表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/67

第十八話 【事情を知る者】

第十八話


「な~るほどねぇ~ん、そういう事だったのぅ~……」

「奇怪な幻が、まさかご主人様を狙っていたとは…………!!」

 経緯を聞いた漢女二人は、その顔を曇らせた。

「はい……。僕たちは北郷一刀さんと、そのご家族を守るために、この世界にやってきたんです!」

「だったら、ワタシ達と同じ存在ってワケなのね~?」

「ええ、それに近い存在と考えて頂いて構いません。それで、お二人には何か心当たりは無いのか、と思いまして……」

「うーむ、生憎だが儂らにも、その正体が掴めんのだ。漢女の力をもってしても、な」

「そう、ですか…………」

 新たな情報を手に入れることが出来ず、スーツの男は悔しそうな表情になる。

「そ~んな顔しないのぅ、良い男が台無しじゃないのよぅ」

「いや、良い男だなんて……」

「謙遜する事は無いっ!! 漢女が太鼓判を押すのだから胸を張るべきである!!」

 と、言ってる本人が、我先にと逞しい胸を張って、豪快に笑っている。

「ハハッ、じゃあ自信を持ってみましょうかね…………で、お願いがあるのですが」

「皆まで言うな!! 奇怪な集団の事は儂らに任せておけ!!」

「し、調べて頂けるんですか!?」

「良い男の頼みは断らないし、ご主人様の為ですものぅ! ここで引き受けなかったら、漢女の恥よぅ!!」

 親指を立てて、ニカッと笑って見せた白い歯は、褐色の肌も相まって、やけに輝いて見えた。

「あ、ありがとうございます!!」

「ガハハハハハッ! 良い笑顔じゃわい! それでこそ、お主らしいと言うものだ!!」

 そんな心強い漢女を前に、男はふと思い口を開く。

「……もしかして、既に分かってたりします?」

 おそるおそる尋ねてみた男に、漢女二人は不敵な笑みを浮かべる。

「漢女の勘を甘く見てもらっちゃ困るのよぅ! アナタと、あの眼鏡のボウヤ、恐らくは…………」

「…………皆さんには、秘密にしておいて貰えますか? バレると後々面倒なんで……」

 男は申し訳無さそうに頭を下げる。

「分かってるわよぅん! 男と漢女のヤ・ク・ソ・クね♪ でも、妬けちゃうわねぇ~ん…………」

「貂蝉よ、嫉妬している時間は無いぞ! 一刻も早くアヤツらの正体を突き止めねば!!」

「あら、そうねん! じゃあ、名残惜しいけど、ご主人様と、ご家族の皆さんと、あと他の皆にも宜しく言っておいてねぇん!」

「ええ、了解いたしました」

「では、ひとっ飛びするぞ!」


 -ビューーーーーン!!-


「………………本当に飛ぶんですか」

 数秒と経たずに小さくなる漢女二人姿と、その飛行機雲(?)の平行線を眺めながら、二人らしいなぁと苦笑する。



「ただいま戻りましたぁ…………?」

「判断は皆様に任せますので……。ああ、御苦労様……」

 漢女二人との交渉を終えて、大広間へと戻ってきた男は、入った瞬間に違和感を覚えた。

 自分が現れた際の、皆から向けられる視線が、何かを怪しむような感じにとれたのだ。


「す、すいません、主任。これは一体……」

 上司の所に駆け寄り、皆に背を向けた後、囁き声で質問した。

「お前が二人と話してる間に、私は計画の詳細や項目を説明していたんだ……」

 同じように囁き声で、質問に応えた。

「いや、それは何となく分かったんですけど、今僕が入ってきた時に、何で皆から変な顔されたのかなーって……」

「ああ……あの二人を大人しくさせたから、多分そんな嗜好の持ち主だと思われているんだろうな」

 軽くあざけ笑うような上司の溜め息に、男の顔の筋肉が微かに痙攣する。

「……ええと、“そんな嗜好”というのは、つまり…………」

「そういうことだ。恐らくこの会話も、“そういうこと”だと思われているだろうな」

「………………」

 肩越しに皆の顔を確認すると、どこか余所余所しい態度をしている。

「もし、そうだとしたら……どうなります?」

「約二名、興奮する人間がいる」

「冷静にそんな冗談言われても嬉しくないです!!」


 その後、皆の誤解を解くために、泣きながら何度も土下座をしているスーツ姿の男がいた。

 皆は一応納得したようであるが、先の約二名は残念そうな顔になっていた。


「…………ハア、疲れた」

「少しは私の気持ちが分かったか?」

「はい、文字通り“身をもって”……」 

「なら、ほら。後はお前が説明しろ」

 そう言って、手に持っていた紙の束を手渡した。

「ハーイ……えー、私達の指示は絶対ではないので……」

「それはもう説明した。一番最後の項目だ」

「は? 最後、最後…………ってこれ……」

「私は苦手な類だ。おまえが言ってくれ」

 突き放すように一歩下がったヤナギに、アキラは呆れ顔で皆に向き直る。



「まったく、相変わらず潔癖なんすから…………えー、この件が解決するまでですね、北郷一刀さんとの夜の相手はなるべく控えて下さい…………」


 一刀の家族がやってきた時よりも、遙かに大きい衝撃が女性達に襲いかかってきた。






-続く-

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ