↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界焼肉道  作者: グッチ
1.森に出ずんば、極上カルビを得ず
6/34

1-6.初めての報酬

 





 ……はっ!?





 あれ、今何時だ!?

 え、朝!?



 ちょっと待てよ……、思い出せ、俺。

 たしか、あれはマンガ肉を食べて……。


 あれ?マンガ肉は?

 全部ない。

 ないな。

 口の中から仄かな肉の香り。

 歯磨きをしていないからモロに匂うな。

 ってことはおそらく食ったのは俺だな。

 うん。









 ……まさか、俺、美味過ぎて気絶した?

 いや、まさか。

 いやいや、そんな馬鹿な。


 けど、認めるしかないな。多分、食いながら気絶したな。コレ。









 って、そうだ。

 昨日の続きをやっておかないと。


 俺は昨日の晩に馬車を出したときやったようにやってみる。

 すると問題なく昨日の晩燃やした木の棒、松明もどきが火が付いたまま出て来た。

 なるほど。

 多分、昨日は火が落ちてすぐだったから……。

 たぶん12時間くらい燃え続けるほどの燃焼時間はないよな。これ。

 という事は、これはお約束ってやつで、時間経過がないのか。

 インベントリとか、アイテムボックスってやつかな?

 時間経過がないってことは食料が保存できるって事だし。

 あって損はない。それに昨日の半身が全部入るってことは結構容量あるよな。

 どのくらいあるんだろう。分かれば良いんだけどな……。

 そう思って俺は再び意識してみるが、流石によくわからない。

 まぁ、少なくともちょっとやそっとじゃ、どうにもなりそうにない。

 しかし、せっかくならヴィジュアル的にわかればありがたいんだけどな。

 何分の何ぼとか、倉庫みたいな見た目と、か……?



 な、なんだ……、これ。



 俺の目の前にはいつの間にかとんでもなく広い倉庫のような空間が広がっていた。

 え、なにこれ。


 倉庫はきれいに区画整理されており、パッと見た広さは多分、東京にある野球のドームくらい。たしか何かのイベントで行ったドームの見た目がこんな広さだった気がする。

 あの肉はどこだろう?ってわからんな。こんだけ広いと。

 俺はもう一度、さっきのインベントリ的なスキルを意識してみる。

 あれ?出て来た。

 ってことは、もしかしてさっきのスキルとこの倉庫は違うものなのか?

 ちょっと試してみるか。








 それから一時間ほど。

 倉庫の中で肉を使って色々試してみたところ。

 どうやらこの倉庫は、時間の流れ、温度、湿度、大気の流れなどを区画単位で管理できるもののようだ。

 区画を変えると隣の区画の湿度や温度には影響されないらしい。

 試しに冷風で乾燥させるような環境と超温暖な環境を隣り合わせにしてみたが片方はきれいに乾燥して、片方は見事に腐った。

 いや、めちゃくちゃ便利だな。これ。

 時間が止まるインベントリも併せたらとんでもなく便利なんじゃないか?


 まぁ、インベントリあったって入れるものがないとあれだけど。


 俺が帰ることを意識すると元の森に戻って来た。

 どういう理屈か知らないけど。便利で良いな。


 さっきから便利だ便利だとしか言ってない気がするけど。

 便利だろうから仕方ない。


 はぁ。

 匂いに一気に現実に引き戻された。

 くそっ!

 思えば思うほど昨日の猪の半身を無駄にしてしまったのが惜しい!

 流石にこの匂いの肉はどうもしようがない。

 というか、せめて昨日の夜にインベントリに入れておけば、ここまでの悪臭はしなかったろうに。

 流石にこれは食べられない。

 後悔先に立たずとは、まさにこのことだな。

 しかもちょっと食欲無くなったし。




 仕方ない。

 無理だとは思うが、もう一度町の門番のところに行って……。














 ……だめでした。

 入市税は現金で用意する必要があるらしい。

 どうしようもない。

 詰んだ。





 とりあえず、しばらくあの場所でキャンプを張って行商とか人が通りかかるのを待つしかない。

 そこで肉を売って銀貨一枚、稼げるかやってみるしかないな。

 しっかし、昨日今日と人が通りかかってる感じは全くしないんだが。



 とりあえず、焚火をもう一度付けて待ってみよう。

 意外とすぐ通るかもしれないし。

 小川に橋があるってことはこの辺は街道って事だよな?

 俺の判断が間違ってないと思いたいが。



 しかし、この判断は俺の意図とは違う形でいい方向に傾いていくのだった。































「貴様!一体そこで何をしている!!」

「いや、何をと申されましても。キャンプとしか……」

 俺は両手を上げて何もしませんよ。のポーズ。

 俺は今、兵士に囲まれていた。

「先日の騒ぎは貴様の仕業か!」

 目の前に突き出される剣。

 やばい。殺される。

 分かってはいたけど剣って目の前に突き出されると、やばいほど怖い。

 強盗が持っていたナイフの比じゃない。


「あれ?あんちゃんか?」


 剣を突き出した男の兵士の影から、昨日の門番の男が現れた。

「あぁ、門番の……」

「なんだ?知り合いか?」

「いや、知り合いって程ではないんですが。昨日から何度か門に来た男です」

「なんだそりゃ?」

「入市税を払えないらしく、キャンプ可能地を聞かれまして。少し離れたところでキャンプを張るとは聞いていましたがまさかこの森のそばにまだいるとは……」

 え、なに?この森ってどういうこと?

 っていうか貴方達、昨日森のそばまで来てましたよね?

「そうか……、馬鹿なのか命知らずなのか」

 いや、そこまで言わなくても。

「あのー、スミマセン。話が見えないんですが」

「なんだ?知らなかったのか?ここは『暴君の森』と呼ばれていてな。危険な魔物だらけの森で1時間以上滞在しようなんて猛者はそうそう居ない森なんだが」

 は?なにそれ?

 暴君の森?

 なんかヤバそうな名前だな?

「えっと、それで皆さんなぜこちらに?」

「あぁ、それはな……」



 話を聞いてみると、彼らはここに魔物の声を聴いて防備を固めに来たらしい。

 聞くと、どうやら魔物が森から出てきた際はこうして常備軍がやってきて討伐や防御陣を敷く物らしい。

 今回は昨日の猪の声を聴いたから慌てて準備して出て来たらしい。

 つまり彼らは先遣隊。

 それは申し訳ないことをした……。

「すみません、それ多分自分が倒してしまいました」

 そう言うといたく驚かれたが、例の半身を見せたら納得してくれた。


「信じられねぇ。こいつはジャイアントボアじゃねぇか。こいつが町まで来ていたらと思うと……」

「え、えぇ。たまたま、弱ってまして。運が良かったとしか……」

 ……とりあえず、そういう事にしておいた。

「なるほどな。そういう事か。わかった。カルバラ、明日ギルドに出張買取の手配をしてやれ。あと、悪いが諸々の手続きを頼む。あの匂いがあるから、少々強い魔物程度では寄り付かんだろう」

「は。承知いたしました」


 なんだか、とんとん拍子に話が進んでしまった。

 それから、カルバラさんに色々話を聞かれはしたけど、特に問題なく事情聴取も終わった。

「よし、それじゃあ、聴取はこれで終わりだ。明日、冒険者ギルドに出張の手配をしてやるから、悪いがそれまでは待ってもらうぞ」

「あ、はい。問題ありません。むしろ助かります」

 さっきの強面兵士の人もいい人そうだったが、この人もめちゃくちゃいい人だ。

「あ、そうだ!よかったら、食事、していきませんか?」

「食事?もしかしてジャイアントボアか?マジか!?高級肉だぞ!?」

「えぇ。まぁ、串に差して焼いただけですが」

「せっかくのお誘いだ。頂こう」

 ふふふ。昨日のあの美味い肉、堪能するがいい。



 さぁ!焼肉の時間だ!





 え?焼肉じゃないだろって?

 肉を焼くんだぞ?焼肉に決まってるじゃないか。











 その日の夜。

 不気味な二人分の絶叫が森から聞こえると、通報があったのだがそれはまた別の話。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。