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13:『何が気にくわないかと言いますと、あいつと同罪だという事です』

「ぜぇ…ぜぇ……」


 ど、どうも……石上…直也です………

 現在、敵と交戦中であります。手強いであります。


 まあ、なにやっているのかと言うと……絢香から逃げてます。現在放課後。

 水原さんから助言を貰った昼休みの後、僕は絢香にこう宣言したんです。


「絶対にお前には負けない!」


 すると奴は僕にこう言いました。


「じゃあ勝負しよっか♪」


 絢香曰く、放課後にちょっとした追いかけっこをして僕が勝てばもう付きまとわない、負ければ復縁。

 故に今、僕は精一杯絢香から逃げている最中です。


「あれ、直也。どうしたの?」


「友里?!」


 おう、地獄に仏! 放課後に友里ちゃん!!

 (マイ)スイートエンジェルが舞い降りた! いや、僕の前を通りかかってくれました!!


「友里〜、帰ろぉ?」


「うん、別にいいよ」


「マジで?!」


 やった! やったぁぁぁ!!


「でもその前に」


 友里は僕の腕をガシッと掴みました。

 あれ?


「ゆ、友里? どうしたの?」


「フフフッ……」


 友里は自身の顔に手をかけると、まるで皮を剥ぐようにビリビリと破きました。ヒャアァァァ!!

 そして、友里が顔の皮を剥いだ瞬間、中から全く別の顔が出てきました。


「これで私、また直也くんの彼女だね!」


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 絢香だった………。





◇◇◇◇◇



「ハッ!?」


 物陰に隠れ中、どうやら寝ていたらしい。

 なんて悪夢を見てしまったんだ……。


「やべぇよ…ホラーだよ……」


 絢香を振り切り、物陰に隠れて制限時間が過ぎるまで暇を持て余していたが、どうやら色々あった疲れで悪夢を見てしまった。


「ブルブル……クソッ、友里がデレてくれたと思ったのに!」


 そう悪態を吐いていると、足音が聞こえてきた。

 一体誰だ?


「直〜也〜く〜ん」


 奴だ!!

 くっ、アイツが去るまで息を潜めているか。

 因みに、ここは食堂で、僕が隠れているのは自販機の裏。

 まず、バレないだろう。


「ん〜、見つかんないなぁ」


 そうだろうそうだろう。さっさと退散しやがれ。


「ねぇ、皆。どこに隠れてると思う?」


 ………え?

 み、皆……?


「はい、絢香様! 放課後に残っている生徒達の目撃情報を総合しますと!」


「この食堂のどこかに必ず潜んでますッス!」


「そしてこの食堂で身を潜められる場所はただ一つ!」


「自販機の裏なりぃ!!」


 そ、そんなのありかぁぁぁぁ?!

 助っ人使うなんて反則だろ?!

 くそっ、絢香の奴…僅か一日で自分の手駒を作りやがった!!

 くっ、どうする?

 今から移動するか?

 いや、下手に移動すれば人数的にバレたら終わる。

 ここは、耐え忍ぶしか……!!


「ふーん、自販機の裏……じゃあ、皆で片っ端から調べようか♪」


『イエッサー!!』


 えぇぇぇぇ?!

 即バレやん!


 い、いや……これはある意味チャンスか?

 今なら敵も拡散してる……逃げれるかもしれない!!


「僕は必ず自由を手にする!!」


 自販機から飛び出した僕を、絢香の手駒達がロックオンした。


『待てぇぇぇ! 石上直也!!』


「誰が待つか!」


 クククッ、僕の目論見通り、奴らは反応を一秒遅れていて、しかも互いに拡散している。

 息が乱れた時点で僕の勝ちさ!


「Bチーム! 石上直也を捕らえろ!!」


 び、Bチームだと?!


 食堂の出入り口に大量に出現した男子校生が、まるで通せん棒のように僕の前に立ちはだかる。


 人生、そんなに甘くないか……

 だが、諦めない。諦めたくない。

 僕はこの試練を乗り越え、観察脇役ライフに戻るのだから!!


「お前ら、よぉぉぉく聞けぇ!」


 一か八か、彼らの心に賭けるしかない。

 僕の言葉に、Bチームの皆さんは怪訝そうな表情を浮かべる。

 さあ、石上直也の一世一代の名演説を聞きやがれぃ!


「いいか、お前ら! ここで僕を捕らえれば、僕は絢香と復縁してしまう……だが、それをお前らは許せるのか?!」


『ッ?!』


「お前ら、絢香の事が好きなんでしょう?! 男として!!」


『ぐっ……』


「だったら……男なら、お前らが今やることは僕を捕らえる事ではなく、絢香を振り向かせる努力を…アピールをするべきなんじゃないですか?!」


『うぐっ……』


「それができないようでは、絢香は一生貴方達を見てくれない! いつまでも絢香の影に隠れたまま……絢香の取り巻きという肩書きしか手に入らない!!」


『!!』


「お前らの中に男の心が少しでも残っているなら……絢香の彼氏っていう肩書きを手に入れてみやがれ!!」


『い、石上直也!』


「俺の声が届いたのなら、そこをどけぇぇぇぇ!!」


『い、イエッサー!!』


 よし、道が開けた!

 Bチームの皆さんは綺麗に左右に分かれて整列し、目には涙を浮かべていた。

 お前ら……男だぜ!


「健闘を祈ってるぜ、Bチーム!」


『おう!』


 僕はひたすら前に向かって走った。




「ちょ、ちょっと! なんで直也くんを逃がしたの!?」


 石上直也の逃亡後、Bチームは神崎絢香に責められていた。

 Bチームを代表した一人の男子生徒が、絢香の前に立ちはだかる。


「神崎さん、石上が言った通り、俺たちも男だ。惚れた女の付属品より、対等な立場になりてぇ。ここには、少しでも神崎さんに近づきたい奴らだけが集まってるんです。本当は告白なんて勇気無かったけど、今なら言える。石上がその勇気をくれたんです!」


「ふーん」


 神崎絢香は心底興味なさそうだった。


「だから、俺たちの想いを聞いてほしい」


 Bチームだけでなく、他のファンクラブの生徒達も、綺麗に直角のお辞儀をし、一斉に言った。


『神崎さん、好きです! 俺たちの内の誰かと付き合ってください!!』


 神崎絢香は笑顔を浮かべ、言った。


「無理」


 そして、石上直也を追いかけるべく、走り去った。

 その途中、振り向きながらさらに言う。


「貴方達、もういらないから」



 Bチームを代表した男子生徒、並びに全員は涙を流していた。


「石上直也……俺は、あんたについていくぜ…」


 その言葉に、全員頷いた。



◇◇◇◇◇



 さて、現在屋上。

 ファンクラブの連中が絢香によって玉砕くらったおかげで、随分な時間稼ぎになった。

 絢香はその性質上、モブ嫌いだ。

 いつだって奴が興味を示すのは攻略キャラのみ。

 故に、ファンクラブの連中が玉砕するのは予想できた。

 そう。絢香はモブ嫌い。

 でも……だからこそ、理解できない。

 なぜ絢香が、そこまで僕に執着するのか。

 なぜ、復縁しようなどと戯れ言を言うのか。

 狙いがあるとすれば、兄貴か……。

 中学の時と同じで、僕を利用して兄貴と親しくなる算段か?

 いや、でも……何か違和感がある…何か……


――ガチャ


 来た。


「よくここが分かったな、絢香」


「直也くんの事は……全部お見通し」


「そうか、じゃあ……そろそろ決着着けようか」


 僕は振り向き、絢香の方を見る。



「ちょーっと待った」


 ……え?


 屋上の物陰から、水原さんが出てきた。


「み、水原さん?」


「やっほー。いやぁ、いい新聞のネタの提供ありがとうね、二人とも! でも、ちょっとやりすぎかな?」


『?』


 僕と絢香は、二人して首を傾げた。

 水原さんは、屋上に取り付けられたスピーカーを親指で指差す。


―ピンポンパンポーン―


〈二年の石上直也と、神崎絢香……至急、生徒指導室に来なさい、絶対によ! 逃げたら承知しないんだから!!〉


―ピンポンパンポーン―


「風紀委員長の日比谷さん、お怒りみたいだよ?」


 ……そうですよね、放課後にあれだけ騒げば、そりゃあ怒られますよね。

 ということで、僕と絢香は二人一緒に日比谷さんに怒られ、結局勝負の結果はうやむやになるのだった。


「まったく、朝のことと言い、放課後も!!」


「はい、すみません……」


「………」


 生徒指導室にて、正座中。これ、体罰だね。

 潔く謝罪する僕と、ふて腐っている絢香。

 そんな絢香の姿を見て、さらに日比谷さんの怒りが爆発。


「貴女、全然反省してないわね!!」


「ぶぅ〜」


「罰として正座、二人とも三十分追加!」


「えぇ?! 僕も?!」


「当たり前でしょう、こういうのは連帯責任よ!!」


 ぐあぁぁ! 絢香の疫病神めぇぇぇ!!

 そんな感じで、絢香の転入は、初日からフルスロットルだった。

絢香編は、まだ続きます。

絢香編終了後は、本来の脇役による主役の観察に戻りますので、もうしばらくの辛抱でお願いします(土下座)

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