」
「まだ助かるかもよ。あんたの血を飲ませれば。」
「そこまでじゃないもん。勿体ない。この血。」
きょうりんは自分の足元まで流れてくる血を見てそう呟いた。
「アネルちゃん壊れちゃった。」
と、さきゅばすはその煙の立つ現場に落ちた彼女の破片を拾う。
「あの子可愛かったのに。勿体ない。」
「そうね。せっかく改造してお金をかけて治してあげたのに。どうしましょう。」
さきゅばすは人差し指を顎の下に当てて考え込む。
「あ!!そうだ。」
「どうしたの?」
「どうせならミシルちゃんを喜ばせてあげよう。」
と、さきゅばすはまた違うひらめきをしたかと思うと、またいつものニヤニヤ顔に戻った。




