4-15.リュウ特製ルーローハン
10/17 インベントリを空間収納にルビ付きに変更。
なるべく表記揺れを見つけていこうとは思っていますが、他のスキルに関してもどちらでも同じ意味です。
リュウの現在の表示されるスキル
絶対王道:ロードオブキング
空間収納:インベントリ
貯蔵空間:タイムズシフト
超時間:クロノスタイム
食を力に:パワーオブパワー
鑑定眼:かんていがん
そうと決まれば、ともかく飯だ。
せっかく立派な東屋もある。キャンプ気分って言うのも乙なものだ。
「ランプ、悪いけど火を使いたいから火の魔法使える?」
「はい。かしこまりました」
キッチン内の竈に並べた薪に向かってランプが短い杖を取り出した。
「汝ゲブラー。我らに小さき火の温もりを。小さき火球<ライトファイアボール>」
そういうと薪に火が付いた。
詠唱が短かったし、恐らく携帯魔法といった種類の魔法だろう。
聞いた話だと、使い手は詠唱を短縮できるらしいし。
さて、と。
何を作ろうか。
今どんな材料があるかちょっと確認。
っと、その前に。
「エースさん、鍋に水入れて来て。ちょっと悪いけど二つ分、お願い」
「はい。かしこまりました」
「あぁ、私も行きましょう」
なににはなくとも水は必要だ。
今あるのはオリーヴィアの里で仕入れた粟や稗。そば。芋。
それにオークの肉が結構な量ある。
ウサギやシカの物よりこちらの方を使っておきたいな。
あ、そういえばベーコンみたいなのもあったっけ。
市場で仕入れた八角っぽい香りのする香辛料と生姜などの基本的な香辛料。
粥用の大麦。
後は山菜の塩漬け、要は浅漬けだが。
それに魚醤が三種類。
ルーヴと呼ばれる砂糖大根。
ワインビネガーにメセグリン酒。
ワインも少量ならあるか。
ポメロ・ロワイヤルも結構な数あるな。
生野菜もそれなりに買っておいたからサラダを作るのもいいが。
ポテトサラダってのもなぁ。
アレは胡椒とマヨネーズあってこそ。
それに皿も少ないからな。
さて、どうしたものか。
俺としてはぼちぼち飯が食いたい。
……そうか。
アレを作ってみるか。
近い味のするものはあるし、それなりの味にはなるだろう。
幸い、エルフ達から仕入れた稗と粟は脱穀、精白してあるっぽいし。
あ、しまった。精白した時の糠も買い取っておくべきだったか。
「お水をお持ちしました」
「あぁ、ありがとう。そこに置いておいて」
ちょうど二人が鍋に入った水を持ってきてくれた。
よし。取り掛かるか。
まず何はともかくこの雑穀たちを炊かなくては。
新しい鍋を取り出して粟、稗、大麦を大体1:1:2の分量で混ぜて水に浸けておく。雑穀だけで炊いたことはないが、とりあえず、米を炊くときより少し多いぐらいにしておこう。雑穀って硬いイメージがあるし。
うーん。吸水の時間ってどれくらいだろうか?
いくら雑穀とはいえ一日ってことはないよな?
いつもは白米か使っても粉状で使ってたからなぁ。
よし!決めた。
『貯蔵空間』に15度程度の温度で半日程度浸水させよう。
米がないので仕方ないが、大麦の分量が多いのでちょっと硬いぼそぼそとした食感になる可能性がある。
米や雑穀は吸水の飽和点、要はこれ以上水が吸えない地点があるので必要以上にべちゃべちゃになることはないはずだ。
俺はこっそりと貯蔵空間の中に浸水させた雑穀を置く。
温度設定は15度前後、湿度はそこそこ、暗所に設定する。
時間経過は2000倍くらいでいいか。
これで大体22秒経てば半日浸けた状態になるだろう。
このスキルの良いところは結果が出るまでの時間を短縮できるところだな。
はじめは時間が完全に停止する空間収納があるのに、なぜ似たようなスキルがあるのかと思ったが、時間が調整できるこのスキルはいろいろと有用だな。
今後試す機会も増えるだろう。
後は具材側の準備だな。
オークの腹の肉は細かく角切りに、山菜の浅漬けは水分を絞って5cmくらいに切っておく。
っとそうだ。オリーヴィアからの帰りに作ったゆで卵があったな。
卵は行きがけでもお世話になった村で帰りに仕入れたものだ。
壊れやすくて出荷が少ない卵でも俺には関係ないからな。
アスタランテでも一部の家庭では鳥型の魔物を飼育しているので手に入るそうだ。今度探してみよう。
よし。これで材料は揃ったな。
次はタレの準備。
魚醤とスパイスの準備だな。
ニンニク、しょうが、八角に近い香辛料は全てみじん切りにしておく。
たまねぎを取り出して適当な大きさに切っておく。
魚醤は今回は川魚の物よりウナギの物の方が合いそうだな。
ただウナギだけではくどそうだから今回は川魚:ウナギを1:2で使おうかな。魚醤を混ぜて、ルーヴを煮た汁、ワインビネガー、メセグリン酒を用意しておく。
これで準備は完成だ。
さて、そろそろいいかな?
なんだかんだ20分くらい経ってるし。
俺は『貯蔵空間』から浸水中の鍋に蓋をして火にかける。
これでしばらく経ったら炊きあがるだろう。
今のうちに玉ねぎを焼いておこう。
オークの脂身が大量に残っているので熱されたフライパンに脂身を投入。
溶けだしたら玉ねぎを炒める。
玉ねぎの焼き加減は好みだが、俺はその時々だが、今回は色がつくまでしっかりと炒める。
しっかりと色が付いたら玉ねぎは一旦、山菜の浅漬けを乗せていた皿に上げておく。こいつらは後で盛りつける用だ。
となると、炊けるまでしばらく時間がかかるか。
土鍋だと最初から強火で行けるんだけどなぁ。
とりあえず、10分ほど経って沸騰を始めたので強火にするため薪を投入。
風を送り込んで強火にする。
後は吹きこぼれるまで待つ感じだな。
「悪いけど、これ吹きこぼれたら教えてくれ」
「承知いたしました」
さて、後は上にのせる具材だな。
白米と違って雑穀だから少し濃いめに味をつけるか。
頭の部分だけでも美味ければ雑穀感も多少ごまかせるだろう。
強火で加熱したフライパンに細かく切ったオークの腹の肉を投入して炒める。
そこにニンニク、しょうが、八角っぽいスパイスを入れてさらに炒める。
スパイスの香りが立ってきたら合わせた魚醤、ルーヴの煮出し汁、メセグリン酒、ワインビネガーを加えて沸騰させる。
このまましばらく煮込めば頭は完成だ。
「ご主人様、大麦の方が吹きこぼれ始めました!こ、これはどうすれば?」
「ん?あぁ、一回火を弱めるぞ。薪を少し取り出すからちょっとどいてて」
俺は火かき棒でかまどの中の薪を少し掻き出して火力を調整する。
吹きこぼれないギリギリに調整するとこのまましばらく置いておく。
その間に器と飲みものの準備を……。
「よう、リュウ。早速、使っているな?」
「夜分失礼しますよ。リュウ」
「もちろん私もお付きで来ているぞ」
それぞれ、エル、ロス、トマスである。
ご丁寧にそれぞれが器を用意している。
「……狙ったように夕飯時にきやがって」
「うん?まぁ、いいじゃないか?当然私たちの分もあるのだろう?」
だと思ったよ。
まぁ、そのつもりでそれなりの量仕込んでいるから、問題ないだろう。
「だったらせめて器を置いて手伝え。野菜があるからそっちで野菜を洗って大皿に盛り付けろ。洗い終わったら、このベーコンをカリカリに焼いてつけてやる」
「まかせろ!」
うん。三人とも素直でよろしい。
まったく、こいつらどんどん食いしん坊キャラになってないか?
ということで一品増えたのでベーコンをカリカリに焼いておく。
このベーコンは普通の豚の物で、どうもベーコンというよりは干し肉に近そうな感じだけど、まぁ大丈夫だろう。
おっと、また豚に豚がかぶってしまった。
いい加減、肉のレパートリーを増やさないとな。
「リュウ!洗い終わったぞ!」
「よし、じゃぁ全員分、器を用意してくれ。深めが8人分と大皿が1枚」
「え?」
俺が号令を出すと意外なところから声が聞こえた。
「うん?人数が違ったか?俺、エル、トマス、ロス、アリュシエールさん、エース、ウーミタン、ランプで8人だろ?」
「えっと、使用人や奴隷が主人と同じ卓に着くのは、少々不敬なのでは?」
いや、主人どころかこの国の王子がいるんだが?
ってそうか、知らないもんな。
知ったらひっくり返るんじゃないか?
まぁ、こういうのは聞いてみるに限る。
「どうなんだ?その辺?」
「別にかまわんのではないか?それに最近は大人数で食事するという楽しみも覚えたしな」
うんうん。そうだよな。
試しにトマスとロスに目を向けてみるとすぐ目をそらされた。
まぁ、王子がOK出してて正体知っている奴が拒否はできんわな。
「……という訳で一緒に食卓を囲みなさい。これは命令です」
「は、はぁ……」
気にしすぎだよ。まったく。
さて、では解決したところで!
「さぁ!焼肉の時間だ!」
え?今度こそ焼肉じゃないだろって?
一時期焼肉屋のテイクアウトで流行ったんだよ。
焼肉屋が作ったことあるメニューだから焼肉だろ。




