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異世界焼肉道  作者: グッチ
5.自分の焼肉を夢見てはいけない。作るのだ
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5-1.カビの発見

「よーし、じゃぁここからここまでぜーんぶ草を切ってください!」

「わかりました!ご主人様!」

 マンガよろしく、ウーミタンにそう命じ名が敬礼をする。

 ビシッ!っと敬礼を敬礼で返してくるウーミタン。

 そのまま走って行ってしまった。

 なんだか、従兄の子供を思い出すなぁ。

 そういえば、チビ達はどうしてるだろうか?

 あの子らと焼肉バイキングに行ったことも懐かしい話だ。

「ご主人様、向こうは終わりました」

 エースが報告にやってくる。

 エースには台所の残りの片づけをお願いしていたのだが、思ったより早く終わったようだ。

 まぁ、そんなに料理道具は多くないしな、シンクも石製だったし、そう大変な掃除でもなかっただろう。

 それにしても……。

 ちょっとだけ目線が下がる。

 昨日の夜、あんなことがあったせいか、ちょっとだけ気まずい。

 なるべく意識しないようにしないとな。












 昨晩。


「夢のマイホーム!」


 俺は自分の部屋で歓喜していた。

 だから少しだけ、油断していたのかもしれない。

 ひとしきりベッドを堪能すると、俺の意識はあっという間に眠りに落ちて行った。


 身体の違和感に目を覚ますと目の前には一人の女性。

 エースだ。

 うん。

 なんでだ?

「起きてしまわれたのですか?そのまま私にお任せください」

 俺の耳元でエースが囁く。

 心地の良い声に再び眠気がやってくる。

 エースが身体をまさぐる。

 なんだか寝起きのせいか頭がボーっとして正確な判断ができないが。

 この状況はどういう事だろう?

「んっ」

 エースの唇が俺の首元に触れる。

 いや唇が触れるというよりは、なめとるような妖艶さ。

 いやいやいや!さすがにおかしい!

「ちょ、ストップ!エース!なにをしているんだ!?」

 俺はエースの肩を掴んで引き離す。

「きゃっ」

「あ、すまん」

 って、なんかいつの間にか半裸にされてるし!

 ちょ、流石にこんなにされるまで寝こけていたのはちょっと俺自身が心配になるぞ。

「なんでこんなことを……」

「……どうぞこの身に、ご主人様のご寵愛を頂きとうございます」

 いや、そういう事じゃないんだが。

 聞けばエースの国では女性の奴隷はそういう事をさせられることが多かったらしい。

 男性至上主義、という訳ではないが軍事国と言うだけあって、他国よりも男性は戦争に行かれる事が多く、戦場に行く際は統率や風紀を保つためにそういった奴隷女性たちを連れて行くため、需要が高いらしい。

 元領主だった彼女の旦那の連帯罪で奴隷になった彼女は、その境遇に同情した領民たちに支えられて別の国であるフィルフィリア王国で奴隷としてやってきたそうだ。

 そこまでするなら奴隷にならないように逃げればいいのに、と思ったのだが流石に領民たちはその土地を離れられなかったらしい。

 領民の大勢で少しずつ集めた金でたまたま通りかかった商人の協力もあり、比較的奴隷の扱いの良いフィルフィリア王国にやって来たらしい。

 そんなこんなで、女性奴隷は夜伽をするという頭があり、俺のベッドに侵入してきたらしい。

「ウーミタンにそのようなことをさせるわけにはいきませんから」

「いやまぁ、その気持ちはわからんでもないが」

「世の中には幼子を好む男性もいらっしゃいますから。ご主人様がそのような方ではないとは思いますが」

 いや、うーん。

 少なくとも俺はそんな趣味はないのだが。

 だが、なんとなく彼女の考えていることはわかった。

 要は俺が手を出さないという確約が欲しいのだろう。

 しかし、過保護と言うかなんというか。

 まぁ、まだ8歳くらいだしな。

「なぁ、少し過保護過ぎじゃないか?子供ってもう少し放っておいた方が子供らしく育つんじゃないか?」

「……それは」

「まぁ、話したくないならそれでもいいけど」

 エースは一瞬、逡巡するようなそぶりを見せたが、そのまま話し始めた。

「あの子は……、わたしの実子ではありません」


 ……は?


「彼女は夫の第一夫人の子で。私は第二夫人でした。ウーミタンの実母はウーミタンを出産後すぐ他界してしまいまして、私が代わりを。第一夫人には非常にお世話になりましたので、あの子だけは何としても私が守らなければ、と」

 あー、そういう。

 うわ、すっごい気まずい。

 奴隷の時点で察してはいたが、複雑な過去ってやつだ。

 絶対、頑として譲らないぞ、この人。

 こういう信念というか、覚悟を持っているタイプの人は否定や拒絶は逆効果、だよな。と、なると。

「えっと、エース、改めて言っておくけど、俺は家事とか家の管理で君たちを雇ったつもりだから、そう言うのはとりあえずしなくていいから」

「しかし、私は……」

「まぁ、待ってくれ。エースの考えはわかった。俺はその覚悟を否定する気はない。だけど、それを無条件で受ける気もないぞ。とりあえず、君たちを買った金貨5枚分は当初の目的通り身体で……、肉体労働で返してもらう」

 相手の考えは否定しない。相手の話に乗りつつも、こちらからも条件を提示する。

 今回の条件では一応の筋も通っているはずだ。

 彼女達を買った金額分は当初の予定通り家の家事を取り仕切ることで返してもらう。給金は1日銀貨1枚。計算上は500日で完済できる。ただ、奴隷は私財を持つことができないから、これらをどう扱うかは彼女たち次第。

 この町での平均の給金は銀貨5枚程度らしいから給金としては少ないかもしれないが、衣食住が保証される為、貯金としては十分だろう。

 500日貯め続けて奴隷解放を願うもよし、私財に消費するもよし。その後も働き続けるも彼女達の自由だ。

 その金が貯まるまでこちらは手を出さないと誓う。

 どうしてもの時は金で買う。そういう契約にした。

 これで留飲を下げてくれるといいのだが。

「そのようなこちらに好条件で良いのですか?」

 むしろこれで勘弁してもらいたい。

 これ以上この話はなし。それで突き通した。








 というやり取りが昨晩あったのだ。

 こういう話って一度してしまうと不思議と意識してしまうもので。

 目線が胸に向いてしまうのは内緒だ。

「ご主人様!全部終わりました!」

 おや?考え事している間にウーミタンが草取りを終わらせてしまっていたようだ。

「ご苦労さま。お水貰っておいで」

「はい!わかりました!」

 ウーミタンが元気よく駆けてエースのところに行った。


 うーむ。


 ウーミタンが作った雑草の山は相当な量だな。

 メヒシバ、オヒシバ、スギナにタンポポ、クローバー。

 雑草は異世界でも同じようなものなんだな。

 まぁ、生薬の世界ではこいつらも立派な薬草なんだけど、庭に生える分にはやっぱり雑草だよな。


 うん?

 なんだこれ?

 雑草の山の中、ひときわ目立つ草があった。

 見た目はシクラメンみたいなかんじ。太い茎に小さな実がついている。

 鑑定眼によるとモアジベリーというらしい。

 ベリーなのか。

 説明欄には普通に雑草って書いてあったのでやっぱり雑草なのだろう。

 なんかカビを生育しているとか書いているからこの実でカビを育成するのだろうか?

 そういえば優斗が麹菌は何百年もかけて日本人が安全と栄養を供給することで菌を家畜化したものだ、と言っていた。

 ふむ。

 試してみるか。

 せっかく適切なスキルもあるしな。

 だけど大量に穀物が必要なのと、スキルがあるとしてもやっぱり時間がネックだよな。

 流れを早くしたとしても適切に炊いた餌をやらないといけない。

 それを何百年分しないといけないわけだ。


 気の長くなる話だよ、全く。

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