11:『穏やかな日常にさよならされました』
「直也。なんか元気ないな?」
朝の登校前・リビングにて、兄貴が僕に尋ねてきました。
どうも、石上直也です。
「今日の僕……そんなに元気ない?」
「ああ」
そうか…それはよっぽどだなぁ……
鈍感主人公の兄貴ですら気づけちゃうって事でしょう?
それだけ、今日がいかに鬱日であるのか……理解していただきたい。
あとこの前、作者の友人が作者に「直也、ときたまに主語が“俺”になってるよ」と言っていたんですが、仕様です。
感情高まると、僕から俺になるんです。
因みに今はテンション最底辺なんで僕です。
どうてもいいですね、すみません……。
「はあ……」
「おい、本当に大丈夫か? つらい事あったらちゃんと言えよ?」
兄貴……今はその主人公の優しさが逆につらいッス。
「別に大丈夫だよ、兄貴。あいつが来るわけでもな―――」
――ピンポーン
インターホンが鳴った。
「こんな時間に誰だ?」
「………兄貴、僕が出るよ」
「あ、ああ……」
僕はインターホン用の受話器を取る。
「はい、どちらs――」
〈やっほー、直也くん! 迎えに――〉
「人違いです」
――ガチャン
受話器を置き、深呼吸を一回。
なんか幻聴が聞こえたな?
まあ、気にしないでいいかな。
――ピンポーン
………………。
「はい、どちらさまでしょうか?」
〈もうひどいよ! いきなり切るなんて!!〉
「お掛けになった電話は、現在電波の届かないところにあるか、電源を切っている可能性があります。だから帰れ、失せろ」
〈これインターホンだよ? 電話じゃないよ?〉
「これはインターホンではありません。インター“フォン”です」
〈インターフォン?!〉
ああ、その反応もウザイ……なんかこいつの反応は全てウザイ……ウザァァァァイ!!
「絢香……もう帰れ…」
〈一緒に行こ〜♪〉
「帰って下さい」
「一緒に学校行きたいなぁ〜♪」
――ガチャ
玄関の扉が、開いた。
「うおっ?!」
「直也くーん!」
なんと、絢香が我が家に侵入してきた!
ぎゃー!!
しかもなんか抱きついてこようと飛んできたぁ!!
「抱きつかれてたまるかぁぁぁぁぁ!!」
「ふぇっ!?」
それは、ギリギリの戦いだった。
上体を極限にまで反らしたそれによって、絢香からの抱擁の回避はできた……が、勢いありすぎて後頭部が床に激突した。
「ぐほふっ!」
「にゃー!!」
絢香は絢香で、そのまま壁と激突したようだ。
朝っぱらから、何をやってるのだろうか……。
「ふぁ〜あ……お兄ちゃん、直也、おはよう………ってなにこれ!?」
あ、友里ちゃんの声が聞こえる………。
◇◇◇◇◇
「で。今更何しに来たわけ、神崎絢香?」
「もう、そんなに警戒しないでよ、友里ちゃん?」
「何が、目的なの?」
「むぅ、すっかり嫌われちゃったなぁ」
友里は絢香に敵対心を剥き出しで対応している。
ま、妥当な反応だろう。
「まあまあ友里、神崎さんにも事情があるんだ。そう意地悪するなよ……」
「フンッ!」
兄貴は絢香にまで優しいなぁ。
流石主人公、寛大ですねぇ。
「私は、ただ直也くんと一緒に登校しようかなって思っただけだもーん」
だもーん、ウゼェ……。
「……ホントに?」
友里が恐る恐る、相手の出方を伺うような問いをする。
「勿の論!!」
「お兄ちゃんとじゃなくて、直也と?」
「うん!」
「ふーん……」
友里ちゃん、そんな奴そのまま追い出しちゃって!
「ま、直也とならいいわよ。清々するし」
そうそう、清々する―――ってえぇ?!
そりゃあ無いよ、友里ちゃん!!
「やめてくれよ、友里! こんな奴との登校を許可しないでくれ!!」
「いや、でも……って顔近いんだけど!」
「せめてキスさせて下さい!!」
「死ねぇっ!」
「ぐはっ!!」
顎に重たい一発を喰らい、地面に倒れる。
「友里ちゅわ〜ん……見捨てないでおくれ…あとパンツ見せて」
「黙れ愚兄」
「あ、ごめん……パンティーの間違いだったね」
「死んでろ」
「はい……」
結局、僕の抵抗虚しく、絢香と登校することになりました。
泣きてぇ……
次回は、直也が色んな人に絡まれます




